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情報公開制度の改正全般についての意見・提案 [2010年公文書管理問題]

行政刷新会議の情報公開改正に関するパブリックコメントの募集に応募しました。
http://www.cao.go.jp/sasshin/hatomimi/kokumin-koe-joho-kokai.html
期限は5月14日までです。

私の書いたものを下に貼っておきます。長いのはご勘弁を。
ただ、これでも論点は絞ったつもりです。ぐだぐだと何項目も並べるのもどうかと思ったので、私しか書きそうもないようなことを重点的に書きました。

青字は行政刷新会議側の質問。[手(パー)]は、会議側が用意した選択肢を選択したという意味です。適度に改行を加えてあります。

1.情報公開制度全般に関するご意見
1.「国民の知る権利」を保障するためには、情報公開制度の改正が必要だと思いますか?


 はい

その理由を下記に記載してください(任意・200文字以内)

 筆者は情報公開制度を用いて実際に文書を請求しているが、開示までのスピードの遅さ、不開示部分の多さ、重要な文書が保存されていない状況に呆れることが多い。
 昨年公文書管理法も公布されたこともあり、公文書を作成から保存開示までを一体化する制度の整備は急務である。
 国民目線に立った制度の改良を望みます。

2.現行の情報公開制度全般についてのご意見等をお聞かせください(任意・400文字以内)

 情報公開制度をもっと国民が使いやすくするためには、行政文書ファイルの検索システムの改良が絶対に必要である。
 現在のシステムは、

1.ファイル名が曖昧で必要な情報が手に入らない。
2.ファイルの中に複数の文書が綴じられることが許されており、中には1つのファイル名に約1700冊の簿冊が入っていたケースがあった(宮内庁において)。
3.文書保存期間を延長した際に、同じデータ内に情報が追加されるのではなく、同じファイル名が延長の度に追加されていくため、文書の管理状況が非常に見にくい。

など、検索システムとして全く機能していない。
 おそらく内部の職員もこのシステムを使って文書を探していないのではないかと思われ、「データベースを整備して公開をした」というアリバイ作りにしか見えない。
 この検索システムが改良されない限り、どのような法的な改正が行われたところで、国民にとって使いやすい制度には絶対になり得ない。
 この点に付き、今回の法改正において何らかの対策を取られることを期待したい。

2.情報公開制度の改正の方向性について
1.開示対象の拡大・明確化について改正が必要だと思うものにチェックしてください(複数回答可)

[手(パー)]公務員等の職務の遂行に係る情報について、当該公務員等の氏名も原則として開示するべき,
[手(パー)]一般企業等が行政機関等に公にしないとの条件で任意に提供した情報も原則として開示対象とするべき,
[手(パー)]不開示情報である「公にすることにより、国の安全が害されるおそれ、公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれ等がある情報」かどうかの判断に、行政機関等の裁量を大きく認めるべきでない,
[手(パー)]国等における審議・検討等に関する情報で、それを公にすることにより、「不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ」がある情報についても、行政機関の裁量が大きく入る余地があるため、原則開示とすべき

その他、開示対象に拡大・明確化についてのご意見をお聞かせください(任意・200文字以内)

 現在の公開制度は各省庁の判断に重きが行き過ぎており、過剰な不開示が多く見られる。
 例えば宮内庁では60年以上前の警備情報が情報公開法第5条第4項で不開示にされている。無線すらろくに無かった時代の警備の情報が「公共の安全と秩序の維持に支障」があるとは全く思えない。
 こういったケースに遭遇するにつけ、各行政機関等の裁量を狭め、いずれかの上級機関で開示基準を統一化し、不服申立てに対する対応を強化する必要を強く感じる。
 また公務員の氏名は自分が責任を持って行った仕事である以上、原則として開示されるべきであると思われる。

2.開示手続きの迅速化・強化について改正が必要だと思うものにチェックしてください(複数回答可)
[手(パー)]開示請求・実施にかかる手数料を原則廃止する,
[手(パー)]開示請求から開示決定等までの期限を短縮する,特例としての開示の無期限延長を見直す

そのほか、開示手続きの迅速化・強化についてのご意見をお聞かせください(任意・200文字以内)

 開示請求や閲覧に手数料がかかるのは、個人財産の無い方の請求を制限しており、原則廃止されるべきである。
 たしかに、嫌がらせ目的などの大量請求などが行われる危険性はあるが、こういった例外的なケースを理由として手数料を取る制度を残すのはおかしい。
 一方そういった大量請求に対する対策として、特例の無期限延長制度を残すのは止むをえないが、その延長制度の利用には内閣総理大臣への報告義務を課すなどといった、行政機関側の安易な使用を許さないための制限が必要である。

3.事後救済制度の強化について改正が必要だと思うものにチェックしてください(複数回答可)
[手(パー)]不服申立てがなされてから審査会への諮問を行うまでの法廷期限を導入する,
[手(パー)]情報公開訴訟を、原告の普通裁判籍所在地の地方裁判所にも提起できるようにする,
[手(パー)]裁判所が、行政機関の長等に対し、対象文書の標目・要旨・不開示の理由等を記載した書面(いわゆるヴォーン・インデックス)の作成・提出を求める手続を導入する,
[手(パー)]裁判所が対象文書を実際に見分し、不開示情報の有無等を直に検討できるインカメラ審理手続を導入する

その他、事後救済制度の強化についてのご意見をお聞かせください(任意・200文字以内)

 諮問を行うまでの期限だけでなく、審査会の答申が行われてから、各省庁が決定を出すまでの期限も導入してほしい(半年ぐらいかかったことがある)。
 裁判はできる限り原告の負担が少なく行えることが望ましい。
 ヴォーンインデックスやインカメラが無い状態で裁判を行うのは、あまりに原告側が不利であるので改善を求めたい。

3.その他
 その他、情報公開制度の改正全般についてのご意見・ご提案等をお聞かせください(任意・400文字以内)
※ご意見が書ききれない場合や添付資料等をメールにて送付希望の方は『別途メール送付希望』の旨ご記入ください。当室より「4.登録者情報」に記入いただいたメールアドレス宛にご連絡いたしますので、返信にて、ご意見や添付資料をご送信ください


 書ききれませんので、別途メール送付を希望します。

   ↓
メールで送付したもの。

情報公開制度の改正全般についての意見・提案
2010年5月6日      
瀬畑 源(SEBATA, Hajime)

 情報公開制度の改正への意見・提案を述べさせていただきます。

1.長期保存文書の取り扱いについて

提案
 現用文書の不開示の判断に「時の経過を考慮する」という文面を入れる。

説明
 個人情報を初めとした様々な情報は、作成・取得された時点では不開示情報であったとしても、時の経過により秘匿する必要性は一般的に減少します(宇賀克也『逐条解説公文書等の管理に関する法律』第一法規、117頁)。公文書管理法第16条第2項で、「特定歴史公文書等」については「時の経過」を考慮することという文面が入りました。これで、現在の国立公文書館が行っている「時の経過」を考慮した独自の開示基準(「情報内容」によって開示不開示を決定する)が追認されることになったものと思われます。
 しかし、現在の情報公開法ではこの「時の経過」の概念がありません。そのため、たとえ明治時代の文書であったとしても、現用文書として行政機関に保管されていれば、1年前に作成された文書と同じレベルの不開示基準が適用されることになっています。
 本来なら30年保存でその後は移管・廃棄をするというのが情報公開法の原則であるため、おそらくこういった事態はあまり想定されていなかったのではないかと思います。しかし実際には、保存期間延長が毎年のように行われて事実上の永久保存文書になっている文書が各省庁でかなりの量存在します。
 このため、情報公開法の運用においてもいくつか支障が出ております。筆者は歴史研究者として宮内庁に作成から50年以上経過した文書を数多く請求を行っておりますが、60日以内に開示されることが非常に少ないです。職員の方に伺ったところ、昔の文書のため手書きの文字の解読に時間がかかる(旧字体など)、文書に出てくる個人が誰なのか特定することが困難(開示不開示の判断が難しい)などが、開示決定までに長時間がかかる要因となっているようです。特に後者の問題は非常に大きいようです。
 また、行政機関内に意図的に文書を抱え込むことによって、現用文書の厳しい不開示規定を適用させて、不開示部分を多くしようとする傾向もあるように思われます。つまり、情報公開法が不開示に対して「時の経過」への配慮を行っていないことを逆手にとって、自分たちに不都合な情報の隠蔽のためにあえて「現用」のままにしておくということが行われているようです。
 もちろん、そもそも論としては30年以上経過した文書は例外なく公文書館に移管されるべきものだと思いますが、公文書管理法でも移管を強制させる条文は入りませんでした。そのため、公文書管理法が施行されたとしても、30年以上経過した文書が大量に行政機関に残る事態は続くものと思われます。
 そこで、公文書管理法と同様に、情報公開法第5条の適用の際には「時の経過を考慮する」という言葉を加えていただき、作成から30年以上経過した文書については、国立公文書館に移管された非現用文書と同様の基準で公開非公開を決めることを義務づけていただきたいです。このようにすることで、古い文書の人物特定にかかる時間などが軽減され、「情報内容」に基づいて開示不開示の決定が行えるようになり、各行政機関の審査作業の負担も軽減されると思われます。


2.情報公開法と公文書管理法の一元的運用について

提案
 情報公開法の所管を内閣府に移し、公文書管理法と一元的な施策を取る。内閣府公文書管理課の人員予算の増強を行う。また、中間書庫を設置して長期保存文書の管理を徹底し、国立公文書館への文書移管をスムーズに行う。

説明
 すでに枝野大臣の「情報公開制度の改正の方向性について」の第7に記載がありますが、情報公開法の所管を内閣府に移し、公文書管理法と一元的な施策が取られることを希望します。
 公文書管理法と情報公開法はよく「車の両輪」に例えられます。文書を作成し、保存し、公開するという一連の流れが、省庁の壁によって阻まれるようなことがあってはなりません。例えば、電子公文書の問題一つを取っても、総務省が電子公文書作成のシステムを作り、内閣府が文書の移管廃棄などの監視を行う権限を持っている現状は、システム作成者と実際の運用者が別ということを意味しており、将来的に電子公文書の保存が上手くいくのかが非常に危惧されます。
 また、この一体運用のために、内閣府の公文書管理課の人員予算の増強を希望します。昨年の公文書管理法制定の際の国会審議(2009年6月23日参院予算委)では、人員が10名しかいないということでした。これでは、来年施行の公文書管理法の運用に著しく支障が生じることは目に見えて明らかです。総務省からの権限移管の際に、人員と予算の増強を是非とも行ってほしいと思います。

 さらに、この一体運用を行うために、「中間書庫」の設置を緊急に行うべきだと考えます。
 1ですでに述べましたが、各行政機関には作成から30年以上経過した文書が大量に保管されています。本来ならば公文書館に移管されるべき文書群です。
 しかし、明治時代からの古い文書を、公文書館にあるような温度湿度管理が厳密にされた保存施設のない各省庁で保存しておけば、状態の劣化が進むことになります。また、長期間の保存期間を設定された文書は、その文書を作成した担当者がいなくなると、紛失する危険性も高まります。
 そのため、中間書庫を設置し、30年の保存期間を設定された文書であっても、ある程度の期間が経てば中間書庫に移管して整理し、期間満了後には廃棄か移管のどちらかを行い、保存延長をさせないようにするべきです。30年以上経過した文書を見たい場合は、各行政機関の職員であっても公文書館に行くこととし、自分たちの機関で抱え込むことを止めさせる必要があります。
 できれば、各行政機関毎ではなく、中央に各行政機関からの文書を全て引き受ける中間書庫のセンターを設立し、それを国立公文書館が管理する仕組みができれば良いと思います。しかし、もしまだ運用できる人材が不足しているのであれば、しばらくは各行政機関に中間書庫を設置し、その運用に国立公文書館が関与できるようなシステムが組まれることを希望します。


3.閣僚文書の公文書化について

提案
 閣僚が任期中に作成した自らの職務に関する文書は全て公文書と見なし、情報公開制度の対象とするべきである。

説明
 現在の情報公開法は「行政機関」や「独立行政法人」に限られたものです。立法府の文書については、情報公開法が存在していません。
 そのため、閣僚が作成する文書の位置づけが曖昧なものとなっています。閣僚が自らの管轄する行政機関を通して作成した文書については、各行政機関が情報公開法の対象となっているためにその公開を要求することが可能となります。
 しかし、閣僚本人やその秘書官が作成した文書(閣僚が民間有識者などと話し合って政策決定を行おうとした文書なども含む)は、秘書官の多くが議員公設秘書がそのまま異動しているために、「国会議員の作成した文書」と同様の扱いとなっており、実質的には情報公開法の網からこぼれ落ちています。そのため、例えば首相秘書官が作成した首相のスケジュール帳などといったものは、首相を辞めたときにそのまま持ち帰ってしまっており、公文書として保存されていません。しかし、こういった情報がなければ、実際の「政策決定過程」を後から追うことは非常に難しくなると思われます。
 よって、閣僚時代に作成した職務に関する文書は、全て公文書として保管されるべきものであると考えます。米国では大統領の持つ携帯電話の記録まで公文書として保管対象になっており、日本でも同様の制度が作られるべきだと思われます。
 ただ、政権交代による暴露などの危険性など、政争の具に使われる可能性もありますので、ある一定年度が経過するまで情報公開の対象からは外すといった処置が取られる必要はあると思います。
 この問題は、枝野大臣の「情報公開制度の改正の方向性について」の第6に記載の立法府の「立法行政事務」の情報公開制度が制定されたとしても、立法府の情報公開法と現在の行政機関情報公開法の狭間に落ちてしまう可能性があります。是非ともこの点に付き、ご検討いただけたらと思います。

以上
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