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特定秘密保護法パブコメを受けて(前編) 運用基準案改正 [2014年公文書管理問題]

2014年9月10日、第3回の情報保全諮問会議が開催され、パブリックコメントを受けて特定秘密保護法の施行令案と運用基準案の修正が行われた。

施行令案では修正ゼロ。
運用基準案はパブコメによって27ヵ所、その他文面の調整が行われた。


基本的には、曖昧であったところが具体的な記述になったり、書き込み忘れていたことを書いたりといったことがほとんどであり、27ヵ所とは言っているが、根本的な部分は手を付けられることは無かった。
ただ、もちろん、すべてが改善に繋がったことは評価していいだろう。

具体的に27ヵ所も説明するのは冗漫なので、内閣官房が取り上げた「主な修正点」7つについて簡単にコメントをしてみる。
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/jyouhouhozen/dai3/siryou1.pdf

なお運用基準案の改正は以下を参照のこと。
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/jyouhouhozen/dai3/sankou1.pdf

1.基本的な考え方に、国民の知る権利の尊重について具体的に記述しました。

元から入っていなければならないことである。


2.別表第1号(防衛に関する事項)該当性について、米軍に関する事項は、自衛隊との関わりの限りで指定の対象となることを明らかにしました。

最初から、そのような意図で書こうとしていたが、日本語がおかしかったために誤解を生み、修正したにすぎない。


3.公益通報の通報対象事実その他の行政機関による違法行為の事実は特定秘密に指定してはならないことを明記しました。

隠蔽工作のために特定秘密制度を利用することを禁じたもの。
公益通報の通報対象事実その他の行政機関による法令違反の事実を指定し、又はその隠蔽を目的として指定してはならないこと」(改正案9~10頁)という下線の部分が追加された。

「法令違反の事実を指定」「その隠蔽」ということだから、悪意の有無は問われておらず、それを行った時点でダメである。
これは重要であり、書き込まれて良かったと思う。
もちろん、特定秘密に何が指定されているかは外部からはわからないが、内部告発のリスクを背負う以上、一定の心理的な歯止めにはなるだろう。

政府としては、防衛や公安関係の情報を特定秘密に指定したいわけであり、不信をもたれるような可能性はできるだけ排除したいということではあるのだろう。
これは秘密保護法反対運動の圧力があったからこその成果だろう。


4.緊急廃棄した時は、その理由等を記載した書面を作成し、行政機関の長等に報告するものとしました。

これは大幅に修正された部分だが、そもそもそういったことが全く書かれていなかったことがおかしい。

運用基準案の原案の段階では、緊急事態における廃棄については、ほぼ何も書いていないに等しく、各行政機関に投げっぱなしの状態であった。
今回の修正で、緊急廃棄を行った際には、行政機関の長への報告義務などが課されることになった。

ただ、そもそも特定秘密制度の前身の一つである防衛秘密制度においては、緊急廃棄を行った際には、防衛大臣に報告する義務が存在している「防衛秘密の保護に関する訓令」43条3~5項)

つまり、そもそもとして最初から入っていなければいけない内容である。

なので、最初から入れる予定のものをあえて外し、それを直すことで「改善しました」というポーズを取って他の修正をかわそうとしたとしか思えない。

例えば、「緊急事態」とは結局どのような定義であるのかを、例を挙げることすらも拒否しており、緊急事態の定義の限定をかけられないための手段だったのではと疑わざるをえない(パブコメ回答20頁116への回答)。
もちろん、今後想定外の事態が起こる可能性はあるわけだが、ある程度の例示は可能だったと思う。


5.適性評価の苦情処理の結果を通知する際は、判断の根拠等を具体的に説明することとしました。

これも元々入っていなければならないもの。


6.内閣府独立公文書管理監が行政機関の長に特定秘密の指定等について是正を求めたときは、内閣保全監視委員会にもその内容を通知することとしました。

保全監視委員会に伝える理由は「同様の事案について適切な措置をとるよう主要関係省庁で是正要求の内容を共有することとしました。このことにより、内閣府独立公文書管理監から是正を求められた行政機関の長がより実効的な措置をとることにも資するものと考えます」とのことである(パブコメ回答38頁29)。
内閣官房の言い分を斟酌すると、チェック機関に強制的な解除権はいらず、類似した事例の積み重ねを共有することで適切に機能すると言いたいらしい。

ちなみに、このパブコメへの回答は、「チェック機関に指定の強制解除権を持たせるべき」という質問への答えである。

全く答えになってないと思うのだが。
逆に是正を拒否する事例が共有されて積み重ねられそうな感じがしなくも無い。

保全委員会に伝えることは問題ないが、強制的な解除権が結局付与されていないのはまずいだろう。


7.運用基準は、特定秘密保護法の施行後5年を経過した場合に見直すとともに、定期的、又は必要に応じ見直すこととしました。また、その内容も公表することとしました。

5年での見直しが入ったのは良いと思われる。
だが、これも最初から入っていなければならないことだろう。


結局、もともと入っていなければならないものがほとんどであることが、これらを見ても分かるだろう。

根本的な改正は、そもそも法律自体の不備が多いのでありえないとは思っていたが、やはりということだろうか。

長くなったので、パブコメへの回答集の話は後編に。
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特定秘密保護法関連のパブコメについて(7)私のパブコメ [2014年公文書管理問題]

これまで6回にわたって、特定秘密保護法関連のパブコメに関連する記事を書いてきました。

特定秘密保護法関連のパブコメについて(1)募集内容〔修正版)
http://h-sebata.blog.so-net.ne.jp/2014-07-28
特定秘密保護法関連のパブコメについて(2)施行令案、特定秘密廃棄問題
http://h-sebata.blog.so-net.ne.jp/2014-08-03
特定秘密保護法関連のパブコメについて(3)運用基準案
http://h-sebata.blog.so-net.ne.jp/2014-08-05
特定秘密保護法関連のパブコメについて(4)特定秘密指定管理簿
http://h-sebata.blog.so-net.ne.jp/2014-08-07
特定秘密保護法関連のパブコメについて(5)監視機関
http://h-sebata.blog.so-net.ne.jp/2014-08-13
特定秘密保護法関連のパブコメについて(6)内部通報制度
http://h-sebata.blog.so-net.ne.jp/2014-08-14

今回はこれを踏まえて書いた私のパブコメを貼っておきます。
ちなみに募集しているパブコメは以下の3つ。

①「特定秘密の保護に関する法律施行令(案)」に対する意見募集の実施について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=060072401&Mode=0

②「内閣府本府組織令の一部を改正する政令(案)」に対する意見募集の実施について(特定秘密保護法関連)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=060072403&Mode=0

③「特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し統一的な運用を図るための基準(仮称)(案)」に対する意見募集の実施について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=060072402&Mode=0

②については特に書くこともなかったのでスルー。
①と③について貼っておきます。

ジャブ代わりに書くか迷って結局は書かなかったのですが、特定秘密保護法廃止をパブコメで要求することは意思表示として意味はあると思いますが、そこで留まってはいけないと思います。

残念ですが自民党政権が12月までに崩壊することは無いでしょう。
そうである以上、特定秘密保護法が施行されることを前提に、これを少しでもまともにするというための努力をするしかありません。

もちろん、パブコメは形式的になされることが多く、意見が政策に反映されることは非常に少ないです。
ただ、反対派であった清水勉弁護士が情報保全諮問会議のメンバーにいることですし、なにも反映されないということもなかろうと信じたいところです。

さて、以下が本文。解説はもう書きません(記事とのリンクは付けておきます)。
読みやすいように太字や下線を付けておきます。
文章が硬いのはご勘弁を。


①施行令案に対するパブコメ

1.第4条第1項 特定秘密指定管理簿について 関連記事

 「次に掲げる事項」に、「公文書管理法第5条において定められた保存期間及び保存期間の満了日」を追加するべきである。
 特定秘密の指定期間は、当然ではあるが当該文書の保存期間以下になるべきである。そのため、特定秘密の指定期間の参考にするために、当該文書の保存期間がすぐに見える状態にしておくことで、安易な指定延長の歯止めとするべきである。

2.第12条第1項 運用基準に基づいて定められる各行政機関の規程について 関連記事

 本規程が運用基準に基づいて作成されているかは、適正な運用の確保のためには重要な意味を持つ。そのため、この規程の作成にあたり、内閣総理大臣の同意を必要とすること、内閣総理大臣は情報保全諮問会議への諮問を義務づけることにするべきである。また、ここで定められた規程の公開も義務づけるべきである。
 以上の項目を、施行令の当該部分に加えるべきである(公文書管理法における各機関の文書管理規程の作成・公開方法に準ずるべき)。

3.関連:公文書管理法施行令の改正 関連記事

 行政文書ファイル管理簿に、特定秘密の指定に関連する欄を設けるため、公文書管理法施行令第11条第1項の記載事項の一覧に「特定秘密の指定の有無」(解除や満了の記載も)「特定秘密の指定期間」を加えるべきである。
 特定秘密にあたる文書は行政文書ファイル管理簿に登載される。特定秘密が解除されれば、外部から行政文書ファイル管理簿で確認できるようになるが、そこに特定秘密であったか否かが記載されていなければ検証を行うことができない。また、保存期間満了時に移管・廃棄を行う際の参考にするためにも、特定秘密に関する情報が行政文書ファイル管理簿に記載されている必要がある。これを法的にきちんと整備するべきである。

以上


③運用基準案へのパブコメ

1.Ⅱ2 特定秘密指定管理簿に関して(9頁) 関連記事

 特定秘密指定管理簿への満了や解除の記載は、施行令案の第8条第1項第3号、第11条第1項第3号にある。しかし、これがいつまで管理簿に登載されているのかについて、運用基準案には記載が存在しない。各行政機関の運用に委ねることになりかねないので、満了や解除された特定秘密については、当該文書が保存期間を満了して移管もしくは廃棄されるまで登載すべきである。また、毎年度、特定秘密移管廃棄簿を作成し、移管・廃棄後の特定秘密に関する情報を登載した上で、この帳簿を国立公文書館等に移管して永年保存するべきである。
 移管・廃棄を選択する際には、当該文書が過去に特定秘密であったかどうかは判断基準として重要な意味を持つ。そのため、管理簿へ記載が残っていることは必要不可欠である。また、移管・廃棄の検証のために、移管廃棄簿を作成して永年保存し、国立公文書館等で公開されるべきである。


2.Ⅱ6(1) 緊急の事態での廃棄について(11頁) 関連記事

 運用基準案には「緊急の事態」における廃棄については、「危機管理に万全を期すため、その実施手続その他必要な事項を定めるものとする」とのみあるだけであり、「緊急の事態」がいかなるものであるかについて何も記載が無く、各行政機関の運用に委ねられている。
 特定秘密保護法への最大の批判が「濫用」や「隠蔽」にあることは言を俟たない。その疑いを晴らすために、特定秘密の廃棄は特例中の特例に限定される必要がある。もちろん、「緊急の事態」のすべての類型を記載することは不可能であるが、できる限りの例を提示し、濫用を避ける工夫がなされるべきである。
 また、この緊急事態における廃棄を行った際には、できるだけ早い段階で内閣総理大臣への報告を義務づける必要がある。廃棄した文書類型など、その報告書に記載するべき情報を列記したものを、運用基準案のいずれかの部分に加筆するべきである。
 関連して、施行令案や運用基準案を見ている限り、緊急事態以外での特定秘密の廃棄を否定する文言がどこにも見当たらない。「隠蔽」を疑われないためにも、緊急事態以外での特定秘密の廃棄を禁止すると明記するべきである。

3.Ⅱ6(2) 特定秘密保護の規程について(11頁) 関連記事→施行令案パブコメとも関連

 「行政機関の長は、規程を定めようとするときは、あらかじめ、その案を内閣総理大臣に通知するものとする」とあるが、本運用基準に則って作成されたかのチェックをする必要がある。そのため、規程を作成する際には、内閣総理大臣の同意を必要とし、内閣総理大臣は情報保全諮問会議への諮問を義務とするべきである。また、ここで定められた規程は公開されるべきである。
 これに合わせて、当該部分に上記した内容の記述を加筆するべきである。

4.Ⅲ3(2)ア 歴史公文書等に該当しないもの(14頁) (マニアックなので記事を書かなかった)

 「歴史公文書等に該当しないもの(例えば、正本・原本以外の写しの文書、断片情報を記録した文書)」とあるが、この「例えば」以下の具体例は削除されるべきである。
 歴史公文書等に該当するかしないかは、文書「類型」によるものではなく、文書の関連性に基づくものである。写しであったとしても、その写しを参考にして政策が行われていることもある。また断片情報を記録したものであっても、他の情報とつなぎ合わせることで歴史的に重要な事実が明らかになることもある。文書「類型」を示すことで、かえって一律的にその類型に適合する文書を抜き取って廃棄する事態を招きかねないので、誤解を生む記載は削除されるべきである。

5.Ⅲ3(2)イ 指定の有効期間が通じて30年以下の特定秘密(14頁) 関連記事

 「指定の有効期間が通じて25 年を超える」特定秘密文書の廃棄は慎重に判断するとあるが、これを「10年」に変更するべきである。
 そもそもなぜ「25年」であるのか根拠が不明である。公文書管理法に基づく各行政機関の文書管理規程を見ると、保存期間が10年以上の文書を国立公文書館等へ移管して保管するケースが多い。特定秘密の有効期間が通じて10年を超える文書は、当然レコードスケジュールで保存期間が10年以上に設定されているはずである。よって、「慎重に判断」するものは「10年」以上と変更するべきである。

6.Ⅴ 監視機関に関連して(27-28頁) 関連記事

 内閣保全監視委員会ないしは独立公文書管理監に対して、国民が特定秘密の解除の申請を行えることを可能にするべきである。
 本パブコメにおける資料(秘密指定された国家安全保障情報に関する米国の主な監督機関)にも挙げられているように、米国では省庁間上訴委員会に対して国民から秘密解除請求が可能である。こういった仕組みがあることが、監視機関を適正に機能させるためには必要不可欠である。

7.Ⅴ4(1) 通報の処理の枠組み(30頁) 関連記事

 通報する内容を、「特定秘密の指定及びその解除又は特定行政文書ファイル等の管理が特定秘密保護法等に従って行われていないと思料する場合」といった法令違反に限っているが、この範囲を広げ、行政上の過誤の隠蔽や国家安全保障上保護する必要の無い情報開示を防止したり遅延させる目的といったような、行政が不当に利益を得るための特定秘密指定も、通報の対象にするべきである。
 特定秘密制度自体が不信感をもたれている現状では、適正な運用が行われる担保が必要である。「隠蔽」のために利用されるのではという批判に応えるためには、法令違反以外の問題も告発対象とするべきである。
 公益通報者保護法との関係で、これを認めることが困難であるのであれば、公益通報者保護法を強化するための改正をセットにするべきである。

8.Ⅴ4(2) 通報の処理について(30頁) 関連記事

 通報する際に「特定秘密である情報を特定秘密として取り扱うことを要しないよう要約して通報するなどし、特定秘密を漏らしてはならない」とあるが、通報する際に特定秘密の内容を知らせずに不正を告発するのは困難である。通報窓口の職員に適性評価を受けさせていれば問題無いので、この部分は削除されるべきである。
 各行政機関は自らの所有する特定秘密を、例え不正の告発であったとしても外部に渡したくないと考えているのかもしれないが、独立公文書管理監やその下にある情報保全監察室における情報管理を徹底すれば良いだけではないか。

9.4(2) 通報の処理について(30-31頁) 関連記事

 内部通報は、例外に適合しない限り、自分の所属する行政機関に第一に通報することになっている。これを改め、独立公文書管理監への通報をどのような状況でもできるようにするべきである。
 内部通報を自分の所属する行政機関に伝えるのは心理的に難しいケースが多いだろう。また、「おそれがあると信ずるに足りる相当な理由」がないと独立公文書管理監に通報することができないが、この「おそれ」を通報者が証明しなければならないので通報へのハードルが高い。よって、独立公文書管理監にどのような状況でも通報可能にするべきである。

10.Ⅴ4(2)イ(カ) 独立公文書管理監による調査(31頁) 関連記事

 独立公文書管理監が内部通報に基づいて調査する際に、「我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認められない」場合には特定秘密の提供を行政機関側が拒否できるという項目があるが、これは削除されるべきである。
 独立公文書管理監が監視機関として十全に機能しなければ、制度自体への不信感を招く。著しい支障がどうしてもあるという場合には、米国における大統領補佐官を通じて大統領の判断を仰ぐ制度を参考にして、例えば官房副長官か首相補佐官が当該文書を閲覧した上で首相の判断を仰ぐ制度を作り、該当する行政機関の内部のみの判断で結論を出すことをしないようにするべきである。

11.その他 人事の独立性 関連記事

 運用基準の末尾に、特定秘密を担当する内閣府特命担当大臣を常設することを明記し、さらにその大臣が独立公文書管理監や情報保全監察室の職員を任命する際には、国民からその中立性に疑念を持たれないように務めること、という努力規定を加筆すべきである。
 独立公文書管理監や情報保全監察室は、監視機関として重要な役割を担うことになる。この職員が、各行政機関からの出向組のみで形成されるといったような、中立性に疑いを招く者で構成されることは,制度そのものへの国民の疑念が増幅するだけである。そのため、閣議決定される運用基準に、このような努力規定を入れておくことは必要であると考える。

以上
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特定秘密保護法関連のパブコメについて(6)内部通報制度 [2014年公文書管理問題]

特定秘密保護法の施行令案などについてのパブコメが現在行われている。
今回が6回目。7回目はパブコメ本文なので、解説はこれがラスト。

特定秘密保護法関連のパブコメについて(1)募集内容〔修正版)
http://h-sebata.blog.so-net.ne.jp/2014-07-28
特定秘密保護法関連のパブコメについて(2)施行令案、特定秘密廃棄問題
http://h-sebata.blog.so-net.ne.jp/2014-08-03
特定秘密保護法関連のパブコメについて(3)運用基準案
http://h-sebata.blog.so-net.ne.jp/2014-08-05
特定秘密保護法関連のパブコメについて(4)特定秘密指定管理簿
http://h-sebata.blog.so-net.ne.jp/2014-08-07
特定秘密保護法関連のパブコメについて(5)監視機関
http://h-sebata.blog.so-net.ne.jp/2014-08-13

最後に解説をするのは内部通報制度について。
資料はこちら。引用はページ数のみ記載する。

特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し統一的な運用を図るための基準(仮称)(案)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000115916

特定秘密保護法の適正な運用を確保するためには、内部から告発する制度が必要不可欠である。
当たり前だが、特定秘密は適性評価を受けた限られた人しか見ることはできない。
よって、不適切な情報を特定秘密に指定していることなどは、実際にその文書を見ている内部の人しか不正を告発することはできない。

よって、この内部通報制度をどのように充実させるかが、適正運用のキーポイントになる。

なお、この通報制度は各行政機関を叩くために存在するのではない。
むしろ、適正に運用されているということを国民にアピールすることこそ、制度の信用を担保することに繋がるのだ。
もし、特定秘密制度を安定的に運用したいと政府が考えているなら、内部通報制度が「機能するように」整備することが、制度の信用に直結することを意識すべきである。

さて、今回提案された内部通報制度。果たして機能しうるものなのだろうか。
はっきり言おう。これは機能しない。

仕組みを紹介しながら解説してみる。

もし、特定秘密を扱っている人が、「特定秘密の指定及びその解除又は特定行政文書ファイル等の管理が特定秘密保護法等に従って行われていないと思料する場合」に訴えることができる(30頁)。
なお、法令違反のみが対象であり、かなり幅が狭い。

情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長は、会員向けニュース(7月18日)において、「失敗を隠ぺいしたり、能力不足を隠すためなど、秘密とすることにより特定秘密を保有するものが得る可能性のある不当な利益の想定は、もっと広く想定すべき」と主張されているが、私も同感である。
法令違反以外にも、たとえ特定秘密に指定可能な情報であったとしても、特定秘密に指定することで官僚達が不当に利益になるような情報については、訴えることを可能にすべきではないか。

訴えることができる窓口は2つある。
1つは、自分の機関の通報窓口
もう1つは、独立公文書管理監に設置された通報窓口

ただし、基本は自分の機関の窓口に連絡しなければならない。
管理監に通報するためには、次のいずれかの条件をクリアする必要がある(30-31頁)。

・自分の機関の長が、通報者に「調査を行わない」通知をした後
・自分の機関の長が、調査結果を通報者に報告した後(つまり通報を却下された時)。
・自分の機関の窓口に通報すると、「不利益な取扱いを受けると信ずるに足りる相当の理由がある場合」
・自分の機関の窓口に通報すると、「当該通報に係る証拠が隠滅され、偽造され、又は変造されるおそれがあると信ずるに足りる相当な理由がある場合」
「個人の生命又は身体に危害が発生し、又は発生する急迫した危険があると信ずるに足りる相当の理由がある場合」


相当にハードルが高い。
「信ずるに足りる相当な理由」なのだから、漠然と不安ではダメである。
訴えたら自分が危ないということを通報者が証明する必要があるのだ。

さらに、訴える時の方法は、「特定秘密である情報を特定秘密として取り扱うことを要しないよう要約して通報するなどし、特定秘密を漏らしてはならない」とある(同30頁)。
特定秘密の内容を伝えずに特定秘密の指定に問題があるって、どうやれば伝えられるのか私には想像もつかない。

さて、その通報によって、行政機関の長が調査を行い、問題があれば解除することになる。
「処理」した時には独立公文書管理監に報告する必要がある(「受理」ではないので、結果だけの報告か)。

独立公文書管理監に訴えることができた時は、管理監が当該行政機関への実地調査などが可能である。
しかし、やはり前回解説したのと同様に、「安全保障に著しい支障を及ぼすおそれ」を理由に、特定秘密の提供を拒否できる。

つまり、管理監に訴えても十全に調査をできる可能性は閉ざされている。
もし不当に指定をされていたとしても、拒否すれば調査されない。

なお、通報窓口の職員は、通報者の特定に繋がる情報を漏らした場合は処分の対象になる。
ただ、そもそも特定秘密を扱える人は相当に限定されるはずなので、訴えた場合の人物特定は容易である可能性がある。
また、特定が容易である部局の職員が通報するのはかなり難しい。

また、通報したことを理由とした不利益な取扱いを行った者も処分の対象となる。
これについては、一般企業では「能力が無い」とか別の理由を付けて左遷するなどは良くある話なので、歯止めになるかは疑問である。

つまり、この仕組みを見ると「自分の行政機関内でもみ消せ」と言わんばかりである。
これで機能するとはとてもではないが思えない。

なお、内部の通報窓口を第一に報告する理由だが、私がある方を経由して聞いた話だと、「通報者が勘違いをして、適正なものを管理監に通報してしまった場合、不当に特定秘密を漏えいさせたことになって処分の対象になりうる。よって、内部でまずは適正な訴えかどうかを確認するのが筋であるということだそうだ。

そんなアホな、である。
管理監は何のために存在しているのか。
管理監は適性評価も受けている。そこに特定秘密を伝えて何が問題があるのか。
管理監やその下の情報保全監察室での情報取り扱いを厳密にすれば良いのではないのか。

結局は自分たちの機関内でもみ消そうとしているだけじゃないのか。
内部通報を内部で抑え込み、管理監には結果だけ報告する。
管理監に万一訴えられたとしても、文書を見せることを拒否する。

これで、どうやって内部通報者は安心して通報できるというのか。

内部通報制度を設けたこと自体は評価はする。
だが、これでは「アリバイ」に作ったとしか言えないしろものであり、機能するとは思えない。

少なくともこれを機能させるのであれば、

独立公文書管理監への通報をどのような状況でも可能にする。
通報された対象文書を独立公文書管理監は原則閲覧可能とする(※)。
・通報する際には特定秘密の内容を含めて窓口担当者に伝えることを可能にする。たとえ勘違いでも処分の対象にしない。
・通報できる条件は、法令違反だけではなく、指定によって不当な利益を得ようとしているようなものまで広く取る。


(※)余りにも重大な情報で見せられないというのであれば、例えば官房副長官が閲覧して首相に判断をあおぐなど、政治責任を明確にすべきでは。
(米国では、情報保全監督局(ISOO)の監査を行政機関が拒否しようとする場合、国家安全保障問題担当大統領補佐官を通して大統領が判断する→内閣官房作成資料参照)。

といったようなことは必要なのではないか。
もちろん、前回書いたように、独立公文書管理監がどこまできちんと機能するのかが問われるわけだが・・・


冒頭にも書いたように、適正な運用のためには、内部通報制度は重要な意味を持つ。

これが機能しなければ、特定秘密は無尽蔵に増えていく可能性が高くなる。
それは、国民の知る権利への侵害に繋がるだけでなく、秘密が多くなりすぎて、現在の米国のように秘密が過剰になって、かえって本当に重要な情報がわからなくなるという事態になりかねない。

この制度の充実化は、今回の運用基準案の最も問題とされるべきところである。
是非ともこの点の改善は強く主張したいと思う。

施行令案や運用基準案の解説はここまで。
次回は私の作ったパブコメを公表して最後にします。
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特定秘密保護法関連のパブコメについて(5)監視機関 [2014年公文書管理問題]

特定秘密保護法の施行令案などについてのパブコメが現在行われている。
今回が5回目。

特定秘密保護法関連のパブコメについて(1)募集内容〔修正版)
http://h-sebata.blog.so-net.ne.jp/2014-07-28
特定秘密保護法関連のパブコメについて(2)施行令案、特定秘密廃棄問題
http://h-sebata.blog.so-net.ne.jp/2014-08-03
特定秘密保護法関連のパブコメについて(3)運用基準案
http://h-sebata.blog.so-net.ne.jp/2014-08-05
特定秘密保護法関連のパブコメについて(4)特定秘密指定管理簿
http://h-sebata.blog.so-net.ne.jp/2014-08-07

特定秘密保護法が「適正」に機能するためには、監視機関がどれだけ有効に機能するかが重要である。
基準の厳密化などは、いくら規則を決めても限界がある。
だからこそ、濫用されないような仕組みを制度の中に組み込む必要がある。

では、今回の特定秘密保護法における監視機関は、有効に機能するであろうか。

これは多くの人が批判していると思うが、「どうも有効に機能しなさそう」である。
監視機関の話は、特定秘密保護法案の審議の最後の最後で突然現れて、首相答弁などで形が決まってしまったものである。
そのため、その首相の発言に縛られていることもあり、なんとも微妙な組織が提案されている。

まず、政府案の仕組みを紹介してみる。
内閣官房が作った図と運用基準案を見ていただきたい。

特定秘密保護法 適正確保の仕組み(案) 説明資料
http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000115918
特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し統一的な運用を図るための基準(仮称)(案)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000115916

まず、内閣に「内閣保全監視委員会」が作られる。
設置は閣議決定による。
メンバーは官房長官をヘッドにして、事務次官級で構成される。

機能としては、法第18条第4項で書かれているように、内閣総理大臣が行政各部を「指揮監督」することを補佐する機関である。
年一回の報告があった時に、その精査などを行う。

この「適正確保」の「適正」は、要するに行政内部にとっての「適正」である。
ある機関で特定秘密にされているのに、別の機関ではされていないのをチェックするなどといった、管理の徹底化が目的としては考えられる。
また、ある省が特定秘密に指定してしまったために、情報の共有化がやりにくくなって仕事に支障が出る時に、それを外す協議をするといったことも想定されているかもしれない。

こういった組織自体は必要ではある。
ただ、これは国民の側が想定している「監視機関」ではない。
恣意的な指定を止めるようなことは難しいだろう。

そもそも集まっているのが事務次官であり、特定秘密を各行政機関で指定するのは、形式的ではあるが大臣である。
事務次官が大臣の決定したことに異議を唱えるということが、官僚組織で果たしてできうるものなのか。
かなり厳しいのではと思わざるをえない。


次に、内閣府に「独立公文書管理監」とその事務を担う「情報保全監察室」が置かれる。
秘密保護法の附則第9条の「独立した公正な立場において検証し、及び監察することのできる新たな機関」がこれにあたる。

このために内閣府の訓令の改正が行われる。
ちなみにこのパブコメも募集されている(これについてはそれほど突っ込むところもないが)。

運用基準案から、その仕事を見てみると、

・法律や運用基準に則って行われているかを検証・監察
・必要がある時は資料の提出・説明・実地調査が可能
・適正に行われていないと認定した場合、強制的な特定秘密の指定もしくは解除(各行政機関の長へ是正を要請することも可能)
・各行政機関の長は、管理監に特定秘密指定管理簿が更新された時に、情報の写しを提出する義務。また1年1回は保存場所などの報告義務も。


内部通報者制度は次の記事で論じるのでここでは記載しない。

ここで問題となるのは

・果たしてまともに監視機能が働くのか
・監視機能を働かせようとしても、その条件があるのか。


である。

まず、こういった監視機関を官僚組織ではない所に置くというのは、なかなか難しいだろう。
米国の制度を見ても、こういった監視機関自体は官僚組織の一部ではある。
ただ、米国は大統領直轄の国立公文書館の一部局(情報保全監督局(ISOO))であり、人事の独立性も高い(関係機関から出向してくるが、元の機関に戻らない)。

日本の場合はどうなるだろうか。
まず置かれているのが内閣府である。
よって、独立性は高いとは言えない。

また、秘密保護法制定時の話だと、事務を担う情報保全監察室には各機関の課長未満級が出向してくるということだった。
これだと、出向元に戻ることが前提になるので、厳しい審査は行わなくなるだろう。

ただ、各機関の文書構造や情報類型などは、働いた経験が無いとなかなかわかりにくい。
となると、出向元に戻らない職員を配置することが必要となるだろう。
例えば、定年が近い職員を連れてくるとか。

また、民間から弁護士などを職員として雇用して配置するなども、適正な運用のためには考えても良いだろう。
こういった人事慣行が、監視が機能するためにはかなり重要な意味を持つと思われる。

このあたりは運用基準案には入っていない。
また人事の問題は入れるのも難しいかもしれないとは思う。

仕事の内容を見ると、特定秘密の強制解除権(運用基準案28頁、Ⅴ3(1)ウ)があるのはいい。
問題がある時の実地調査の権限があることも良い。

問題は「安全保障に著しい支障を及ぼすおそれ」がある場合は、各行政機関が管理監への文書提供を拒否できることである(同29頁、(2)ウ)。

つまり、国会だけではなく監視機関に対してすら、文書提出の拒否権が行政機関に存在しているのだ。

これは話にならない。
もし、管理監が頑張って国民からの期待に応えようとしても、それを機能させる前提条件が確保されていない。
監視をする以上、当然すべての文書へのアクセス権を管理監には保証するべきである。


監視委員会と管理監を見ていると、米国を参考にしつつも、重要なものが欠落していることに気づく。

例えば、監視委員会は米国の省庁間上訴委員会(ISCAP)を参考にした形跡があるが、米国には存在する国民からの秘密指定解除の訴えを受けつけることはしない。
8月初めにやっていたNHKスペシャル「特定秘密保護法を問う~"施行"まで4か月~」で、米国の情報保全監督局(ISOO)の局長は、自分たちが報告書を出すと、国民からガンガンと問い合わせが来るということを述べており、国民が秘密指定への異議申立てができるといったような監視機関自体を国民が監視するしくみがあることが、彼らへのプレッシャーになっていることがうかがえる。

こういった国民との回路が存在しないのも、日本の監視機関の特徴でもある。
この点はパブリックコメントで問題にしなければならないと思う。

全体の評価としては、機能する可能性は運用次第でゼロとは言わないが、全く機能しない可能性も極めて濃厚という、なんとも言い難いものができあがったとしか言いようがない。

次回は残った内部通報者制度について。むしろ一番問題なのはこちらである。


追記

ちなみに内閣官房は、今回の運用基準案のパブコメのページに、米国の監視機関の紹介を付けている。
なのに、米国と日本の違いがどこにあるのかの説明が一切無い。
他の部分には、他国との違いを説明して「他国にも同じ制度はありますよ!」というアピールをしているのに。

意図的に比較していないようにしてるとしか思えないのだが・・・


追記2

すでに存在している有識者会議である情報保全諮問会議であるが、運用基準案を見ると、年1回の報告のまとめたものを首相から報告されて意見を述べる、ということ以外の権限は存在しない(運用基準案33頁、(2))。

結局、運用基準を作った後は有名無実になりそうである。

参考
法案成立直後に書いた記事も合わせて参照のこと。

「第三者機関」について改めて考える(特定秘密保護法)
http://h-sebata.blog.so-net.ne.jp/2013-12-09
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特定秘密保護法関連のパブコメについて(4)特定秘密指定管理簿 [2014年公文書管理問題]

特定秘密保護法の施行令案などについてのパブコメが現在行われている。
今回が4回目。

特定秘密保護法関連のパブコメについて(1)募集内容〔修正版)
http://h-sebata.blog.so-net.ne.jp/2014-07-28
特定秘密保護法関連のパブコメについて(2)施行令案、特定秘密廃棄問題
http://h-sebata.blog.so-net.ne.jp/2014-08-03
特定秘密保護法関連のパブコメについて(3)運用基準案
http://h-sebata.blog.so-net.ne.jp/2014-08-05

今回の話は「特定秘密指定管理簿」について。
公文書管理に興味が無い方にはマニアックな話ではあるので大変かもしれないが、結構重大な話だと思うので御覧いただければ(これまでも十分マニアックと言えばそうなんだが)。

特定秘密を管理するためには、当然ではあるが「帳簿」は必要である。
現在パブコメが行われている施行令案の第4条において、この帳簿=「特定秘密指定管理簿」を作成する義務が課されている。
この管理簿には、指定をした年月日や有効期限、中身の概要、どの要件を満たすのか(別表の中のどの項目に当てはまるのか)、などを記載する必要がある。
つまり、「特定秘密」に関する情報は管理簿にきちんと登載しなければならないのだ。

私が気になるのは、特定秘密が満了などによって解除された時の仕組み。

満了や途中での解除などの時には、そのことを管理簿に書く必要がある(施行令案第8条第1項第3号など)。
もちろんこれは必要不可欠なことである。

ところが、運用基準案などを見ても、この記載がいつまで残るのかについて全く触れられていない。
解除された後も永久に帳簿上に記録が残り続けるのか、それとも一定年度が経過すると情報が削除されるのかが、これではよくわからない。
意図的に触れていないのか、気づいていないのかは何とも言えないが。

ちなみに、公文書管理法において、文書の保存期限が満了して国立公文書館等へ移管or廃棄になった際は、行政文書ファイル管理簿からすぐに抹消され、「移管・廃棄簿」というものに記載が移される。
(公文書管理法施行前は5年間残すということになっていた。)
このあたりは以前にブログを書いたことがある。

移管・廃棄簿について考える
http://h-sebata.blog.so-net.ne.jp/2011-12-01

特定秘密指定管理簿においては、その記載が「文書の移管・廃棄が確定するまで」は確実に残すことは必要不可欠だろう。
つまり、特定秘密が例えば3年とかで解除されたとしても、その文書の最終的な保存年限が来た時に、その文書が特定秘密であったのかどうかの照会ができるようにしておく必要があるからだ。
それができないと、一体どの情報が特定秘密であったのかがわからなくなってしまう。

これは、最終的に文書を国立公文書館等に移管して公開するか、それとも廃棄するかを判断する際に、非常に重要な情報となる。
行政文書を廃棄する際には、内閣総理大臣の同意が必要となっており、実質的には内閣府公文書管理課や国立公文書館の職員がチェックを行っている。
ただ、基本はリストが回ってくる形(必要があれば原本確認)なので、どれが特定秘密であったのかどうかがわかるような状態でチェックが行われる必要がある。

そうしなければ、特定秘密であった文書が、こっそりと闇に葬られる可能性が高まるのだ。
最後に公開されて検証される必要があるはずなのに。

またこれに関連して気になるのは、公文書管理法において作成義務がある「行政文書ファイル管理簿」との関係である。
特定秘密文書も公文書管理法の適用を受けるので、当然ではあるが行政文書ファイル管理簿にも情報が登載されることになる(ただし一般へは非公開になるはず)。
そうなると、行政文書ファイル管理簿と特定秘密指定管理簿の二重帳簿のような形になるわけだ。

今の仕組みをみると、特定秘密に関する情報は特定秘密指定管理簿に掲載され、行政文書ファイル管理簿には特定秘密関係の情報は載らないしくみになっているように見える。
ただ、その文書を移管するか廃棄するかは、おそらく行政文書ファイル管理簿に基づいていると思われるので、もしそうであるならば、行政文書ファイル管理簿にも特定秘密であった文書なのか否かがわかるような仕組みが必要だろう。
また、この記載があれば、特定秘密は解除されたがまだ行政文書として各行政機関内に残されている時に、それを集中的に情報公開請求して検証するということも可能なはずだ。

今回書いた話は、いわゆる「検証」する際の必要事項についてである。

「特定秘密」に指定されている間は、一般の人がそれを見ることは不可能である。
だからこそ、それが解除された後に検証をする必要がある。
その検証をきちんと機能させるには、文書が勝手に捨てられずに、最終的には国立公文書館等に移管されて公開される必要があるのだ。
ここが機能しないと、次から次へと闇に葬られてしまう。

この部分の仕組みはもっと慎重に構築する必要があるように思う。

次回は監視機関の話。
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