SSブログ
2012年公文書管理問題 ブログトップ
- | 次の10件

拙著の詳細目次・図表目次配布 [2012年公文書管理問題]

拙著『公文書をつかう―公文書管理制度と歴史研究』をお買い求めいただいた方から、「索引がないのがつかいにくい」という指摘を受けました。
確かに使いづらいので、索引を自作しようかと思ったのですが、作成するにはかなりの労力が必要であり、そこに時間を割く余裕がありません。

よって、次善の策として、「詳細目次」と「図表目次」の2点を作成することにしました。
「詳細目次」は、各節の中の見出しまで拾ったものです。また第2章の公文書管理法の解説の部分は、各条文を引けるようにしました。
「図表目次」は、本文中で使用した図表のページが一覧になったものです。

お勧めの使い方としては、印刷する際にA4の「割り付け印刷」(1枚に2ページ印刷する)を行って、表の部分だけをはさみで切り取ってください。
ちょうど、本の大きさと同じになります。

よろしければダウンロードしてお使いください。

http://www008.upp.so-net.ne.jp/h-sebata/koubunsyo/sebata_book1.pdf


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

議事録未作成問題を改めて考える [2012年公文書管理問題]

原子力災害対策本部などでの議事録未作成問題。
ここ2回(前回前々回)にわたってブログに書いてきたが、色々と考えたことについて、やや散文的ではあるが、備忘録として参考までに書き残しておきたい。
長いですが、おつきあいいただければ。

まず、岡田克也副総理の1月27日の記者会見から気になるところを。

 今般、これらの会議における議事概要、あるいは、議事録の作成、保存状況の調査を行ったところ、お手元に資料が配付してあるかと思いますが、全体15会議のうち五つの会議において議事内容の記録の一部又は全部が作成されていないということが判明いたしました。より正確には、三つが全く作成されていず、二つが一部作成されているということでございます。
 このため、今日の閣僚懇談会におきまして、この調査結果を配付いたしまして、関係閣僚に対して、今般の調査で議事内容の記録の一部又は全部が作成されていない会議について、議事内容の記録を2月中をめどに作成すると聞いているが、可能な限り迅速に対応されるよう指示することをお願いしたところでございます。


つまり、議事録も議事概要もない(あっても一部)5つの会議、原子力災害対策本部、政府・東京電力統合対策室、緊急災害対策本部、被災者生活支援チーム、電力需給に関する検討会合、については「議事概要」を作ると「関係閣僚が」言ってきている(「作成すると聞いている」)ので、「迅速に出すように」と指示したということである。

なお、直接岡田副総理が「作れ」と言えないのは、各大臣の所掌を侵すからということなのだろう。
なので、作成する責任はあくまでも各大臣の側にあるので注意が必要である。

また、上記の5つの会議以外については、概要か議事録があるのでそのままスルーされることになった。
もちろん、録音がない会議については概要以外作れないと思われるので仕方がないだろうが、録音がある会議については議事録作成、「概要」があるところはその充実化(問題は「概要」の質がどうか)がはかられるべきだと思う。
また、新聞記者の方には是非とも「議事概要」を情報公開請求していただき、この「概要」が「概要」に足るべきものなのかをチェックしてほしいと思う。


公文書管理委員会において、専門的な見地から御検討いただくようにしていきたいと考えております。まだ、公文書管理委員会の日程は未定でありますが、第1回に私も出席して、直接各委員の先生方に私の問題意識を伝えたいというふうに考えております。

公文書管理委員会にはこういう検討をするための仕組みが無いような・・・
公文書管理委員会は、公文書管理法では、国立公文書館等への不服申立を審議することと、内閣総理大臣からの諮問を受ける(公文書管理法施行令や行政文書管理規則を制定・改正するときなど)ことしか位置づけられていない。
岡田副総理の言う機能となると、思いつくのは第31条(各行政機関の長に対して改善を勧告する)に基づく諮問ぐらいだが・・・


(問)議事録がなかったということについてなのですが、途中で議事録がなかったということが問題にならなかったのか、という疑問があります。(略)

(答)かなり大きな会議なんですね。ですから、代わりの人が出ていたり、事務方がメモをとっていたりということは当然あったと思います。そういうことがあったからこそ、事後的に何らかの要旨のようなものを作ることは可能だというふうに考えております。


やはり岡田副総理は「メモは残っている」=議事要旨を作れるだけのものはあるはず、という認識で話をしていると思われる。
この点については前回のブログで詳しく書いたので省略。

関連して、「事後的」に作ることが問題ないのかという点であるが、野田首相が1月30日の参院予算委員会で「公文書管理法では議事録の作成まで求められていないが、事後も含めて文書作成が求められている」と話していた。(朝日、1月31日朝刊)

ついでに前者の「議事録の作成が管理法では義務ではない」という点についても述べておくが、法律・施行令にはそのように書かれていないのは確か。
しかし、この法律を運用するために出された「行政文書の管理に関するガイドライン」(内閣総理大臣決定)には次のような項目がある。

 なお、審議会等や懇談会等の議事録については、法第1条の目的の達成に資するため、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、発言者名を記載した議事録を作成する必要がある(8ページ)

この「審議会等」「懇談会等」の定義が問題になるわけだが、このガイドラインの別表第一に「審議会等文書」の定義があり、これが参考となるだろう。
ここでいう「審議会等」というのは、

審議会その他の合議制の機関又は専門的知識を有する者等を構成員とする懇談会その他の会合(61ページ)

のことを指す。
少なくとも、今回問題となった原子力災害対策本部での会合は、この定義の中に確実に当てはまるものと思われる。
そうである以上、議事録の作成はやはり必要だと見なされるべきだ。

なお、「事後的」については、これも同じガイドラインの中で

 「意思決定に関する文書作成」については、①法第4条に基づき必要な意思決定に至る経緯・過程に関する文書が作成されるとともに、②最終的には行政機関の意思決定の権限を有する者が文書に押印、署名又はこれらに類する行為を行うことにより、その内容を当該行政機関の意思として決定することが必要である。このように行政機関の意思決定に当たっては文書を作成して行うことが原則であるが、当該意思決定と同時に文書を作成することが困難であるときは、事後に文書を作成することが必要である。(6ページ)

とあり、首相が言っているのはここの部分のことだと思われる。
よって、確かに事後に作成されても問題はない。

ただし、この前提として「意思決定過程」をあとから検証することが可能な文書を作成することは必要だということがある。
実際に会議が行われてからかなり長期間経過したにも関わらず、文書が作成されていなかったのはやはり問題があるだろう。


岡田副総理の会見に戻ります。

(問)(前略)問題は発言そのものの記録が残っているかだと思います。そうした点で言いますと、ICレコーダーで録音していたという点については、調査されていなかったのか、また、今後こうした録音データを残しておくべきではないかという点については、いかがでしょうか。

(答)これは、議論の分かれるところでしょうね。勿論、後世、いろいろな政策判断に当たって、そういった全ての議事録、あるいは記録が残されているというのも一つの考え方です。ただ、あまりそれを厳格にやりますと、かなりそのことを前提にした議論、会議になるということも事実で、その結果、形式的な議論になってしまいかねない。本当に大事なところは、また別のところで決めるということになりかねない、そういった難しさというものはあるのだろうと思います。したがって、議論の要旨ということも含めて、法律上も認められているということだと思います。


岡田副総理の歯切れの悪さが目立つやりとり。
質問者は「会議を全て録音すればよいのでは?」との質問に対し、それを拒否したという発言。

本来ならば議事録を全て作るのであれば、録音しておくことは必須のはず。
でも、岡田副総理は「ケースバイケースだ」という言い方をしている。
これは、よく国交省や防衛関係の審議会などで政府が言い訳として使うのだが、「発言者が全てわかってしまうと自由な議論ができないから議事録を作らない」(誰が発言したかわからないような議事要旨を作る)というケースを想定したのであろう。

これは私から見れば不可解な理由だと思わざるをえない。
確かに、議事録をすぐに公開した場合、業務に支障が生じるケースはあるだろう。
ただしその場合は、情報公開法の手続きに基づいて非公開にすればよい話であり、「そもそも作らない」という話とは段階が異なる。

また、そこで議論に参加している人たちは「専門家」としてそこにいる以上、その「専門家の誇り」をもって発言している「はず」である。
機密が解除された後に発言が公開されたら困るという専門家がいたならば、それは専門家ではないだろう。
参加しているのが政治家であれば、自分の発言には責任を持つべきだろう。

そして、岡田副総理は別の質問者から似たような質問をされた際に、次のように発言している。

 先程言いましたように、全部議事録を作るということになりますと、会議そのものが逆に形骸化しかねないというところもあると思います。(後略)

つまり、「議事録を全部作る」ことにすると、その会議前に決めてしまったり、口頭で済ませようとしたりといった裏道が取られて「形骸化」するおそれがあるということである。

これは現在の国会審議が似たようなことになっているのは確か。
修正がなされる際には与野党間で話し合いが行われ、結果だけが国会で報告されるというようなケースだ。

でもこれもおかしな論理で、そういった「議事録が無いところで決める」という「体質」そのものが問題である以上、その点にメスを入れない限り解決しようがない。
議事録を厳密に取ったら議論ができないということ自体を問題にしなければおかしい。

ただ私個人の見解としては、議事録を全ての会議で作成せよというのは現実味がないのは確かだと思う。
官僚の業務量を考えたとき、「全ての会議」の議事録を文字に起こしてチェックする作業の手間を考えれば、やはり過重な期待だと思う。
そこは重要度に応じて、議事録を作るか、概要でよいかは分けてもよいだろう。
ただし、必ず「録音は取る」というのは原則にするべきだ。

録音無しに後から議事録を作ることは不可能だ。
だからこそ、録音はしっかり残しておいて、場合によっては必要な際にそれを文字に起こすことができるようにしておくべきだ。
録音データ自体も行政文書として登録可能なわけだから、録音を全ての会議で取ることを徹底し、それを行政文書として保存することが解決法だと思う。


副総理の記者会見以外での問題点について。
読売新聞2月1日朝刊にコンパクトにまとめられていたが、

閣議→議事録がない
関係閣僚委員会→録音しているものもあれば、ないものもある。
政務三役会議→議事録がない(事務方を入れていないことが多い)
政府・民主三役会議→議事録がない(党主催だから、公文書管理法の適用外)

他にも、民主党内では役員会や政調役員会でも議事録を作っていないとのことである。
読売の調査では、政務三役会議(大臣、副大臣、政務官で各府省の方針を決める意思決定機関)の議事録があるか12府省と金融庁に聞いたところ、6省で本格的な議事録や議事概要を作成していなかったという。

具体的な解説は読売の記事を参照していただくとするが、ただこの読売の記事の最後に、「自民党は与党時代に首相官邸で行われた「政府・与党連絡会議」や党役員会の終了後に、個々の発言内容を記者団に説明していた」と書いて、あたかも「民主党の体質が今回の問題を引き起こした」とでも言いたいようなオチになっていたのは、問題の本質をわかっていないと言わざるをえない。

まず「記者団に話した」ことの「根拠となる文書」を作っているかどうかが問題であり、この書き方ではただ単に「自民党の方が記者クラブに便宜を図っている」ことを証明しているだけに過ぎない。
また、自民党の与党時代、政策決定に力のあった部会や政調会でどのような議論が行われていたかというのは、ブラックボックス状態であまりよくわからない。
そのため、自民党長期政権時代の政治史を研究されている方は、オーラルヒストリーとして当時の政治家や官僚に話を聞きに行くことをよくされている。

なおここで私が書こうとしているのは、「自民も民主も所詮は同じ」という話をしたいのではない。
今回の問題を考える際には、「民主党だから問題」という点から議論したのでは底が浅いということを強調しておきたいのである。
私が自分の本で書いたように、日本で公文書管理がずさんに行われてきたのは、明治以来の官僚制の「伝統」である。

今回の問題も、別に官僚が「隠蔽しよう」として起きていることではなく、ただ単に「自分たちに必要がないから議事録を作らない」ということから起きているのだ。
そして、その官僚文化を支えているのは、政治家もしかり、また国民の側もそうであるということ。
その「考え方自体を打破するため」に、情報公開法そして公文書管理法は作られたのだ。

公文書管理法第1条には次のような目的が掲げられている。

 この法律は、国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであることにかんがみ、国民主権の理念にのっとり、公文書等の管理に関する基本的事項を定めること等により、行政文書等の適正な管理、歴史公文書等の適切な保存及び利用等を図り、もって行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする。

もちろん公文書管理法は「公文書」に関わる法律である。
その意味では、「政府・民主三役会議」の議事録がないことを、輿石幹事長が「法律上、問題はない」と言っていることは「法的」には正しい。
だが、この法律の「理念」は、公的な立場にいるものは「現在及び将来の国民に説明する責務」があること、そしてそのために文書をきちんと残すことを求めているのだ。
政策決定に関与している与党幹部が、「法律上問題ない」と言って未来の国民に対する説明責任を放棄する姿勢を取っていることそのものが問われなければならないのだ。

(ただ本来ならば、議員の作る文書=立法文書に関する公文書管理法が必要ということとも関係が深い話なのだが・・・。このあたりには議論が広がっていきそうもない。詳しくは私の本の第3章に書いてありますのでご参考までに。)

今回の問題、ただの民主党叩きだけに終わってほしくない。
文書を作ること、残すことがそもそもどういう意味を持つのか。
公文書管理法第1条の意味を理解し、その点を改めて考え直す機会になってほしいと願っている。


nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

議事録未作成問題と「行政文書の範囲」 [2012年公文書管理問題]

原子力災害対策本部議事録未作成問題の続報。前のブログ記事も参照してください。
引用します。

東日本大震災:震災議事録、「被災者支援」も未作成 議事録・概要なし、計3会議に

 岡田克也副総理は27日午前、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故に対応するため政府が設置した計15の会議などの議事録に関する調査結果を公表した。緊急災害対策本部の下部組織「被災者生活支援チーム」が議事録と議事概要をいずれも作成していなかったことが新たに判明。議事録だけでなく、議事概要の記録も残していなかったのは原子力災害対策本部と緊急災害対策本部に生活支援チームを加えた3会議となった。

 このほか、政府・東京電力統合対策室と電力需給に関する検討会合の2会議は議事録がなく、議事概要も一部しか作成していなかった。岡田氏は記者団に「計5会議で一部または全部の記録がなかった」と語った。

 残る10会議のうち、復興構想会議など4会議は議事録・議事概要の両方を作成、各府省連絡会議など5会議は議事概要のみ、復興対策本部は議事録のみを残していた。

 公文書管理法は、重要な会議の意思決定過程などを検証できる文書作成を義務づけている。

 岡田氏は同日の閣議後の閣僚懇談会で、不備があった会議を担当する各閣僚に2月中をめどに議事概要を作成するよう要請し、同法の趣旨を踏まえ指導を徹底するよう求めた。【中島和哉、中井正裕】

毎日新聞 2012年1月27日 東京夕刊
(引用終)

もっとも詳しいのは日経の方ですが、日経はすぐにウェブ上で見れなくなるので、毎日の方を引っ張っておきます。

さて、この話をする際に前提として考えておかなければならないことがある。
それは「議事録がない」=「記録が何も残っていないことを意味しない」ということだ。

ではなぜ「議事録」や「議事概要」がないのか。
それは、官僚が考えている「議事録」や「議事概要」は「行政文書」として「認定された」ものだけを指しているからである。

よって、この問題を理解するにはまず「行政文書」とはどのような定義であるのかを理解する必要がある。

「行政文書」とは、公文書管理法第2条第4項で次のように定義されている。

4  この法律において「行政文書」とは、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書(図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)を含む。第十九条を除き、以下同じ。)であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいう。ただし、次に掲げるものを除く。(以下略)

この定義によれば、「行政文書」とは

①職務上作成、取得したもの
②組織的に用いるもの
③保有しているもの


の3点を満たさない限り「行政文書」としては扱われない。
これは情報公開法でも同じ定義である(第2条第2項)。

くせ者なのは、このうち②の「組織的に用いるもの」である。
この「組織的」というのは、官僚の中では「決裁を経たもの」として認識されている可能性が極めて高い。
つまり、自分の手元で作っている決裁前に作られた文書は、全て「私的メモ」扱いされているということである。
情報公開法施行以来、この「組織的」ということを盾に取り、官僚が取ったメモ(会議などで取ったものも含む)を「私的メモ」として扱い、情報公開の請求対象外とするケースが各所で起こっていた。

そこで公文書管理法では第4条に次の条文を設定することで、この逃げ道を塞ごうとした。
公文書管理法第4条は次のような文章である。

第四条  行政機関の職員は、第一条の目的の達成に資するため、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、次に掲げる事項その他の事項について、文書を作成しなければならない。
一  法令の制定又は改廃及びその経緯
二  前号に定めるもののほか、閣議、関係行政機関の長で構成される会議又は省議(これらに準ずるものを含む。)の決定又は了解及びその経緯
三  複数の行政機関による申合せ又は他の行政機関若しくは地方公共団体に対して示す基準の設定及びその経緯
四  個人又は法人の権利義務の得喪及びその経緯
五  職員の人事に関する事項


つまり、行政文書として政策決定過程がわかる文書を作成しなければならないと定めたのである。
もちろん今回の問題が、第4条の第2号と第3号に関わることは一目瞭然である。

今回の問題は、この公文書管理法第4条が官僚に全く意識されておらず、公文書管理法施行以前の対応をそのまま続けていたということに他ならない。

当然、ここまで重大な問題である以上、担当者がメモを取っていないとは思えない。
そして、部内で回覧できるような「参考資料」として、最低限の「議事概要」は作っていたはずである。
だが、彼らにとってはそれは決裁を受けていない「参考資料」でしかなく、それは「私的メモ」だという判断なのである。

そして多忙であったため、「行政文書」として認識されるような「議事録」や「議事概要」を作成しなかった。
彼らには共有している「参考資料」があったので、「議事録」を「作る」必要がなかったのだ。
おそらくそれが今回の「議事録未作成」の真相というところではないのだろうか。

そして前回のブログに書いたように、対外的には作る必要のある「議事録」が、作成責任を担う部局が不明確ななかで、「業務に支障がない」ので作成されなかったのだろう。
ちなみに、録音をしている会議も当然あるだろうが、おそらくその録音自体も、官僚からすれば「組織的に共有していない」ものなので「行政文書」ではないという認識なんだろう。

上記の記事で、岡田克也副総理が「2月中をめどに議事概要を作成するよう要請し、同法の趣旨を踏まえ指導を徹底するよう求めた」と述べているのは、おそらく「概要」は「参考資料」としてそもそも持っているはずだろうということを想定した発言のようにも思う。
もちろん、録音があればそれを元にして復元せよということも含んでもいるだろう。

なお、当然後から作った議事録や概要は「信頼性」を問われるわけだから、その元となった「参考資料」は「行政文書」として認定し、それも含めて公開するべきだと思う。
というか、そもそも公文書管理法第4条の主旨からすれば、「参考資料」となっていると思われるものは当然行政文書として保管されるべき文書である。

今回の問題で、公文書管理法が現場できちんと運用されていないということが浮き彫りになった。

おそらくこれは氷山の一角にすぎないと思う。
他の部局でも同じようなことが続いている可能性は極めて高い。
公文書管理法の徹底化のためには良い機会でもあるので、是非とも各省庁で徹底した公文書管理法運用に尽力してほしいと思う。

あと余談ではあるが、前回も書いたように、この議事録未作成問題は昨年3月末からすでに問題になっていた。
今回これだけ事態が進んだのは、明らかに「公文書管理を担当する大臣」の熱意があったからに他ならない。

これまでの担当大臣であった蓮舫前行政刷新相は、この問題を解決しようとはしてくれなかった。情報公開法の改正も棚上げにしたし、正直残念でならない。
それに引き替え、岡田克也副総理(公文書管理の担当としては「行政刷新相」か)がいかにこの問題に真摯に取り組んでくれたか。
NHKが報じてから数日でここまでのことが明らかになったのだから、岡田副総理がこの問題を重要視して解決にあたろうとしてくれたことが非常に良くわかる。

こういう政治家が要所に何人もいればなと感じざるを得ない。

追記
「政府・東京電力統合対策室」については、東電が「民間企業」であるので、上の問題に加えてさらに「民間企業の情報を公開するか否か」という話が関わってくるので、もう一段状況は複雑になる。
この点は情報公開クリアリングハウスの三木由希子さんがずっと追っているはずですので、そちらのブログを参照してください。
nice!(1)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

原子力災害対策本部の議事録未作成問題 [2012年公文書管理問題]

2012年1月22日のNHKの報道。引用します。

政府の原災本部 議事録を作らず
1月22日 17時44分 NHK

東京電力福島第一原子力発電所の事故を巡って、避難区域や除染の方針など重要な決定を行ってきた政府の「原子力災害対策本部」の議事録が作成されていなかったことが分かりました。専門家は「将来同じ失敗を繰り返さないようにするための財産が失われたという意味で、国民的な損失だと思う」と指摘しています。

政府の原子力災害対策本部は、総理大臣を本部長とし、経済産業大臣をはじめ全閣僚をメンバーとするもので、原発事故当日の去年3月11日に設けられ、避難区域や除染の基本方針、農作物の出荷制限など原発事故を巡る重要な決定を行ってきました。NHKで、去年11月、それまでに開かれた21回の会議について「議事録や内容をまとめた資料など」の情報公開請求を行ったところ、公開されたのは、議題を記した1回の会議について1ページの「議事次第」だけで、議論の中身を記した議事録は作成されていなかったことが分かりました。NHKの取材に対し、原子力災害対策本部の事務局を務めている原子力安全・保安院の担当者は「業務が忙しく議事録を作成できなかった」と説明しています。公文書管理法は、国民への説明義務を果たすとともに政府の意思決定の過程を検証できるようにするため重要な会議の記録を残すよう定めており、公文書の管理を担当する内閣府は、原子力安全・保安院の担当者から聞き取りを行うなど経緯を調べています。原発事故への対応を巡っては、東京電力と政府が合同で事故対応を検討した「事故対策統合本部」でも主要な会議の議事録が作成されていなかったことが分かっており、内閣府は、この経緯についても調べています。

公文書の管理や情報公開制度に詳しい名古屋大学大学院の春名幹男特任教授は「政府の重要な立場にあった人たちは、記録を残さないと責任を果たしたことにはならない。今回は、自分たちの失策がそのまま記録されると困るので、あえて記録を残さなかったと思われてもしかたない。将来同じ失敗を繰り返さないようにするための財産が失われたという意味で、国民的な損失だと思う」と指摘しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120122/k10015450241000.html
(引用終)

この報道を見て、正直「NHKはなにを今さら初めて知ったかのように言っとるのだ」と思わざるをえない。

すでに、原子力災害対策本部の議事録が作られていないことは、昨年3月末に枝野幸男官房長官(当時)が記者会見で話しているし、5月11日にも認めている。
手前味噌だが、自分の書いた本の一番最後の注で、この原子力対策本部での議事録未作成が問題であることについてすでに指摘している(P.315)。
また、情報公開クリアリングハウスの三木由希子さんも、情報公開請求の当事者としてずっと発言をし続けていた。例えばこれなど。

なお、毎日新聞でも12月17日に報道がなされている。
すでにネット上から期限切れで削除されているようなので引用します。

大震災と報道:原発対策関連の公文書散逸の恐れ 検証作業の支障に
2011.12.17 東京朝刊 20頁 毎日新聞

 今年3月の福島第1原発事故に伴って政府が設置した「原子力災害対策本部」と「政府・東京電力統合対策室」で、取り扱われる公文書が適切に管理されていない状態が続いている。公文書管理法(今年4月施行)に基づく「ファイル管理簿」も作成されていないなど、同法の趣旨に反する疑いも指摘されている。識者らからは「政府の事故対応の是非を検証するために必要な文書が散逸する恐れがある」と懸念が出ている。【吉永磨美、臺宏士、青島顕】

 ●「メモだから非公開」
 「政府・東電統合対策室」(対策室)は今年3月、東京・内幸町の東電本店内に設けられた。実質的な事務は経済産業省の原子力安全・保安院が担っている。細野豪志・原発事故担当相を筆頭に、東電の職員や厚生労働省、文部科学省など関係省庁の連絡担当者が集まり、毎日午後6時から、各省庁による原発事故の収束作業などに関する「全体会議」が行われている。
 先月7日にあった対策室の合同会見で、園田康博・内閣府政務官は「全体会議の議事録は取っていない」と明言。「(事故対策の)時系列のメモはあるが、内部文書なので公開しない」と続け、記者からあった関係文書の開示要求を突き放した。
 対策室の担当者間で交わされた発言や文書、情報は、政府や東電が事故収束に向けて取った措置が適切かどうかを、のちに検証する重要な手がかりになるのは間違いない。ところが、園田政務官は「各省でとりまとめており、心配ない」とした。「メモ」でも組織的に用いられていれば行政文書に当たり、情報公開法の開示対象になるが、行政文書に当たるかどうかについても「精査しないとわからない」と即答を避けた。

 ●官僚の本音は…
 一方、対策室と連携し、政府レベルで協議する場が「原子力災害対策本部」(災対本部)だ。首相を本部長に、原発における緊急事態に際して総合的見地から対処する中枢機能を持つ。原発周辺の避難区域を見直す作業もここでされている。会議は首相官邸で行われる。災対本部も初期の議事録の8回分はないという。事務局の保安院によると、菅直人前首相による原発に対する放水命令や指示の判断に至る経緯が分かる文書の請求もあったが見つからず、「不存在」とされたケースもあるという。
 通常の行政機関であれば、公文書は、部局ごとに置かれた文書管理担当者が管理規定に基づき文書内容を把握する仕組みになっている。そのための「ファイル管理簿」も存在する。ところが、両組織の情報公開請求窓口になっている内閣府の担当者は「対策室も災対本部も、管理簿はない」と取材に対して明言した。文書管理規則もないという。
 なぜこのような事態になっているのか。
 対策室や災対本部は、内閣府設置法など具体的な設置法に基づく行政機関ではない。また、対策室については、働く保安院などの職員も各省庁に在籍しながら「連絡係」として勤務しているだけで、正式な辞令が出ているわけではない。当然、文書管理の担当職員はいない。各省庁から来た職員が個別にそれぞれの形式で残しているだけだ。
 先月10日にあった民主党内閣部門会議――。経産官僚出身の後藤祐一衆院議員は、秘密保全法制をめぐる議論の中で、同席した官僚出身議員を見渡しながらこう話した。「情報公開法が施行(01年)になってすごく危なくなった。いざというときには公開請求が来る。請求をはねのけられるように、『これは個人のメモ』とメモがやたらと増えた。みなさんご経験があると思う」。情報公開を避けるための、役人時代の“手の内”を明かしたような発言といえた。内閣府の園田政務官が3日前の会見で述べた、「メモはあるが、公開はしない」と通じる感覚だった。

 ●復興対策本部は整備
 内閣府によると、災対本部は原子力災害対策特別措置法を基に設置されているが、「会議体」と呼ばれ一般的な行政機関ではないという位置づけだ。重要な情報や文書があるにもかかわらず、法に基づく文書管理が当初から行われていない。
 ところが、情報公開法に基づく開示請求が対策室や災対本部に相次ぎ、請求窓口の内閣府は、両組織で取り扱う文書についても情報公開法に準じた扱いにしている。
 対策室については、災対本部内の「原子力被災者生活支援チーム」の職員が文書を探す事務を担当。災対本部や実質的な庶務業務を行う保安院にないかどうかを確認したり、各省庁の職員と連絡を取り合いながら作業を進めている。それらの資料は東電側から提供を受けたものと混在している状態で、「行政文書」かどうかについて、一つずつ精査しているという。
 災対本部についても同チームの職員が文書管理担当を兼務している。請求ごとに文書作成にかかわった職員を探し出し、一つずつ問い合わせて該当する文書をかき集めているという。ただ、両組織ともに文書については現段階でも担当者による個別管理で、組織だった管理には至っていない。文書管理規則を定めファイル管理簿を作成する具体的な予定はいまのところないという。
 同じ大震災に関連しては、今年6月に設置された「東日本大震災復興対策本部」がある。復興施策について省庁や被災自治体との調整などを行っているが、文書管理の規則やファイル管理簿も存在している。発足当初から東日本大震災復興基本法に基づく正式な行政機関と位置づけたからで、担当者は「公文書管理法や情報公開法などに準じて法的に必要なものは整備した」と話した。
(以下略)

この毎日新聞の記事が、もっとも本質を理解していると思う。

NHKの報道によって、文書が作られていないのは「隠蔽だ」という問題になっているようだが、おそらく官僚の立場からすると「管理規則がないんだから管理しなくていいんじゃないか」レベルの話でしかない。
つまり、行政機関としての明確な位置づけがないので、文書管理をきちんとするための制度的な「制約」がないので誰もやらないということなのだ。
だから、「私的なメモ」ということで公文書扱いしないというようなこともまかり通っている。ただ、こういった「私的なメモ」扱いで重要な記録を行政文書から外すことは、何もここに限ったことではないが・・・

記事に引用されている「東日本大震災復興対策本部」については、行政機関としての法的根拠が明確であるため、公文書管理法に基づく文書管理規則がきちんと作られている。
よって、公文書管理委員会でも審議が行われている。

つまり、官僚達にとっては、「原子力災害対策本部などが行政機関として法的に位置づけられれれば文書管理をきちんとやりますけど」という論理になっているのだ。復興対策本部のように。

これは官僚の行動形式としては「ありうるな」と思わざるをえない。
彼らにしてみれば「規則に従って動いている。規則がないことはやらんで構わない」ということなのだから。
よって、こういう状況をずっと放置してきた「政治家」の側の問題が極めて大きいということになる。

特に、時折記者会見で追及されたりしていたわけだから、枝野前官房長官の責任は大きい。(また、これを追及し続けなかったマスメディアもどうかと思うが。もちろん自分も同じ反省をせねばならないが。)
結局、日々の対策に追われ、後から検証する資料をどう残すかというところに目がいかなかったのだろう。
でも、公文書管理法制定にあれだけ尽力してくれた枝野氏には気づいてほしかったし、何とかしてほしかった。
(枝野氏は1月24日の報道で謝罪した上で「対策本部の議事録作成」を保安院に命じたようだが・・・。ただ後から作る議事録がどこまで当時の記録を再現できているかは未知数だろう。都合の悪いことは隠す可能性もあるだろうし。)

今回の事例は、公文書管理法の実効性についてあらためて考えさせられる。
こういった「対策本部」のような時限付きかつ寄り合い所帯の部署の文書が解散後に散逸しやすいということは、公文書管理法制定過程の中で問題となり、第33条に「組織の見直しに伴う行政文書等の適正な管理のための措置」が加えられることになった。
つまりきちんと引き継がないとダメですよという決まりである。

一方、こういった組織が立ち上がるときの文書管理については、本来ならば公文書管理法第4条から第10条の「行政文書の管理」の条項が適用される。にも関わらず無視されているのが今回の事例である。
復興対策本部は第10条に基づく管理規則が作られたので文書管理がなされているが、規則が作られていない災害対策本部などの場合、公文書管理法が無視されるということが浮き彫りになったのである。

よって、今回の問題の解決策としては、過去の経緯を調べるということだけでなく、原子力災害対策本部と政府・東電統合対策室の行政文書管理規則を早急に立案し、これを公文書管理委員会へ諮問し、すぐに施行することが必要不可欠である。
これをやらなければ、いつまでたっても官僚達は文書をきちんと作らないし残さない。

根本原因をきちんと理解した上での対策が求められると思う。


追記(1/30)

hirajimukannさんよりコメントを頂きました。コメント欄まで見ない方が多いでしょうからここに貼っておきます。

 「原子力災害対策本部と政府・東電統合対策室の行政文書管理規則・・・」についてですが、行政文書管理規則は行政機関の長が定めるものなので、公文書管理法第2条に定義されている行政機関ではない機関で行政文書管理規則を定めるということはありえません
 もともと行政機関というのは法令の根拠がない限り作ることはできないので、法令の根拠がない組織は行政機関ではないのです。にもかかわらず、閣議決定や閣僚の指示・了解などのみで法的根拠のない組織が濫造されていることが、文書管理に限らずいろんな問題の原因になっています。
 ただ、これらの行政機関ではない組織については、通常は行政機関であるどこかの機関の組織が「庶務を担当する」、あるいは「事務局を運営する」ことになっているはずなので、法的にはその機関の行政文書管理規則が適用されることとなるはずです。よって適用される行政文書管理規則がないということはありません。ただ誰もそこまで意識していないのが現状なのでしょうが。
 同じように法定の行政機関ではない行政刷新会議や現在動いている内閣府の復興庁準備室の行政文書管理がどのような体制になっているのか興味があるところです。
by hirajimukann (2012-01-27 22:44)


なるほどというご指摘である。
本来ならば、このご指摘に基づいて上記の内容を変えるべきなのだろうが、むしろ私が読み違えた部分がこの問題の本質に関わる問題なので、私の間違えた部分は残した上で、修正を追記する形で処理しておきたい。

ご指摘の点は2点に要約できる。

・法的に行政機関として位置づけられていない組織には公文書管理法が適用されていない。
・しかし、そういう組織の事務は行政機関のどこかが庶務を担当しており、そこの行政文書管理規則が適用されるはずである。


(注記2/2)この点については、コメント欄のhirajimukannさんと私との追加の議論を参照のこと。

まず、公文書管理法が適用される機関は、公文書管理法第2条第1項に記載がある。

第二条  この法律において「行政機関」とは、次に掲げる機関をいう。
一  法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣府を除く。)及び内閣の所轄の下に置かれる機関
二  内閣府、宮内庁並びに内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項及び第二項に規定する機関(これらの機関のうち第四号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。)
三  国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関(第五号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。)
四  内閣府設置法第三十九条及び第五十五条並びに宮内庁法(昭和二十二年法律第七十号)第十六条第二項の機関並びに内閣府設置法第四十条及び第五十六条(宮内庁法第十八条第一項において準用する場合を含む。)の特別の機関で、政令で定めるもの
五  国家行政組織法第八条の二の施設等機関及び同法第八条の三の特別の機関で、政令で定めるもの
六  会計検査院


今回の問題に関して関連があるのは第1号。

第1号は法律に「内閣に~を置く」といったような規定がある機関のこと。
内閣官房(内閣法)、内閣法制局(内閣法制局設置法)、安全保障会議(安全保障会議設置法)や宇宙開発戦略本部(宇宙基本法)などである。
東日本大震災復興対策本部は、東日本大震災復興基本法第11条に「内閣に、東日本大震災復興対策本部(以下「本部」という。)を置く。」という規定があるので、この第1号に該当する。
そのために行政文書管理規則が定められている。

第2号は、内閣府、宮内庁、公正取引委員会、国家公安委員会、金融庁、消費者庁のこと。
第3号はいわゆる常設の省庁や委員会を定めたもの。
第4号は警察庁、第5号は検察庁が該当する。

つまり、常設の省庁や委員会を除けば、第1号の適用がなされなければ公文書管理法に該当する「機関」として認定されないことになる。
だが、法的根拠が曖昧なまま作られている機関がたくさんある。(法律を作るには国会を通さなければならないので面倒だというのもあるのだろう。)
今回問題となった15の会議のうち、上記の第1号に適用される機関はほとんどないというのが実態であろう。

ただし、hirajimukannさんもおっしゃっているように、その法的根拠の曖昧な機関であっても、どこかの行政機関が事務を担当しているはずであり、そこには公文書管理法が適用されているはずである。
今回、原子力災害対策本部の過去の議事録の作成を、枝野経産相が「事務局を務める経産省原子力安全・保安院」に指示したのは、このためである。

私が読み違えたのは、公文書管理法は災害対策本部のような暫定的な機関であっても、行政機関である以上は適用されるものだと思い込んでいたところである。ここは明らかに私の理解不足であった。
また、事務を担う機関には公文書管理法が適用されているので、私が書いた「文書管理規則がない」から問題なのではなく、「あるのに適用していない」ということの方が指摘としては正しいということになるだろう。

つまり、
「確かにその該当機関には公文書管理法が適用されていないが、事務局を担う行政機関には公文書管理法が適用されており文書の作成義務はある。それに違反していたのではないか。」
との指摘が一番正確であったという所だろうか。

まだまだ法律の理解が甘いということを実感させられた。
法の運用の際に出てくる問題を正確に理解するのは本当に難しい。
nice!(2)  コメント(7)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

記録管理学会で講演します。 [2012年公文書管理問題]

すでに1月も半ばですが、あけましておめでとうございます。
今年も当ブログをよろしく御願いいたします。

2月10日(金)に記録管理学会の例会で講演をすることになりました。
平日の昼間ですのでなかなか行きづらい方も多いかと思いますが、よろしければご参加ください。
事前申し込みが必要だそうです。

なお、話す内容ですが、学会の方からは「著書の1章を中心に+資格制度の話は混ぜてくれ」という依頼を受けておりますので、そういった内容で話そうと思います。

以下、学会から送られてきた案内状をコピペします。


-記録管理学会「第138回例会」開催のご案内-

 このたび、一橋大学特任講師の瀬畑源氏が新著「公文書をつかう --- 公文書管理制度と歴史研究」(青弓社)を上梓されました。この本では、公文書管理法の制定過程を丁寧に検証し、歴史研究者の立場から公文書管理制度の課題を明らかにされています。瀬畑氏は、公文書管理に関するさまざまな問題を独自の視点で綴ったブログ「源清流清」でも有名ですが、今回は公文書管理に関する本格的な著作を世に問われたわけです。
そこで当学会では、同氏を講師にお迎えし、「私の考える公文書管理の課題」をテーマに講演をお願いすることに致しました。奮ってご参加ください。
 尚、例会終了後は有志による懇親会を予定しております。

    記

Ⅰ.日 時: 平成24年2月10日(金)15時00分~17時00分(予定)
Ⅰ. 会 場: 日本文化興隆財団会議室(渋谷区千駄ヶ谷)受付14:30~
(アクセスURL http://www.nihonbunka.or.jp/access/index.html
Ⅰ.講 演:「私の考える公文書管理の課題」
Ⅰ. 参加料(1名につき): 会員 □2,000円 非会員 □3,000円  
Ⅰ. 申込先:一般社団法人日本経営協会検定事務局 (TEL:03-3403-1472)

※講師略歴 瀬畑 源(せばた はじめ)一橋大学大学院社会学研究科特任講師、一橋大学博士(社会学)、専攻は日本近現代政治史。論文に「昭和天皇「戦後巡幸」の再検討―1945年11月「終戦奉告行幸」を中心として」(「日本史研究」2010年5月号)など。
お申し込みはFAXまたは同内容をE-mailでお送りください。
検定事務局行 FAX:03-3403-1602 E-mail: f-ken□noma.or.jp(□は@にしてください)

ご芳名: 会員№:
所属名:
連絡先(Tel/e-mail):
○例 会 □ 参加する     □ 不参加
○懇親会(4,500円) □ 参加する     □ 不参加   

記録管理学会
http://www.rmsj.jp/


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問
- | 次の10件 2012年公文書管理問題 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。