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特定秘密保護法関連のパブコメについて(4)特定秘密指定管理簿 [2014年公文書管理問題]

特定秘密保護法の施行令案などについてのパブコメが現在行われている。
今回が4回目。

特定秘密保護法関連のパブコメについて(1)募集内容〔修正版)
http://h-sebata.blog.so-net.ne.jp/2014-07-28
特定秘密保護法関連のパブコメについて(2)施行令案、特定秘密廃棄問題
http://h-sebata.blog.so-net.ne.jp/2014-08-03
特定秘密保護法関連のパブコメについて(3)運用基準案
http://h-sebata.blog.so-net.ne.jp/2014-08-05

今回の話は「特定秘密指定管理簿」について。
公文書管理に興味が無い方にはマニアックな話ではあるので大変かもしれないが、結構重大な話だと思うので御覧いただければ(これまでも十分マニアックと言えばそうなんだが)。

特定秘密を管理するためには、当然ではあるが「帳簿」は必要である。
現在パブコメが行われている施行令案の第4条において、この帳簿=「特定秘密指定管理簿」を作成する義務が課されている。
この管理簿には、指定をした年月日や有効期限、中身の概要、どの要件を満たすのか(別表の中のどの項目に当てはまるのか)、などを記載する必要がある。
つまり、「特定秘密」に関する情報は管理簿にきちんと登載しなければならないのだ。

私が気になるのは、特定秘密が満了などによって解除された時の仕組み。

満了や途中での解除などの時には、そのことを管理簿に書く必要がある(施行令案第8条第1項第3号など)。
もちろんこれは必要不可欠なことである。

ところが、運用基準案などを見ても、この記載がいつまで残るのかについて全く触れられていない。
解除された後も永久に帳簿上に記録が残り続けるのか、それとも一定年度が経過すると情報が削除されるのかが、これではよくわからない。
意図的に触れていないのか、気づいていないのかは何とも言えないが。

ちなみに、公文書管理法において、文書の保存期限が満了して国立公文書館等へ移管or廃棄になった際は、行政文書ファイル管理簿からすぐに抹消され、「移管・廃棄簿」というものに記載が移される。
(公文書管理法施行前は5年間残すということになっていた。)
このあたりは以前にブログを書いたことがある。

移管・廃棄簿について考える
http://h-sebata.blog.so-net.ne.jp/2011-12-01

特定秘密指定管理簿においては、その記載が「文書の移管・廃棄が確定するまで」は確実に残すことは必要不可欠だろう。
つまり、特定秘密が例えば3年とかで解除されたとしても、その文書の最終的な保存年限が来た時に、その文書が特定秘密であったのかどうかの照会ができるようにしておく必要があるからだ。
それができないと、一体どの情報が特定秘密であったのかがわからなくなってしまう。

これは、最終的に文書を国立公文書館等に移管して公開するか、それとも廃棄するかを判断する際に、非常に重要な情報となる。
行政文書を廃棄する際には、内閣総理大臣の同意が必要となっており、実質的には内閣府公文書管理課や国立公文書館の職員がチェックを行っている。
ただ、基本はリストが回ってくる形(必要があれば原本確認)なので、どれが特定秘密であったのかどうかがわかるような状態でチェックが行われる必要がある。

そうしなければ、特定秘密であった文書が、こっそりと闇に葬られる可能性が高まるのだ。
最後に公開されて検証される必要があるはずなのに。

またこれに関連して気になるのは、公文書管理法において作成義務がある「行政文書ファイル管理簿」との関係である。
特定秘密文書も公文書管理法の適用を受けるので、当然ではあるが行政文書ファイル管理簿にも情報が登載されることになる(ただし一般へは非公開になるはず)。
そうなると、行政文書ファイル管理簿と特定秘密指定管理簿の二重帳簿のような形になるわけだ。

今の仕組みをみると、特定秘密に関する情報は特定秘密指定管理簿に掲載され、行政文書ファイル管理簿には特定秘密関係の情報は載らないしくみになっているように見える。
ただ、その文書を移管するか廃棄するかは、おそらく行政文書ファイル管理簿に基づいていると思われるので、もしそうであるならば、行政文書ファイル管理簿にも特定秘密であった文書なのか否かがわかるような仕組みが必要だろう。
また、この記載があれば、特定秘密は解除されたがまだ行政文書として各行政機関内に残されている時に、それを集中的に情報公開請求して検証するということも可能なはずだ。

今回書いた話は、いわゆる「検証」する際の必要事項についてである。

「特定秘密」に指定されている間は、一般の人がそれを見ることは不可能である。
だからこそ、それが解除された後に検証をする必要がある。
その検証をきちんと機能させるには、文書が勝手に捨てられずに、最終的には国立公文書館等に移管されて公開される必要があるのだ。
ここが機能しないと、次から次へと闇に葬られてしまう。

この部分の仕組みはもっと慎重に構築する必要があるように思う。

次回は監視機関の話。
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コメント 2

渡邊健

こんにちは。ご指摘のように「特定秘密指定管理簿」は「行政文書ファイル管理簿」とは全く独立した帳簿で、特定秘密についての情報のみ記載されるものですよね。他方、特定秘密が記載された「行政文書ファイル」が「特定行政文書ファイル」とされています。ですので、「行政文書ファイル管理簿」にも特定秘密についての情報は記載されるのではないでしょうか。問題は、実際に「行政文書ファイル管理簿」でレコードスケジュールを確認するために、当該管理簿が内閣府、国立公文書館に提出される際、「特定行政文書ファイル」は外されるのではないか、或いはタイトル等が隠されるのではないかということです。国立公文書館は独法で特定秘密を扱うことを想定されていません。ちなみに「特定行政文書ファイル」は独立公文書管理監が検証することになっていますが、あくまで特定秘密の指定状況ではないかと思われ、レコードスケジュールが確認されるかどうか不明です。この場合、「特定行政文書ファイル」の「保存期間」と「秘密の指定期間」を合わせて誰が確認するのか、「特定行政文書ファイル」のレコードスケジュールについては、保存期間を30年未満にして満了時の措置を廃棄にしておけばその妥当性は実質的には検証されることなく廃棄されていくことになりはしないか危惧します。国立公文書館も独立公文書管理監も内閣府ですが、連携の仕組みを考える必要があるように思います。
by 渡邊健 (2014-08-08 14:07) 

瀬畑 源(せばた はじめ)

> 渡邊さま

コメントありがとうございます。
書かれるかは行政文書の管理に関するガイドラインの改正が無いといけないはずなんですよね。それが同時に出てきていないのが気になる所です。そこはパブコメで書く必要があるのかなと思います。

あと国立公文書館が独法なのが色々と弊害でそうですよね。レコードスケジュールの問題もそうですし、中間書庫などの運用を考えても扱えませんし。
こうなると国立機関に戻さないといかんのではないかなと思います。
by 瀬畑 源(せばた はじめ) (2014-08-12 21:01) 

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