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外交文書の自動公開規則の施行 [2010年公文書管理問題]

昨日の朝日新聞の記事。引用します。

外交文書の自動公開規則を施行 外務省、作成30年後に
2010年5月25日22時23分

 岡田克也外相は25日、「外交記録公開に関する規則」を同日付で施行し、作成後30年を経過した外交文書を原則自動的に公開すると発表した。非公開とする場合には、外部有識者をまじえた「外交記録公開推進委員会」(委員長・福山哲郎外務副大臣)の審査と、外相の了承を得ることを義務づける。

 新たな規則によると、例外的に非公開にできるのは、情報公開法で定められた個人・法人などに関する情報のほか、公開によって、具体的に国の安全が害される▽他国や国際機関との信頼関係が損なわれるか、交渉で不利益となる――と外相が認める情報に限る。非公開とされた文書は5年後に再審査を行う。

 これまで担当課の判断に委ねられていた文書廃棄についても、推進委の審査と外相の了承が必要になる。また、公開作業を迅速に進めるため、これまで複数あった担当部署を「外交記録・情報公開室」に統合。外交史料館と合わせ現在約70人の人員を約100人に増強する。

 外務省は核持ち込み問題などにからむ日米密約の調査を受け、外相を本部長とする「外交記録公開・文書管理対策本部」を設け、公開のあり方を検討してきた。6月中旬に推進委の初会合を開いた上で、1960年の日米安全保障条約改定と72年の沖縄返還に関する外交文書を優先的に公開する方針だ。

 岡田外相は記者会見で「原則公開にし、第三者や政務レベルの判断を挟むことで飛躍的に公開の範囲は高まった」と述べた。(高橋純子)
(引用終)

文中にある規則とはこれ↓
○外務省訓令第七号「外交記録公開に関する規則」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/public/pdfs/kokai_kisoku.pdf

博論提出直前のためあまり詳しく解説している余裕がないのだが、とりあえず思ったことは

訓令として出したことが良い(大臣や政権が代わっても方針が変わらない)。

・その文書を作った主管課の判断が「二次」審査となっており、恣意的に文書を隠すことへの歯止めがかかっているのも良い。また、保存期限の延長を実質させないことにしてあるのも良い(延長して事実上の永久保存にすることを禁じている)。

「原則公開」が素晴らしい。これまでは、何を「出す」かを決めることに理由が必要であったのに対し、以後は何を「出さないか」に理由が必要に変わった。これは非常にでかい。

・担当部局の人数を増やすのももちろん素晴らしい。というかもっと多くたって良い。

・気になるのは、公開か非公開を決める委員会の構成メンバーについて。
岡田外相は会見で「外交記録公開推進委員会には、外部の有識者も加えて意見を得ることにしております。」と言っているが、この規則の第4条を見ても、外部有識者がいなければならないということは一言も書かれていない。これは、外相の判断によっては内部だけで決めることが可能な委員会になりかねない。
岡田の時は心配ないが、その後がちょっと心配か。

・一方、これだけ思い切ったことができたのは、移管先の外交史料館が外務省の内部機関であったことが大きいと思う。これで外交史料館が国立公文書館の管轄下に入る可能性は遠のいたように思う。

・ただ、来年4月の公文書管理法施行を控え、他省庁に先駆けて大胆な公文書公開の規則を作ったことは大きい。官僚は基本的に先例主義であり、「他の省庁がやってないのにうちらがやらなくても」という考え方になりやすい。
その意味で外務省がこういうルールを作ったと言うことは、他省庁にもこの原則を適用させるように圧力をかけることにつながるし、また各省庁もその声を簡単には無視できない状況が生まれるだろう。
宮内庁には・・・。
うーん。こういう場合、長官が官僚である宮内庁は動きが鈍いだろうなあ・・・。

・今回の決定によって、これから5年ぐらいで外交史の分野は、捌ききれないぐらいの大量の資料がバブルのように降ってくることになるだろう。外交史をやっている方は、是非ともこれを使いまくって、日本の公文書を利用した歴史研究を推し進めてほしいと思う。

とりあえず走り書き程度に思ったことをつらつらと。
博論が終わってまだ需要があれば、この規則の細かい解説をきちんとブログに書きたいと思います。
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外交文書公開体制の強化 [2010年公文書管理問題]

昨日13日の朝日新聞に「外交文書の公開 担当部署を増強」という記事がありました。ネット上には上がっていないようなので、NHKのもので代用。

外務省 外交文書公開を徹底へ
5月12日 5時54分 動画あり
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20100512/t10014377661000.html

外務省は、30年経過した外交文書を原則公開するとしたルールを徹底するため、例外的に非公開とする場合は、大臣など政治家が判断する仕組みに改めるとともに、今後の文書公開に備えて新たな部署を設け、担当の人員を大幅に増やす方針を固めました。

外務省は、日米の密約問題で外交文書の管理や公開のあり方に問題があると指摘されたことを受けて、省内に岡田外務大臣を本部長とする対策本部を設け、見直しを進めています。これまでの検討の結果、作成から30年経過した外交文書を原則公開するとしたルールを徹底するため、大臣訓令に基づく新たな規則を策定し、例外的に非公開とする場合は、担当課だけでなく、最終的に大臣や副大臣など政治家が判断する仕組みに改める方針です。また、今後の文書公開に備えて、現在文書の保管や公開を別々に行っている3つの室や班を統合して新たな部署を設け、「外交史料館」と合わせて担当の人員を100人程度まで増やすことにしています。外務省は、こうした対策を近く正式に決めたうえで、今月末をめどに、1960年の安保改定や1972年の沖縄返還にかかわる外交文書から優先的に公開することにしています。
(引用終)

朝日の記事によれば、25日の「外交記録公開・文書管理対策本部」の会合で正式決定することのこと。
また、統合する3つというのは、「外交記録審査室」(文書公開の判断をする)、「情報公開室」(窓口)、「移管文書班」(各部署の文書を管理)、とのことです。
また、人数は3つの部局を50人から70人に、外交史料館を20人から30人に人員を増強するとのこと。

詳しくは25日を待ってから書きますが、人員が増強されるのは良いことだと思います。
あとは制度的にどこまで機能するようなシステムになるかという所でしょうか。
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情報公開制度の改正全般についての意見・提案 [2010年公文書管理問題]

行政刷新会議の情報公開改正に関するパブリックコメントの募集に応募しました。
http://www.cao.go.jp/sasshin/hatomimi/kokumin-koe-joho-kokai.html
期限は5月14日までです。

私の書いたものを下に貼っておきます。長いのはご勘弁を。
ただ、これでも論点は絞ったつもりです。ぐだぐだと何項目も並べるのもどうかと思ったので、私しか書きそうもないようなことを重点的に書きました。

青字は行政刷新会議側の質問。[手(パー)]は、会議側が用意した選択肢を選択したという意味です。適度に改行を加えてあります。

1.情報公開制度全般に関するご意見
1.「国民の知る権利」を保障するためには、情報公開制度の改正が必要だと思いますか?


 はい

その理由を下記に記載してください(任意・200文字以内)

 筆者は情報公開制度を用いて実際に文書を請求しているが、開示までのスピードの遅さ、不開示部分の多さ、重要な文書が保存されていない状況に呆れることが多い。
 昨年公文書管理法も公布されたこともあり、公文書を作成から保存開示までを一体化する制度の整備は急務である。
 国民目線に立った制度の改良を望みます。

2.現行の情報公開制度全般についてのご意見等をお聞かせください(任意・400文字以内)

 情報公開制度をもっと国民が使いやすくするためには、行政文書ファイルの検索システムの改良が絶対に必要である。
 現在のシステムは、

1.ファイル名が曖昧で必要な情報が手に入らない。
2.ファイルの中に複数の文書が綴じられることが許されており、中には1つのファイル名に約1700冊の簿冊が入っていたケースがあった(宮内庁において)。
3.文書保存期間を延長した際に、同じデータ内に情報が追加されるのではなく、同じファイル名が延長の度に追加されていくため、文書の管理状況が非常に見にくい。

など、検索システムとして全く機能していない。
 おそらく内部の職員もこのシステムを使って文書を探していないのではないかと思われ、「データベースを整備して公開をした」というアリバイ作りにしか見えない。
 この検索システムが改良されない限り、どのような法的な改正が行われたところで、国民にとって使いやすい制度には絶対になり得ない。
 この点に付き、今回の法改正において何らかの対策を取られることを期待したい。

2.情報公開制度の改正の方向性について
1.開示対象の拡大・明確化について改正が必要だと思うものにチェックしてください(複数回答可)

[手(パー)]公務員等の職務の遂行に係る情報について、当該公務員等の氏名も原則として開示するべき,
[手(パー)]一般企業等が行政機関等に公にしないとの条件で任意に提供した情報も原則として開示対象とするべき,
[手(パー)]不開示情報である「公にすることにより、国の安全が害されるおそれ、公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれ等がある情報」かどうかの判断に、行政機関等の裁量を大きく認めるべきでない,
[手(パー)]国等における審議・検討等に関する情報で、それを公にすることにより、「不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ」がある情報についても、行政機関の裁量が大きく入る余地があるため、原則開示とすべき

その他、開示対象に拡大・明確化についてのご意見をお聞かせください(任意・200文字以内)

 現在の公開制度は各省庁の判断に重きが行き過ぎており、過剰な不開示が多く見られる。
 例えば宮内庁では60年以上前の警備情報が情報公開法第5条第4項で不開示にされている。無線すらろくに無かった時代の警備の情報が「公共の安全と秩序の維持に支障」があるとは全く思えない。
 こういったケースに遭遇するにつけ、各行政機関等の裁量を狭め、いずれかの上級機関で開示基準を統一化し、不服申立てに対する対応を強化する必要を強く感じる。
 また公務員の氏名は自分が責任を持って行った仕事である以上、原則として開示されるべきであると思われる。

2.開示手続きの迅速化・強化について改正が必要だと思うものにチェックしてください(複数回答可)
[手(パー)]開示請求・実施にかかる手数料を原則廃止する,
[手(パー)]開示請求から開示決定等までの期限を短縮する,特例としての開示の無期限延長を見直す

そのほか、開示手続きの迅速化・強化についてのご意見をお聞かせください(任意・200文字以内)

 開示請求や閲覧に手数料がかかるのは、個人財産の無い方の請求を制限しており、原則廃止されるべきである。
 たしかに、嫌がらせ目的などの大量請求などが行われる危険性はあるが、こういった例外的なケースを理由として手数料を取る制度を残すのはおかしい。
 一方そういった大量請求に対する対策として、特例の無期限延長制度を残すのは止むをえないが、その延長制度の利用には内閣総理大臣への報告義務を課すなどといった、行政機関側の安易な使用を許さないための制限が必要である。

3.事後救済制度の強化について改正が必要だと思うものにチェックしてください(複数回答可)
[手(パー)]不服申立てがなされてから審査会への諮問を行うまでの法廷期限を導入する,
[手(パー)]情報公開訴訟を、原告の普通裁判籍所在地の地方裁判所にも提起できるようにする,
[手(パー)]裁判所が、行政機関の長等に対し、対象文書の標目・要旨・不開示の理由等を記載した書面(いわゆるヴォーン・インデックス)の作成・提出を求める手続を導入する,
[手(パー)]裁判所が対象文書を実際に見分し、不開示情報の有無等を直に検討できるインカメラ審理手続を導入する

その他、事後救済制度の強化についてのご意見をお聞かせください(任意・200文字以内)

 諮問を行うまでの期限だけでなく、審査会の答申が行われてから、各省庁が決定を出すまでの期限も導入してほしい(半年ぐらいかかったことがある)。
 裁判はできる限り原告の負担が少なく行えることが望ましい。
 ヴォーンインデックスやインカメラが無い状態で裁判を行うのは、あまりに原告側が不利であるので改善を求めたい。

3.その他
 その他、情報公開制度の改正全般についてのご意見・ご提案等をお聞かせください(任意・400文字以内)
※ご意見が書ききれない場合や添付資料等をメールにて送付希望の方は『別途メール送付希望』の旨ご記入ください。当室より「4.登録者情報」に記入いただいたメールアドレス宛にご連絡いたしますので、返信にて、ご意見や添付資料をご送信ください


 書ききれませんので、別途メール送付を希望します。

   ↓
メールで送付したもの。

情報公開制度の改正全般についての意見・提案
2010年5月6日      
瀬畑 源(SEBATA, Hajime)

 情報公開制度の改正への意見・提案を述べさせていただきます。

1.長期保存文書の取り扱いについて

提案
 現用文書の不開示の判断に「時の経過を考慮する」という文面を入れる。

説明
 個人情報を初めとした様々な情報は、作成・取得された時点では不開示情報であったとしても、時の経過により秘匿する必要性は一般的に減少します(宇賀克也『逐条解説公文書等の管理に関する法律』第一法規、117頁)。公文書管理法第16条第2項で、「特定歴史公文書等」については「時の経過」を考慮することという文面が入りました。これで、現在の国立公文書館が行っている「時の経過」を考慮した独自の開示基準(「情報内容」によって開示不開示を決定する)が追認されることになったものと思われます。
 しかし、現在の情報公開法ではこの「時の経過」の概念がありません。そのため、たとえ明治時代の文書であったとしても、現用文書として行政機関に保管されていれば、1年前に作成された文書と同じレベルの不開示基準が適用されることになっています。
 本来なら30年保存でその後は移管・廃棄をするというのが情報公開法の原則であるため、おそらくこういった事態はあまり想定されていなかったのではないかと思います。しかし実際には、保存期間延長が毎年のように行われて事実上の永久保存文書になっている文書が各省庁でかなりの量存在します。
 このため、情報公開法の運用においてもいくつか支障が出ております。筆者は歴史研究者として宮内庁に作成から50年以上経過した文書を数多く請求を行っておりますが、60日以内に開示されることが非常に少ないです。職員の方に伺ったところ、昔の文書のため手書きの文字の解読に時間がかかる(旧字体など)、文書に出てくる個人が誰なのか特定することが困難(開示不開示の判断が難しい)などが、開示決定までに長時間がかかる要因となっているようです。特に後者の問題は非常に大きいようです。
 また、行政機関内に意図的に文書を抱え込むことによって、現用文書の厳しい不開示規定を適用させて、不開示部分を多くしようとする傾向もあるように思われます。つまり、情報公開法が不開示に対して「時の経過」への配慮を行っていないことを逆手にとって、自分たちに不都合な情報の隠蔽のためにあえて「現用」のままにしておくということが行われているようです。
 もちろん、そもそも論としては30年以上経過した文書は例外なく公文書館に移管されるべきものだと思いますが、公文書管理法でも移管を強制させる条文は入りませんでした。そのため、公文書管理法が施行されたとしても、30年以上経過した文書が大量に行政機関に残る事態は続くものと思われます。
 そこで、公文書管理法と同様に、情報公開法第5条の適用の際には「時の経過を考慮する」という言葉を加えていただき、作成から30年以上経過した文書については、国立公文書館に移管された非現用文書と同様の基準で公開非公開を決めることを義務づけていただきたいです。このようにすることで、古い文書の人物特定にかかる時間などが軽減され、「情報内容」に基づいて開示不開示の決定が行えるようになり、各行政機関の審査作業の負担も軽減されると思われます。


2.情報公開法と公文書管理法の一元的運用について

提案
 情報公開法の所管を内閣府に移し、公文書管理法と一元的な施策を取る。内閣府公文書管理課の人員予算の増強を行う。また、中間書庫を設置して長期保存文書の管理を徹底し、国立公文書館への文書移管をスムーズに行う。

説明
 すでに枝野大臣の「情報公開制度の改正の方向性について」の第7に記載がありますが、情報公開法の所管を内閣府に移し、公文書管理法と一元的な施策が取られることを希望します。
 公文書管理法と情報公開法はよく「車の両輪」に例えられます。文書を作成し、保存し、公開するという一連の流れが、省庁の壁によって阻まれるようなことがあってはなりません。例えば、電子公文書の問題一つを取っても、総務省が電子公文書作成のシステムを作り、内閣府が文書の移管廃棄などの監視を行う権限を持っている現状は、システム作成者と実際の運用者が別ということを意味しており、将来的に電子公文書の保存が上手くいくのかが非常に危惧されます。
 また、この一体運用のために、内閣府の公文書管理課の人員予算の増強を希望します。昨年の公文書管理法制定の際の国会審議(2009年6月23日参院予算委)では、人員が10名しかいないということでした。これでは、来年施行の公文書管理法の運用に著しく支障が生じることは目に見えて明らかです。総務省からの権限移管の際に、人員と予算の増強を是非とも行ってほしいと思います。

 さらに、この一体運用を行うために、「中間書庫」の設置を緊急に行うべきだと考えます。
 1ですでに述べましたが、各行政機関には作成から30年以上経過した文書が大量に保管されています。本来ならば公文書館に移管されるべき文書群です。
 しかし、明治時代からの古い文書を、公文書館にあるような温度湿度管理が厳密にされた保存施設のない各省庁で保存しておけば、状態の劣化が進むことになります。また、長期間の保存期間を設定された文書は、その文書を作成した担当者がいなくなると、紛失する危険性も高まります。
 そのため、中間書庫を設置し、30年の保存期間を設定された文書であっても、ある程度の期間が経てば中間書庫に移管して整理し、期間満了後には廃棄か移管のどちらかを行い、保存延長をさせないようにするべきです。30年以上経過した文書を見たい場合は、各行政機関の職員であっても公文書館に行くこととし、自分たちの機関で抱え込むことを止めさせる必要があります。
 できれば、各行政機関毎ではなく、中央に各行政機関からの文書を全て引き受ける中間書庫のセンターを設立し、それを国立公文書館が管理する仕組みができれば良いと思います。しかし、もしまだ運用できる人材が不足しているのであれば、しばらくは各行政機関に中間書庫を設置し、その運用に国立公文書館が関与できるようなシステムが組まれることを希望します。


3.閣僚文書の公文書化について

提案
 閣僚が任期中に作成した自らの職務に関する文書は全て公文書と見なし、情報公開制度の対象とするべきである。

説明
 現在の情報公開法は「行政機関」や「独立行政法人」に限られたものです。立法府の文書については、情報公開法が存在していません。
 そのため、閣僚が作成する文書の位置づけが曖昧なものとなっています。閣僚が自らの管轄する行政機関を通して作成した文書については、各行政機関が情報公開法の対象となっているためにその公開を要求することが可能となります。
 しかし、閣僚本人やその秘書官が作成した文書(閣僚が民間有識者などと話し合って政策決定を行おうとした文書なども含む)は、秘書官の多くが議員公設秘書がそのまま異動しているために、「国会議員の作成した文書」と同様の扱いとなっており、実質的には情報公開法の網からこぼれ落ちています。そのため、例えば首相秘書官が作成した首相のスケジュール帳などといったものは、首相を辞めたときにそのまま持ち帰ってしまっており、公文書として保存されていません。しかし、こういった情報がなければ、実際の「政策決定過程」を後から追うことは非常に難しくなると思われます。
 よって、閣僚時代に作成した職務に関する文書は、全て公文書として保管されるべきものであると考えます。米国では大統領の持つ携帯電話の記録まで公文書として保管対象になっており、日本でも同様の制度が作られるべきだと思われます。
 ただ、政権交代による暴露などの危険性など、政争の具に使われる可能性もありますので、ある一定年度が経過するまで情報公開の対象からは外すといった処置が取られる必要はあると思います。
 この問題は、枝野大臣の「情報公開制度の改正の方向性について」の第6に記載の立法府の「立法行政事務」の情報公開制度が制定されたとしても、立法府の情報公開法と現在の行政機関情報公開法の狭間に落ちてしまう可能性があります。是非ともこの点に付き、ご検討いただけたらと思います。

以上
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行政透明化検討チームのウェブサイト [2010年公文書管理問題]

三木さんのブログに紹介されていたので、こちらでも。
私も内閣府のページをチェックしていたのですが全く気づけなかったので念のため。

情報公開法改正の検討チームのウェブサイトが立ち上がったそうです。
http://www.cao.go.jp/sasshin/hatomimi/shokuin/shokuin-joho-kokai/summary.html

なおこのページを見ると、今回の情報公開法改正への意見は、国家公務員や独法の職員も投稿できるそうです。
一家言あるかたはぜひぜひ。

あと、前の記事でも追記しましたが、パブコメの自由記述欄が400字以内と限定されている件。
「自由記述欄が少ないのはなんとかならないのでしょうか」と筋違いだとは思いながら三木さんにメールしてみたところ、内閣府に働きかけてくださったようで、「※ご意見が書ききれない場合や添付資料等をメールにて送付希望の方は『別途メール送付希望』の旨ご記入ください。当室より「4.登録者情報」に記入いただいたメールアドレス宛にご連絡いたしますので、返信にて、ご意見や添付資料をご送信ください」という記載が追加されました。

記述量の制限が無くなったのはありがたいです。
なお、大量に書きたいことがあるという方は、メールのやりとりの時間を考えた場合、早めにパブコメを送っておく必要があるかと思います。

三木さんが検討チームに入られた効果が早速現れているように思います。
色々と調整が大変だったようですが、本当に感謝です!

私もそろそろ意見を書いて送ります。書いたものはこのブログで公表する予定です。

追記(8/27)
現在は以下の所です。
http://www.cao.go.jp/sasshin/shokuin/joho-kokai/summary.html
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「情報公開制度の改正の方向性について」解説 [2010年公文書管理問題]

前回の続き。
「情報公開制度の改正の方向性について」(資料7-2)の説明です。青字が引用部分。
議事録が出ればもうちょっと正確な解説が書けると思いますが、パブコメの関係があるので早めに。

なお、私の独自の解釈なので間違っている可能性はあります。これは違うんじゃないか?というものがあればコメントを御寄せ下さい。
あと博論中で雑です。誰か補完してくださる方がいると有難いです。

第1 目的の改正(行政機関情報公開法第1条、独立行政法人等情報公開法第1条、公文書管理法第1条関係)
 法律の目的において、「国民の知る権利」の保障の観点を明示するべきではないか。


公文書管理法制定の際に問題になったもの。
国側は「知る権利」は最高裁等で確定した権利ではないとして入れるのを渋ったが、民主党側の修正案によって、「公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであることにかんがみ」(第1条)といったような文面で、事実上「知る権利」が組み込まれた。
公文書管理法に合わせて情報公開法も変えるべきというのが主旨だと思われる。

第2 開示・不開示の範囲等に関する改正
 開示請求が行われた際に、不開示又は部分開示になる場合について、現行の情報公開制度を以下のとおり改正し、より充実した開示内容になるようにすべきではないか。

1 個人に関する情報(行政機関情報公開法第5条第1号、独立行政法人等情報公開法第5条第1号関係)
 公務員等の職務の遂行に係る情報について、当該公務員等の職及び職務遂行の内容に加えて、当該公務員等の氏名も原則として開示する。


基本的には係長以上(公務員の『職員録』に記載されている人)しか今のところは開示になっていない。それを末端も含めて開示するべきというもの。
現在の規定は「公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分」(情報公開法第5条第1項ハ)としか決められていない。
接待費とかが問題になっていたときによく取り上げられていた。

2 法人等に関する情報(行政機関情報公開法第5条第2号、独立行政法人等情報公開法第5条第2号関係)
 法人等が行政機関・独立行政法人等の要請を受けて公にしないとの条件で任意に提供した情報を不開示情報とする旨の規定を削除する。


ここはあまり詳しくないが、何か行政施策を行うときに民間から情報を得ることがある(調査の委託業務とか)。
これは今まですべて「民間の文書だから」という言い訳で不開示にされてきた。例えば道路を造るときの調査とか。
「民間だから」という逃げ道を作らせないためのものか?

3 国の安全、公共の安全等に関する情報(行政機関情報公開法第5条第3号・第4号関係)
 公にすることにより、国の安全が害されるおそれ、公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれ等がある情報の不開示要件について、それらの「おそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」とあるのを、それらの「おそれがある情報」と改める。


今までは「行政機関の長」が判断するという限定が付いているので、各省の大臣が「見せたくない」と言えばどうしようもなかった。
それを外すということは、各省庁の恣意的な運用を無くさせるということになる。
後述の「第3の2(2)」との関係か?

4 審議・検討等に関する情報(行政機関情報公開法第5条第5号、独立行政法人等情報公開法第5条第3号関係)
 国等における審議・検討等に関する情報で、公にすることにより、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがある情報を不開示情報とする旨の規定を削除する。


「審議・検討等」を外すということは、審議会などはすべて開示させるということかと思われる。いくつかの審議会が各省庁の判断で不開示にされているためか。

5 部分開示(行政機関情報公開法第6条第1項、独立行政法人等情報公開法第6条第1項関係)
 開示請求に係る文書に不開示情報が記録されているときは、不開示情報が記録されている部分とそれ以外の情報が記録されている部分とを区分することが困難である場合を除き、当該不開示情報が記録されている部分を除いた部分につき開示しなければならないものとする。


今までの条項よりも詳しくなった?
これまでは、「当該部分を除いた部分に有意の情報が記録されていないと認められるときは、この限りではない」となっている部分が問題なのかな?

情報公開法による開示ではないが、宮内庁書陵部で「袋とじ不開示」というやり方をされることがある。これは原本に袋がけして見えなくさせるやり方で、不開示情報がそのページに少しでも混じっていれば、ページ自体を不開示にできる。そういったことを防ぐため?

第3 開示請求から実施までの手続に関する改正
 迅速かつ安価な開示手続が実現できるようにするため、手続面での改正をすべきではないか。また、不開示や部分開示となった場合にも、その理由がより明確になるような改正をすべきではないか。具体的には以下のとおり。

1 不開示決定の通知内容(行政機関情報公開法、独立行政法人等情報公開法関係《新設》)
 行政機関の長・独立行政法人等は、不開示決定をするときは、当該決定の根拠となる条項及び当該条項に該当すると判断した具体的理由を書面により示さなくてはならないものとする。


「具体的理由を書面で」というのが重要。これまでだと「第何号該当」だけで済んでいた。
そのため、例えば「行政文書不存在」との回答の時、「捨てた」のか「行政文書としては無い」のかといった細かいことは伝えなくて良かった。その部分の改正にあたる。

2 内閣総理大臣への報告と内閣総理大臣による措置要求(行政機関情報公開法関係《新設》)
(1)行政機関の長が、開示請求に係る行政文書の全部を開示しない旨の決定をしたときは、内閣総理大臣に対し、その旨を報告するものとする。
(2)内閣総理大臣は、特に必要があると認めるときは、行政機関の長に対して不開示決定の取消その他の必要な措置をとるように求めることができるものとする。


(1)は全面不開示にした際に、報告義務を課したもの。安易な不開示を防ぐためだと思われる。
(2)は「第2の3」との関係で、情報を公開するか否かの全ての決定権を各省庁の大臣が持つのではなく、そこに内閣総理大臣が介入可能とするということ。例えば、最近話題の密約問題などを首相が開示命令を出すということもあり得るということか。

3 開示決定等の期限(行政機関情報公開法第10条第1項、独立行政法人等情報公開法第10条第1項関係)
 開示決定等は、開示請求があった日から14日以内にしなければならないものとする。


これまでは30日。地方自治体だと15日とかが多いように思われる。
情報公開は速度が必要な事例も多いためかと。
情報公開に関わっている人が一番ストレスを溜めるのは、開示までの期日が長くかかることだと思われるので。

4 開示決定等の期限の特例(行政機関情報公開法第11条、独立行政法人等情報公開法第11条関係)
 開示決定等の期限の特例を適用する場合において、行政機関の長・独立行政法人等は、開示請求に係る行政文書のうち相当の部分につき開示決定等をした日から60日以内に残りの行政文書について開示決定等をしなければならないものとする。


3の続き。
これまでは、膨大な量などがある場合、「相当の期間内に開示決定等」でOKだった。つまり2年後であっても、事前に通知しておけば問題なかった。
これは60日以内に全部出せという規定。もしこれをするなら、情報公開に携わる職員の増強は必須かと。

5 みなし規定(行政機関情報公開法、独立行政法人等情報公開法関係《新設》)
 開示請求者は、行政機関の長・独立行政法人等が法定の期間内に開示決定等をしないときは、行政機関の長・独立行政法人等が当該行政文書について不開示決定をしたものとみなすことができるものとする。


裁判などを起こす場合、開示決定がされないと何もできなかった。つまり「2年お待ちいただきます」と言われれば基本的には待つしかなかった。またその期限を相手が守らなくても開示まで待つしかなかった。(業務怠慢(不作為)で訴えることはできなくはないが勝ち目無し。)
この規定は、開示が遅れたら「不開示決定がされた」と見なして、その後の対策ができるというもの。

6 手数料(行政機関情報公開法第16条、独立行政法人等情報公開法第17条関係)
 開示請求に係る手数料を原則として廃止するとともに、開示の実施に係る手数料を引き下げる。


今までは、請求で300円(ネットだと200円)、開示後の閲覧100枚あたり100円、コピー1枚10円。
評判が悪いのは請求時にお金を取ること。元々この規定は、大量請求(1人で100件とか)対策だった気が。
情報公開はそもそもとして国民の権利なわけだから、それが経済状況で制限されるのはどうなんだという点から批判が強かった。

第4 審査会への諮問等に関する改正(行政機関情報公開法第18条、独立行政法人等情報公開法第18条関係)
 開示決定等について不服申立てがあった場合における情報公開・個人情報保護審査会に対する諮問は、当該不服申立てのあった日から14日以内にしなければならないものとしてはどうか。また、審査会を裁決機関とすることについて検討してはどうか。


不服申立ては、申立者が各省庁に申し立てをして、それから審査会に諮問される。
これまでは、各省庁が反論を作成して諮問するまでの期日が決められていなかった。
私のケースでは、申し立ててから諮問までに1年近くかかったケースもある。
情報によっては速度が重視されるものもあるので、もし諮問に1年もかけられたら、それだけで情報の有意性がなくなる可能性がある。
今回はそれを14日以内という設定を付けるというもの。

(追記7/8)「裁決機関」とするという点に付き解説していなかった。
要するに裁判所と同様の扱いとし、審査会の答申に強制力を働かせるということ。

第5 情報公開訴訟に関する改正
 訴訟による事後救済を確実に行うため、いわゆる「ヴォーン・インデックス」の作成・提出に関する手続(下記2)を創設するとともに、いわゆる「インカメラ審理」(下記3)を導入してはどうか。また、原告の訴訟にかかる負担に配慮し、各地の地方裁判所でも訴訟ができるようにしてはどうか。具体的には以下のとおり。

1 訴訟の管轄(行政機関情報公開法、独立行政法人等情報公開法関係《新設》)
 開示決定等又はこれに係る不服申立てに対する裁決・決定に係る抗告訴訟(以下「情報公開訴訟」という。)は、行政事件訴訟法第12条に定める裁判所のほか、原告の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所にも提起することができるものとする。


これまでは高裁のある場所にある地裁でしかできなかったので、地方在住者は交通費だけで膨大な出費を強いられてきた。
それが各地の地裁でできるようになる。

2 不開示決定に係る行政文書の標目等を記載した書面の提出(行政機関情報公開法、独立行政法人等情報公開法関係《新設》)
 情報公開訴訟においては、裁判所は、訴訟関係を明瞭にするため必要があると認めるときは、行政機関の長・独立行政法人等に対し、当該開示決定等に係る行政文書・法人文書の標目、その開示しない部分についてこれを特定するに足りる事項、その内容の要旨及びこれを開示しない理由その他必要な事項を、その裁判所の定める方式により分類又は整理して記載した書面の作成・提出を求めることができるものとする。


読んだまま。こういうことが今まではできなかった。
こういう情報無しに裁判をやらされるんだから、訴える方も裁判所もたまったものではなかった。

3 審理の特例(行政機関情報公開法、独立行政法人等情報公開法関係《新設》)
(1)情報公開訴訟においては、裁判所は、裁判官の全員一致により、審理の状況及び当事者の訴訟遂行の状況その他の事情を考慮して、不開示事由の有無等につき、当該行政文書・法人文書の提出を受けなければ公正な判断をすることができないと認めるときは、申立てにより、決定で、当該行政文書・法人文書を保有する行政機関の長・独立行政法人等に対し、当該行政文書・法人文書の提出を命ずることができるものとすること。この場合においては、何人も、裁判所に対し、提出された行政文書・法人文書の開示を求めることができないものとする。
(2)裁判所は、(1)の決定をするに当たっては、あらかじめ、当事者の意見を聴かなければならないものとする。
(3)裁判所は、(1)の決定をしたときは、同項の行政機関の長・独立行政法人に対し、2の書面の作成・提出を求めなければならない。ただし、当該書面が既に提出されている場合は、この限りではないものとする。
(4)(1)の決定に対しては、即時抗告をすることができるものとする。


これも読んだまま。こういったことが今まで認められていなかった。
裁判の係争対象の文書を見ずに判決が出されていたわけだから、裁判官も行政寄りの判決をせざるを得ない。

第6 適用対象の範囲等に関する改正
 現行の情報公開制度の対象を、国民の知る権利を保障する観点から、以下のとおり拡充すべきではないか。
1 国会関係
 衆参両院の事務局・法制局、国会図書館等の保有する立法行政事務に係る文書の公開の在り方について、行政機関情報公開法と同等の開示制度導入の検討を促す。
2 裁判所関係
 最高裁判所事務総局等の保有する司法行政事務に係る文書の公開の在り方について、行政機関情報公開法と同等の開示制度導入の検討を促す。


1、2は国会と裁判所にも情報公開制度を作りましょうということ。いまは法的な制度は存在しない。

3 政府周辺法人関係(独立行政法人等情報公開法第2条第1項・第22条関係)
 国からの出資、国から交付される補助金等が年間収入に占める割合、業務内容の公共性等の視点から、「独立行政法人等」に含まれる対象法人を拡大する。また、情報の提供に関する施策をさらに充実させる。


独法にもなっていなくて隠れ蓑になっている公共法人の情報もきちんと公開せよということか?

第7 行政機関の保有する情報の公開に関する法律等の所管に関する改正(行政機関情報公開法、独立行政法人等情報公開法、内閣府設置法、総務省設置法関係)
 行政機関情報公開法及び独立行政法人等情報公開法の所管を総務省から内閣府に移管してはどうか。


公文書管理法が内閣府担当、情報公開法が総務省担当なので、一元化して運用すべきということ。
公文書管理法制定の時にも問題になっていた。

第8 情報公開条例の扱い(行政機関情報公開法《新設》)
 第5の1から3は、情報公開条例(地方公共団体又は地方独立行政法人の保有する情報の公開を請求する住民等の権利について定める当該地方公共団体の条例をいう。)の規定による、開示決定等に相当する処分又はこれに係る不服申立てにおける裁決・決定に対する抗告訴訟に準用する等の措置を講じてはどうか。


国の情報公開訴訟に、これまで地方の情報公開訴訟で積み重ねていた判例を重ねたらどうかということか?

以上です。

この全てが導入されると良いけれども簡単ではないかな?
これ以外にもまだ取り上げるべき問題はあると思われるので、パブリックコメントを送る方はその点を重点的に取り上げるべきかと思います。

追記(4/22)
パブコメの投稿フォームを見てみると、書ける内容や文字数に相当の制限があります。
特に自由記述欄が400字以内しか書けません。
先にフォームを見ることをおすすめします。、書く内容を厳選する必要がありそうです。
https://form.cao.go.jp/hatomimi/opinion-0005.html

追記(5/1)
「自由記述欄が少ないのはなんとかならないのでしょうか」と筋違いだとは思いながら三木さんにメールしてみたところ、内閣府に働きかけてくださったようで、「※ご意見が書ききれない場合や添付資料等をメールにて送付希望の方は『別途メール送付希望』の旨ご記入ください。当室より「4.登録者情報」に記入いただいたメールアドレス宛にご連絡いたしますので、返信にて、ご意見や添付資料をご送信ください」という記載が追加されました。
三木さんが検討チームに入られた効果が早速現れているように思います。感謝です!
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情報公開法改正の方向性についての意見募集の開始 [2010年公文書管理問題]

昨日、第1回目の行政透明化検討チームの会合が行われました。
詳しい内容は、メンバーの三木由希子さんが御自身のブログで書かれていますのでそちらをご参照のほどを。

事前に三木さんから「何か話してほしいことがあれば連絡を」という同報メールが送られてきましたので、歴史研究者の視点から1点に絞って私の意見をお伝えしておきました。
一般的な事柄は伝えなくてもわかっておられるだろうと思いましたので。

その内容は、三木さんが会合で報告したレジュメの「6(5)長期保存文書の扱い」の部分で取り上げていただきました。
長期に「現用文書」として各省庁で保管されている文書の管理や開示の在り方についての部分です。この点についてはパブリックコメントでも再度書く予定でいます。その際に詳しくは。

また、この会合に基づき、行政刷新会議が情報公開改正に関するパブリックコメントの募集を始めました。
http://www.cao.go.jp/sasshin/hatomimi/kokumin-koe-joho-kokai.html
募集期間は、4月21日(水)~5月14日(金)までとのこと。
意見のある方は是非とも応募して欲しいと思います。
会合のメンバーから考えても、かなり前向きな改正案となりそうなので、現在不便を強いられている事項について主張しておくことは効き目があると思います。

明日のブログで、枝野行政刷新相側が用意した「情報公開制度の改正の方向性について」(資料7-2)の簡単な解説を載せておきます。
パブリックコメントを書く参考になるかと思いますので。

続き

追記(4/22)
投稿フォームを見てみると、書ける内容や文字数に相当の制限があります。
特に自由記述欄が400字以内しか書けません。
先にフォームを見ることをおすすめします。、書く内容を厳選する必要がありそうです。
https://form.cao.go.jp/hatomimi/opinion-0005.html

追記(5/1)
「自由記述欄が少ないのはなんとかならないのでしょうか」と筋違いだとは思いながら三木さんにメールしてみたところ、内閣府に働きかけてくださったようで、「※ご意見が書ききれない場合や添付資料等をメールにて送付希望の方は『別途メール送付希望』の旨ご記入ください。当室より「4.登録者情報」に記入いただいたメールアドレス宛にご連絡いたしますので、返信にて、ご意見や添付資料をご送信ください」という記載が追加されました。
三木さんが検討チームに入られた効果が早速現れているように思います。感謝です!
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「宮内公文書館」と「図書寮文庫」 [2010年公文書管理問題]

先日、宮内庁書陵部に資料閲覧に行く機会があった。
毎度の如く、閲覧許可証が送られてきたのだが、送信元の肩書きが「書陵部図書課宮内公文書館公文書係」になっていた。
「宮内公文書館」とは全く聞いたことのない組織だったので、担当者の方に直接聞いてみた。

宮内庁書陵部には主に2つの資料群がある。
一つは、中近世の手書きの古文書。絵巻物とかも入っていて、要するに皇室が所有している古文書である。
もう一つは、明治以降の宮内省(府・庁)が作ってきた近代公文書である。

担当者の方によれば、来年4月の公文書管理法施行への対応のため、管理法に関わる後者と、そこからは外れている前者とを明確にするために、組織を分けたということである。
前者に当たるのが「図書寮文庫」となり、後者が「宮内公文書館」という分け方になり、図書課の出納係が前者、公文書係が後者に属することになったとのこと。

ただし、どうも中身はまだ詰め切れていないようで、今のところ特に業務などが何か変わったということではないようだ。
「とりあえず分けてみた」というレベルらしい。

4月から公文書係長が交代していたので、「国立公文書館や外交史料館と開示基準を合わせなければ問題になりますよね~」みたいな軽いジャブを放って帰ってきました。
未だに公文書管理法の政令案が出てきませんが、関連部局では着々と何らかの動きは起きているようです。

続報があればまたここで書きます。
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「行政透明化検討チーム」の設置 [2010年公文書管理問題]

前回の続き。
「行政透明化検討チーム」の設置の話。

情報公開クリアリングハウスの三木由希子さんから情報提供がありました。ご自分のブログでも書かれていますが、メンバー、日程は以下のようになっているとのことです。

 座長 枝野幸男(行政刷新担当大臣)
 座長代理 三宅弘(弁護士)
 事務局長 泉健太(内閣府大臣政務官)
 構成員 逢坂誠二(内閣総理大臣補佐官)、階猛(総務大臣政務官)
     渋谷秀樹(立教大学教授)、橋本博之(慶應義塾大学教授)
     藤原静雄(筑波大学大学院教授)、松村雅生(日本大学教授)
     三木由希子(情報公開クリアリングハウス理事)、三宅弘(弁護士)


 第1回検討会(4月20日10:30~12:00) 
 第2回検討会(5月19日18:00~20:00)
 第3回検討会(5月26日10:00~12:00)
 第4回検討会(6月8日18:00~20:00)
 第5回検討会(6月23日10:00~12:00) 

ただ、日程は変更がありうるとのことです。

メンバーを見ると、座長代理の三宅氏は情報公開法制定を推進してきた方。
枝野、泉、逢坂各議員は公文書管理法制定に関わった方達。
三木さんは言わずとしれた情報公開運動の中心人物。
他の方はあまりよくわからないがググってみると、階議員は元銀行員(あまり情報公開とは関係なさそう)、渋谷氏は憲法学者、橋本氏は行政法学者(行政訴訟など)、藤原氏も行政法学者(情報公開法など、たしか情報公開審査会の委員もされていたはず)、松村氏も行政法学者(藤原氏と同じような感じ)ということみたいです。

メンバーとしては悪くないと思います。三宅氏が事実上の座長ということは、官僚寄りの決着点にはなりにくいでしょう。
ただ、歴史研究者を入れろとは言いませんが、せめて行政学をやっている人ぐらい入れたらどうなんだろうと個人的には思いますが。
利用者の立場からのコメントをする人が三木さんぐらいしかいないのはどうかなあ。

第1回の会合を終えると、パブリックコメントの募集も行う予定とのこと。
意見を言っておきたい人は是非ともご用意の程を。

基本的には三木さんご本人がブログで色々と情報発信をしてくださると思いますが、私もできうる範囲内でフォローしていきたいと思います。博論追い込み中なのであまり複雑なことはできませんが・・・

追記(5/25)
どうやらメンバーには中島昭夫氏(桜美林大学講師)も入られているようです。
中島氏は朝日新聞社で情報公開法制定時に一斉開示請求を行った際の中心メンバーです。情報公開の利用者の立場からも発言ができる方だと思います。
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枝野行政刷新相のここ数日の動き [2010年公文書管理問題]

ここ数日、枝野幸男行政刷新相の公文書管理問題についての動きがいくつか報じられた。
引用します。

政務三役会議の概要「ネット公開を」 枝野氏が呼びかけ

2010年4月8日0時26分 朝日新聞

 枝野幸男行政刷新相は7日、自身が参加する内閣府の政務三役会議の議事概要を、インターネットで公開する方針を決めた。枝野氏は、他省庁に対しても、政務三役会議を公開するよう呼びかける考えだ。政策決定過程の透明化を図る狙いだ。

 各省庁の大臣、副大臣、政務官が協議する政務三役会議は、鳩山政権が「政治主導」の一環として、事務次官会議の廃止とともに導入。会議自体は原則非公開で、総務省が独自に会議の様子や議事概要、配布資料をネット上で公開しているが、多くの省庁では会議後の記者への説明にとどまっていた。このため政策立案過程が不透明となっており、鳩山政権が掲げる情報公開の徹底の原則に反するという批判も出ていた。

 枝野氏は、人事案件や、公開するのが適当でないと判断した内容を除き、会議のあった日から3日以内に内閣府のウェブサイトに載せる方針で、同様のことを各省庁に求める。

 来年4月に施行される公文書管理法は、公文書の作成や保存を徹底するための統一ルールを定めており、重要な会議での決定または了解と、その経緯について文書を作成することになっている。公文書の保存管理を重視する枝野氏は同法で政務三役会議を対象としたい考えで、今回の議事概要の公開は「同法を先取り」(大臣室)した形だ。

 枝野氏は、公文書管理法制定に向けた与野党調整時の民主党窓口を務めていた経緯もあり、公文書の保存や管理に関心が高い。2日には国立公文書館を1時間半にわたって視察。枝野氏は視察後、記者団に「いずれ残って公開されるということが、現在の行政に緊張を与えることになる。ほかの予算を削ってこうしたところにコストをかけたい」と話した。


情報公開制度見直しへ=検討チーム新設、6月に結論-枝野行政刷新相

4月9日11時12分配信 時事通信

 枝野幸男行政刷新担当相は9日午前、閣議後の記者会見で、国民の行政参加を促す観点から、自らを座長に有識者らが参加する「行政透明化検討チーム」を設置し、国の情報公開制度の抜本的見直しに着手することを明らかにした。15日に初会合を開き、6月をめどに結論をまとめる。早ければ秋の臨時国会に情報公開法改正案を提出する見通しだ。
 検討チームのメンバーは10人で、座長代理に情報公開法に詳しい弁護士の三宅弘氏を起用。情報公開法を所管する総務省から階猛政務官、首相官邸から地域主権担当の逢坂誠二首相補佐官もメンバーに加わる。
 枝野氏が制度見直しの素案を提示した上で検討に入り、「公開請求から開示決定までの期間短縮」や「不開示要件の縮小」などを目指す方針。 
(引用終)

こういう動きを見ると、やはり枝野氏が行政刷新相になった効果がでているなあということを実感する。
メンバーも情報公開に積極的な方が関わっているようで期待できる。
特に、「不開示用件の縮小」は重要。これまで過剰に不開示にされることも多かったので。

先に引用したものも非常に重要。民主党は政権に就く前から政策決定過程の可視化ということを主張していたわけだから、もっと積極的に公開をしていってほしい。→以前書いた記事
また、他の省庁において、もしすぐに公開不能というのであったとしても、きちんと議事録は残して将来的には公開してほしい。

なにはともあれ、枝野行政刷新相の今後の動きは注目していきたい。
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「不存在」の文書が見つかるということの意味 [2010年公文書管理問題]

今朝の毎日新聞の記事。引用します。

<砂川事件判決>日米密談の文書存在 外務省が一転開示
4月3日2時33分配信 毎日新聞

 東京都立川市にあった米軍立川基地を巡り、米軍駐留を違憲とした59年の「伊達判決」直後に、当時の駐日米大使が日本側の外相や最高裁長官に面会していた問題で、外務省が「関連文書不存在」としていた従来の姿勢を翻し、文書の存在を認めたことが分かった。政権交代を受けて、文書を開示するよう再請求していた元被告側に2日夕開示した。一連の「密約問題」同様に、情報公開の趣旨を逸脱するこれまでの外務省の姿勢が明らかになった。【野口由紀】

 開示を求めていたのは、同基地への立ち入りを問われた「砂川事件」の元被告、坂田茂さん(80)=川崎市中原区=と支援者ら計40人。

 同事件の1審「伊達判決」を巡り、当時のマッカーサー駐日米大使が藤山愛一郎外相と会い、控訴を経ずに上告する「跳躍上告」を勧めていたことや、大使と田中耕太郎最高裁長官が上告審の時期の見通しについて密談していたことが08年4月、米側公文書で判明。元被告らが、09年3月に情報公開請求したが、法務省、外務省、内閣府、最高裁の4機関は同年5月までに、大使との会議記録などに関し「不存在」と通知していた。

 今回、一転して外務省が公開したのは、伊達判決2日後の59年4月の「藤山大臣在京米大使会談録」。「極秘」との印が押された手書き文書で計34ページある。今後、支援組織の弁護士らが読解を進める。

 公開の再請求は、昨年9月の政権交代で、岡田克也外相が一連の日米密約の調査を指示したことを受け、10月に行った。外務省以外の3機関は11月、以前と同じ理由で不開示としたが、外務省は12月25日、「現時点までに、該当文書を特定することができなかった」として、不開示を通知したものの、「最終決定ではなく、引き続き調査を行う」としていた。

 坂田さんは「内容をよく見ないと分からないが、一歩前進だ」と喜び、同じく元被告の静岡市葵区、土屋源太郎さん(75)は「密約問題への世論が高まり、外務省としても真剣に考えざるを得なかったのだと思う」と話している。
(以下略)

この外務省の対応で一番問題なのは、初めに請求に対して「不存在」と回答したことにある。
この文書を機密を理由として開示しないなら、「不開示」(存在するけど見せられません)と回答すればよい。
また、そもそもこの文書が存在するか否かすらも機密情報だというのであれば、「存否拒否」(存在するか否かを回答することすら拒否する)というやり方だってあった。

「不存在」とは「それに関する文書は一切所有していない」という回答である。
情報公開制度は、当たり前だが、請求した人が文書を探せるわけではない。
探すのは請求を受けた官庁の職員である。
つまり、その「探す人」が「嘘をつかない」ということがこの制度の成立の絶対条件となっているのだ。

今回の出来事は、その「探す人」が「嘘をついた」ということである。
こういったことが起きると、それまでの情報公開請求への対応の全てが疑いの対象になってしまう。
つまり、「請求された文書を全てきちんと開示してきたのか」という不信の目で見られることになるのだ。

また、さらに問題なのは、密約問題もそうなのだが、「政権が代わったら出てきた」という事実である。
本来、外交とは政権が代わっても継続性がある。前政権が締結した条約が、政権が交代したから無かったものになるなんてことは無い。

もちろん、政権が代われば外交政策は変わる。それによって、過去の文書の機密性が薄れるということもあるだろう。
でも、過去にあった出来事を開示するか否かは、本来は政治的な思惑で左右されるべきではない。

外交文書であっても、一定の年数がたてば自動的に開示する。
もし機密指定が必要なら、誰が政権を取っているのかに関係なく、誰でも納得しうる論理で機密指定を行う。
本来なら文書の公開・非公開とはそうあるべきものではないのか。


今回の一連の問題で、外務省の情報公開に対する信頼性は、ほぼゼロに近い状態にまで落ちてしまった。
少なくとも、情報公開法施行以前から、外務省は情報公開に努力してきた省庁である。
他国と比べれば不十分ではあるが、国内の他省庁よりは遙かにマシな対応を取ってきた。

だからこそ、こういったことが起きること自体、非常に残念でならない。
信頼回復のために、是非とも公開・非公開の透明性を高めることに努めてほしいと思う。
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