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日本史研究会4月例会 [2010年公文書管理問題]

依頼されたので貼っておきます。私はさすがに関西なので行けませぬが。
歴史研究者だけでなく、アーカイブズの方にも来て議論に参加して欲しいとのことです。
関西の方はぜひぜひ。

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日本史研究会4月例会

○テーマ 地域歴史資料と歴史研究
○趣旨
 近年、地域歴史資料を取り巻く状況は大きく変化している。2009年7月の「公文書管理法」の
成立はその重要性の社会的認識が高まっている事を示す1つの画期であった。しかし一方自治
体の財政難で公文書館・博物館行政の縮小が進み、それは自治体保管の歴史資料のみなら
ず、市民社会の中で保存されてきた歴史資料をも滅失させる。このことが大規模自然災害時の
歴史資料の廃棄に如実に現れることは、阪神・淡路大震災以来の歴史資料保全活動の中で
明らかになっている。
 地域歴史資料の滅失を防ぎ、市民社会の中でそれを活用し次世代へ継承する営みにおいて、
地域歴史資料を利用し歴史研究を進めていく私たち歴史研究者の位置は極めて重要である。
本例会では、地域歴史資料の滅失の危機の中で、歴史研究者は地域歴史資料にいかに向き
合い、歴史研究を進めていけばよいのかを考えたい。

○報告
 福島幸宏氏(京都府立総合資料館)「公文書管理法以降の歴史学の方向性」
 佐賀朝氏(大阪歴史科学協議会)「大阪府・市公文書館問題と地域歴史資料保存・活用の課題」
 松下正和氏(神戸大学特命講師)「大規模自然災害時における被災史料保全活動の現状と課題」

○日時・場所
  2010年4月17日(土) 13:00~17:00 機関紙会館5階大会議室

  〒602-8026 京都市上京区新町通丸太町上る春帯町350
    京都市営地下鉄烏丸線「丸太町」駅下車、西へ徒歩約6分。

※無料、一般来聴歓迎
※後援 全国歴史資料保存利用機関連絡協議会近畿部会

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外務省「密約」問題報告書を見て思う [2010年公文書管理問題]

昨日、外務省より、いわゆる「密約」問題に関する調査報告書が公表された。記事を引用します。

<日米密約>政府見解修正 外交文書公開ルール検討へ…外相
3月9日20時31分配信 毎日新聞

 岡田克也外相は9日、外務省で記者会見し「米国政府から日本政府へ事前協議がないため核搭載艦船の寄港・通過はない」としてきた従来の政府見解を「核の持ち込みがなかったと言い切ることはできない」と修正した。密約について「長期間にわたり国民に明らかにされなかったことは遺憾だ」と表明。「沖縄への核再持ち込み」に関しては「これこそ密約じゃないかという気がしないでもない」と述べ、有識者委と異なる見方を示した。

 岡田氏はまた、自身を本部長とする「外交記録公開・文書管理対策本部」を省内に設置し、外交文書の公開ルールなどを検討することを明らかにした。文書破棄の可能性については「意図的な破棄があったか明確でない。(文書の存在が)特定されないと、調査すると断言するのは難しい」と再調査に慎重な姿勢を示した。
(以下略)

報告書の内容はなるほどという感じだ。憲法9条に抵触する問題については、「話詰めようか」「いやあいまいにしとくか」みたいな流れが日米双方にあって、その揺れ動きの中で密約などが作られていたということなんだろうと。

この報告書が出るまでに時間がかかったということは、おそらくアメリカや国内での意見調整に時間がかかったということだと思われる。
是非とも、30年後にはこの報告書が発表されるまでの「政策決定過程」がきちんと公開されることを望みたい。

なお、私が注目したのは、「密約」に関する報告よりも、有識者委員会の報告書の「補章 外交文書の管理と公開について」(95-104ページ)の部分。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/mitsuyaku/pdfs/hokoku_yushiki.pdf

この章は、委員会が密約調査だけでなく、「外交文書の公開のあり方に関する提言という任務」も課されていたため、「利用者の立場」と銘打って作られた提言である。
この提言は、戦前の外相・石井菊次郎(石井・ランシング協定などで知られる)の「書類の整備の完否は、外交の勝敗を決する」という言葉から始まり、外務省の外交史料の保存のあり方の問題性を指摘し、これから施行される公文書管理法にどのように対応すべきかということについて、かなり具体的な提言がなされている。

特に注目したいのは、外務大臣と外交史料館長の権限関係の整理の話である。
公文書管理法では、公文書を公文書館に移管する際に、国際関係の文書については、公文書館側が外務省の意見を「参酌」して公開か非公開を判断することになっている。
この公文書館はもちろん「外務省外交史料館」であるので、今のままだと、外務大臣の意見を、その「部下」である外交史料館長が「参酌」することになる。

有識者委員会は、報告書で、外交史料館長に「適切な判断を下しうる立場が制度的に保障されることが望まれる」(103ページ)と指摘を行った。
私もこの点は以前から問題があることを指摘しているので、この点については大いに同感である。
ただし、もし「制度的に保障」するのであれば、外務省の中にある以上外務大臣の「部下」であることは疑いようが無いので、やはり国立公文書館の分館として外務省から分離するしかないとは思うが。

岡田外相はこの調査の公表について、御自身のブログ「もっと資料がきちんと保存されるようにする。そして、その資料が外務省の30年ルールに則って、30年経てばきちんと公開されるようにする。そのための体制をこれから作っていかなければなりません。」と書いているので、是非ともこの有識者委員会の提言を実現させるようにつとめてほしいと願っている。

あまり詳しくは述べている時間がないので、この程度の紹介にとどめますが、外交関係の文書を扱う近現代史研究者や、情報公開などに興味がある人、公務員関係者はこの有識者委員会の報告書の「補章」はきちんと目を通してほしいと願ってやみません。
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電子媒体の公文書保存へ 11年度から政府 について [2010年公文書管理問題]

昨日の共同通信の記事。引用します。

電子媒体の公文書保存へ 11年度から政府

 枝野幸男行政刷新担当相は19日の記者会見で、パソコンなどで作成した電子媒体の公文書を2011年度から国立公文書館でそのまま受け入れて保存する方針を明らかにした。公文書の原本は紙媒体だが、電子媒体による作成が増えた状況を考慮した。

 枝野氏は「電子情報を公文書館で受け取ることを始める」と表明。同時に「公文書が消えては困るので、電子情報を紙媒体に落とさなくていいのか技術的な面も含めて検討しなければならない」と指摘した。

 電子媒体での受け入れ・保存は、内閣府の独立行政法人評価委員会が3月にまとめる国立公文書館の中期目標に盛り込まれる。
2010/02/19 11:42 【共同通信】
(引用終)

内容よりも、枝野担当相がちゃんと公文書管理に配慮してくれているのだなあということの方にむしろ安心した。
就任の記者会見でも、「公文書管理につきましては、たまたま私もこの法案をつくるときの、当時の野党で対案を出した責任者の1人でございます。議会で修正をして、大変良い法律ができ上がっていると思っておりますので、できるだけ早く施行できるように準備を進めてまいりたいと思っております。」と話しておられたし。

内容については具体的な話が出てこないとわからないが、途中の討議関係の文書は、場合によっては手書きで書き込みなどがなされているものがあると思うので、そういう際には紙の文書の方もきちんと保存・移管してほしいと思う。
電子文書移管が、「電子データだけ渡せばよい」という解釈に捉えられないように注意してほしい。

あと、数日前にアメリカのCNNで取り上げられていたが、下記のような例も「電子公文書」になるはず。もちろん電子メールは言うに及ばずである。鳩山twitterだって本来ならそういった類のもののはずだ。
こういったtwitterや電子メールといったものをどう扱うのかという点についても、是非ともきちんと詰めた方針を出してほしいと願う。

Twitterの「つぶやき」がホワイトハウスの公文書記録に
2010.02.18 Web posted at: 15:40 JST Updated - CNN USA

ワシントン(CNN) ギブズ米大統領報道官は17日、インターネットの一言ブログTwitterで自身がつぶやいた内容が、ホワイトハウスの公文書として保存されることになったと発表した。

ギブズ報道官は記者会見で質問に答え、Twitterの「つぶやき」は職務の一環として行っているものであり、公文書記録の保存を定めた法律に基づいた扱いになると説明した。

ホワイトハウスではギブズ報道官のほか、バートン副報道官やニューメディア担当のメーコン・フィリップス氏がTwitterを職務で利用しており、代表アカウント「@WhiteHouse」は170万人がフォローしている。

ギブズ報道官によると、ホワイトハウスのつぶやきを一般ユーザーが引用しても記録には残らないが、ホワイトハウスにあてて直接返信したつぶやきは、公文書として記録が残るという。なお、ホワイトハウスあてに送られた電子メールは、既に公文書として保存されている。
(引用終)
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枝野幸男氏の行政刷新相就任 [2010年公文書管理問題]

昨日、枝野幸男氏が仙谷由人国家戦略・行政刷新相から後者の業務を引き受けることになりました。
行政刷新担当大臣は、公文書管理も担当しますので、仙谷氏から枝野氏へ権限が移ったことになります。

公文書管理問題をこれまで見てきた私としては、この人事は非常に大きい。
昨年公文書管理法が制定されたときに、民主党内で修正作業にあたっていたのが、枝野氏と西村智奈美氏(現外務省政務官)と逢坂誠二氏(現首相補佐官(地域主権担当))であった。
その枝野氏が行政刷新相として公文書管理担当になったのは非常に大きいと思う。

ただ、これまでの行政刷新担当はいわゆる「事業仕分け」の方に力が入りすぎて、どうも公文書管理問題は完全に放置されている状況にあるように思う。
もうそろそろ出ていなければならないはずの公文書管理法の政令案も出てくる気配がないし。

本来、事業仕分けの前提として、公文書管理の問題もあるはずで、きちんと情報を作成・管理・保存・公開することが、結局は「無駄遣い」を減らすために必要なことだと思います。

事業仕分けはあくまでも一過性の「劇薬」にすぎません。
公文書管理は遅効性ですが必ず「良薬」になるはずです。

なお、国立公文書館のウェブサイトを見た状況だと、現在の担当官は以下の通りのようです。

行政刷新相 枝野幸男氏
副大臣 大島敦氏
政務官 泉健太氏

是非とも期待をしたいと思います。
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公文書管理法制定にともなうセミナー [2010年公文書管理問題]

2月5日に全史料協が行った「公文書管理法制定にともなうセミナー」に参加してきました。
最近博論ばっかりでしたので、久々にきちんと公文書管理問題の勉強をした気がします。

演題は以下の3つ。

「地方公文書館設置に向けた現状と課題―全国調査から見えてくるもの―」
富田健司氏(芳賀町総合情報館、全史料協調査・研究委員会委員)

「公文書管理法の制定と地方自治体の公文書管理」
益田宏明氏(『行政文書管理』編集者)

「公文書管理条例と公文書館設置条例」
早川和宏氏(大宮法科大学院大学准教授、全史料協調査・研究委員会委員)



富田さんは、全史料協が各地方自治体に行った、公文書管理法制定後の対応の調査結果について報告された。
この報告はデータを提示しないと感想が書きにくいので、気になったものを少しだけ挙げておきます(要約)。

・文書管理例規の中に、保存期間満了文書から重要な公文書等を保存する何らかの規定はありますか。
 市町村 ある 386(39.8%)  ない 577(59.5%)
 都道府県 ある 27(73%)  ない 10(27%)

→この数字を多いと考えるべきか、少ないと考えるべきか、何とも言いにくい。ただ、都道府県レベルで10県が重要な公文書を保存する規定がないというのはいかがなものかと思う。

・公文書管理法が成立したことを庁内関係部署に周知していますか。
 市町村 している 154(15.9%)  していない 811(83.6%)
 都道府県 している 10(27.0%)  していない 27(73.0%)

→やはりまだ「自分たちの問題」として認識されていないということなんだなあと思う。

・公文書館機能を整備することについて検討していますか。
 市町村 既に整備 31(3.2%)  検討している 76(7.8%)  検討していない 857(88.4%)
 都道府県 既に整備 26(70.3%)  検討している 6(16.2%)  検討していない 5(13.5%)

都道府県でまだ検討していない県が5県あるのはどうなんだろう・・・。

他にも非常に興味深いデータが多くあった。
富田さんはアンケート結果を年度内に全史料協のHP上に上げると話されていたが、これは貴重なデータなので一日でも早くネットに上げていただければと思う。


益田さんは、これまでの地方公共団体での文書管理の簡単な歴史と現況、適正な文書管理への提言を報告された。
一番初めに衝撃だったのが、文書を体系的に整理保管廃棄する「ファイリング・システム」が昭和の大合併の後から全国の自治体に導入されていったが、結局はシステムが各地で崩壊して使い物にならなくなっていたということである。
自治省の調査によると、1969年に全国で924の自治体がファイリングシステムを実施していたが、1982年に346までその数が減っていたとのことである。
これから得られる教訓は、やはりいくら公文書管理の新しいシステムを入れても、機能させる努力をし続けなければ制度が空洞化するということである。

これ以外には、私の問題意識と関係するのだが、「ファイル名の付け方」に力点を置いて話されていたことが印象に残った。
益田さんの言葉を借りると、「検索するのは「文書」であり「ファイル」ではない」ということである。
そのため、実際に「文書」を探すのであれば、そもそも目録をファイル単位ではなく「文書単位」で作らなければならない。
これが煩雑で厳しいというのであれば、ファイル名を「具体的・限定的・明確」に付けなければ、結局は目録自体が意味をなさないのである。

これらは全くもって同感である。
他にも、管理表の作り方など、現場を知らない私には色々と参考になる点が多かった。


早川さんは公文書管理条例の制定の必要性についての報告をされた。
現在、地方自治体で条例を持っているのは、熊本県宇土市、北海道ニセコ町、大阪市の3つのみである。他は、公文書管理については規則などの行政内部での規定にとどまっている。

ではなぜ「条例」にしなければならないか。
それは、「公文書は国民・住民のものである」ということを明確にするために必要だという。

行政内の規則では、あくまでも公文書管理は行政の事務の効率化などにしか対応していない。つまり、「内向き」の論理でしか公文書管理がなされていないのである。
一方、現在まで作られた3つの条例には、目的に市(町)が保有する情報は「市民(町民)の財産」と明記されている(公文書管理法にも「国民共有の知的資源」という言い方で、同様の規定がされている)。
つまり、公文書は「市民のもの」であることを、行政官にきちんと認識させることができるようになるのである。

もちろん、条例の制定は、行政官の心構えへの影響という問題だけではない。
条例に公文書の一元管理などを組み込んでいけば、作成や廃棄がずさんであった場合に違法性を問うことも可能になる。
内規はあくまでも「決まり事」のレベルでしかなく、それを守らないことがただちに違法になるわけではない。一方条例はそれを破れば明確に「違法」である。

内規であれば、住民からの監視を受けずに済む。
でも「条例」になればそうはいかない。だからこそ「条例」の制定は必要なのだ。

これらの話を聞いていて、条例の必要性が非常によくわかった。
要するに、国の公文書管理が各省庁の内規だけではまともに機能しなかったために公文書管理法という「義務」が必要になったように、地方でも同様のことが必要だということなのだ。

今回のシンポの話を聞いていて、これからどのように公文書管理法の効力を地方に波及させていけば良いのかというヒントを色々と得たように思う。

その後の懇親会では、これまで名前だけは知っていたがお会いしたことがなかった方と色々とご挨拶をすることができた。
シンポの最後で私に話が振られたので、思わず以前にブログで書いた「既存の公文書館が自分たちの情報を発信できていないのではないか」ということを各地の公文書館関係者がいる前でぶちまけてしまったところ、かなり衝撃を与えたようで、懇親会の席で色々な方から事情をうかがった。

私の勝手な願いなのだが、「既存の公文書館には模範になってほしい」のだ。
できるかぎり多くのモデルケースをネットなりに上げて、各地の心ある自治体の職員の方の模範になってほしいのだ。


大変なのは重々承知ではあるのですが、公文書管理法が施行される今こそ、公文書館の地位を向上させるための努力が求められていると思います。
私もこのブログを通じて、微力ながら支援していきたいと考えています。
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