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ガイドライン改正案への私のパブコメ [2012年公文書管理問題]

行政文書の管理に関するガイドラインの一部改正案についての意見の募集について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=095120670

に対して私が送ったパブコメを貼っておきます。
改正案については、前回のブログ記事で解説してあります。
ご参考になれば。

なお、相変わらずなのだが、内閣府はパブコメを送る際に文字数制限をかけている。(たぶん500字ぐらい)
あのフォームはどうにかならないんだろうか。前にもその件で内閣府には抗議をしたことがあるんだが。
仕方が無いので4分割して送ったが、どういう件数の数え方になるんだろう。

以下本文。

 そもそもとして、今回のガイドライン改正案が「歴史的緊急事態」にのみ焦点を当てていることに問題がある。緊急事態にいきなり「文書を作れ」と言われてすぐに現場が対応できるとは思えない。結局は日常的に文書の管理を徹底しなければ、緊急事態に対応できない。よって、ガイドラインの全面的な見直し及びガイドラインに則った業務の徹底化を図る手段が無ければ、いくら緊急事態用のマニュアルを揃えても結局は実行力を伴わないと思われる。
 ただし、そうだとしても緊急事態に備えた項目がガイドラインに入ること自体には賛意を表するので、以下、改正案についてのコメントを行う。

①「政策の決定又は了解を行う会議等」と「政策の決定又は了解を行わない会議等」に分けたことについて
 この両者はこれほど明確に分けられるものか。そもそも、公文書管理法第4条は「行政機関の職員は、第一条の目的の達成に資するため、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、次に掲げる事項その他の事項について、文書を作成しなければならない。」という規定であり、「第一条」の目的の達成のために「行政機関」における「経緯も含めた意思決定に至る過程」に関する文書を作成しなければならないというものである。「行政機関」が主体である以上、個別の会議で「決定又は了解」をするか否かで記録の残し方が変わるのはおかしいのではないか。
 例えば、情報を共有する会議(政策決定を「行わない」会議)で話し合われたことが、即各大臣の政策決定につながることは、緊急事態のような状況では十分にありうる。しかし、上記の分類に従えば、その会議は「政策を直接決定した会議では無い」ので、議事録は作成しなくてもよいことになる。この分類のやり方は、多くの会議で「自分たちは決定又は了解を行っていないので議事録などは作らなくてもよい」と意図的に判断され、記録が不十分な形でしか残さない理由に使われかねない。また、そもそも緊急事態のさなかに、その会議が政策決定又は了解を行っているのか否かの判断を誰が行うのかも明確ではない。
 よって、政策決定を行うか否かで分けるのではなく、「会議体の形をなしているか否か」といった外形的な理由で分類を行い、会議体をなしている会議は全て議事録や議事概要の作成を行うように変更するべきである。

②事後作成を認める場合の担保
 改正案では原則3ヵ月以内の事後作成を容認している。本来は緊急事態こそ文書をきちんと作成して情報を共有するべきだと思われるが、実際に現場ではすべての記録を整備することは難しいかもしれない。ただし事後作成を認める場合、記憶忘れや記録の改竄によって正確性を損なうおそれがある。よって、再現可能な記録をリアルタイムでできる限り残しておくことが必要である。
 特に会議の録音は必ずなされるべきである。なお公文書管理委員会のヒヤリング結果によれば、官邸危機管理センターなどには録音設備が無い部屋もあるとのことである。記録の事後作成を容認する以上、後日再現可能な手立てが取られるべきである。よって、「事前にマニュアル等を整備又は改正し」(別添1)を「事前にマニュアル及び録音設備等を整備又は改正し」と変更し、あらかじめ録音設備の整備を促すべきである。

以上

書きたいことはもっとあるのですが、さしあたりあの改正案ではこのぐらいしか書きようがないというところでしょうか。
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行政文書の管理に関するガイドライン改正案の解説 [2012年公文書管理問題]

2012年5月22日から6月8日まで、内閣府が「行政文書の管理に関するガイドライン」の一部改正案のパブリックコメントを募集しています。

行政文書の管理に関するガイドラインの一部改正案についての意見の募集について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=095120670

このガイドラインの改正案は、今年1月に問題が発覚した原子力災害対策本部などにおける「議事録未作成」問題の対応として出されている。
この間、公文書管理委員会で5回にわたって対応策が議論され、4月25日に「東日本大震災に対応するために設置された会議等の議事内容の記録の未作成事案についての原因分析及び改善策取りまとめ」が岡田克也副総理(公文書管理担当)に提出された。
その「取りまとめ」を受けて、公文書管理法を執行するための「ガイドライン」の改正を行うことになったのである。

よって、この「ガイドライン改正」が「議事録未作成問題」の「解決案」であるという位置づけができるだろう。

これまで本ブログでは、この「取りまとめ」の枠組み自体の問題について、かなり批判的に取り上げてきた。

公文書管理委員会第14回配付資料を読む
http://h-sebata.blog.so-net.ne.jp/2012-03-03

公文書管理委員会第18回傍聴記(上)
http://h-sebata.blog.so-net.ne.jp/2012-04-26

この「ガイドライン」改正案が「取りまとめ」に基づいている以上、上記の批判でおおよそは説明できるのだが、あらためて論点について簡単にまとめておきたい。
パブリックコメントを書く際の参考になればと思います。


今回の改正案は、これまでの「ガイドライン」に「歴史的緊急事態」への対応を2ヶ所に付け加えたものである。

1つめは「第3」の「作成」の所に付け足されたもの。

<歴史的緊急事態に対応する会議等における記録の作成の確保>
○ 国家・社会として記録を共有すべき歴史的に重要な政策事項であって、社会的な影響が大きく政府全体として対応し、その教訓が将来に生かされるようなもののうち、国民の生命、身体、財産に大規模かつ重大な被害が生じ、又は生じるおそれがある緊急事態(以下「歴史的緊急事態」という。)に政府全体として対応する会議その他の会合(第3及び第8の留意事項において「会議等」という。)については、将来の教訓として極めて重要であり、以下のとおり、会議等の性格に応じて記録を作成するものとする。
 なお、個別の事態が歴史的緊急事態に該当するか否かについては、公文書管理を担当する大臣が閣議等の場で了解を得て判断する。

① 政策の決定又は了解を行う会議等
 国民の生命、身体、財産に大規模かつ重大な被害が生じ、又は生じるおそれがある緊急事態に政府全体として対応するため、政策の決定又は了解を行う会議等
(作成すべき記録)
 開催日時、開催場所、出席者、議題、発言者及び発言内容を記録した議事録又は議事概要、決定又は了解を記録した文書、配布資料 等

② 政策の決定又は了解を行わない会議等
 国民の生命、身体、財産に大規模かつ重大な被害が生じ、又は生じるおそれがある緊急事態に関する各行政機関の対応を円滑に行うため、政府全体として情報交換を行う会議等であり、政策の決定又は了解を行わないもの
(作成すべき記録)
 活動期間、活動場所、チームの構成員、その時々の活動の進捗状況や確認事項(共有された確認事項、確認事項に対して構成員等が具体的に採った対応等)を記載した文書、配布資料 等

○ なお、設置又は開催当初は政策の決定又は了解を行わない会議等であっても、その後、政策の決定又は了解を行うこととなった場合には、上記①の記録を作成するものとする。

○ このため、歴史的緊急事態に対応する行政機関においては、当該事態に対応する会議等について、事前にマニュアル等を整備又は改正し、作成すべき記録、事後作成の場合の方法・期限(原則3か月以内とし、3か月を超えても作成することが困難であることが想定される場合は、事後作成に支障を来さないようにするための措置を講ずることを明確にする。)、記録の作成の責任体制、記録の作成も含めた訓練等を行うことを明確化する等の措置を講ずる必要がある。なお、事後の点検等については、第8の留意事項を参照すること。


ちなみに「なお、設置~」の○の部分は「取りまとめ」に記載が無かった。
ただ、会議の形態を2つに分けた以上、こういう規定は入れておく必要はあるだろう。

2つめは「第8」の「点検・監査及び管理状況の報告等」に付け足されたもの。

○ 上記の点検・監査に加え、歴史的緊急事態が発生した場合には、当該事態に対応す る会議等の記録の作成の責任を負う行政機関においては、事後作成のための資料の保 存状況や文書の作成・保存状況を適時点検するなど、マニュアル等に沿った対応がな されているか、マニュアル等で想定されていない事態が発生した場合には、関係する 行政機関において記録の作成の責任体制を明確にした上で、当該事態に応じた必要な 文書が適切に作成・保存されているか確認する必要がある。

ポイントを整理すると

A 「歴史的緊急事態」の際に文書作成を徹底させるため、事前に対策マニュアルを作っておくこと。
B 「歴史的緊急事態」に該当するかは公文書管理担当の大臣が決める。
C 政策決定(了解)を行う会議と行わない会議とで作成する文書が異なる。
D 緊急事態対応のためにすぐに文書が作れない場合、原則3ヵ月以内に事後作成する。
E 「歴史的緊急事態」の際の文書がきちんと作成されているかの点検監査を行う。


まず大前提として「歴史的緊急事態」に話を絞っているということがある。
日常的な文書作成に関わる部分については公文書管理委員会で継続審議状態になっており、どうなるかは未定である。

補足説明としては、Aについては、このガイドラインに基づいて、各行政機関が緊急事態対応マニュアルを作る(もしくは存在するものに追加する?)必要があるだろう。
Cは、政策を決定する会議では議事録などを、決定しない会議はその時々の活動状況を記録することが求められている。

論点としては

①「歴史的緊急事態」に限った改正で良いのか?
②「歴史的緊急事態」を決めるのが公文書管理担当大臣で良いのか?
③政策決定をする会議としない会議で作成する文書を分けたのが良いのか?(そもそも分けることができるものなのか?)
④事後作成を容認して良いのか?


といった所が想定できる。

①は大前提を疑うという所になる。
もちろん、当ブログでは以前から「緊急事態の際の文書作成は、日常からきちんと文書を作成していない限りできるわけがない」と主張しており、こういった「マニュアル」をいじれば解決する問題では無いということも繰り返し述べている。

ただ一方で、緊急事態マニュアルが無くてよいとは思わない・・・

②は担当大臣が公文書管理に関心のある人であればよいのだが、関心が無かった場合、「歴史的緊急事態」をきちんと宣言してくれないケースがありうる。
その場合、文書をきちんと作らなくてよいと取られかねないのだ。

ただ、何らかの災害があったときに自動的に適用されるという規定を入れればよいのかというと、それもまた杓子定規になってしまう。
結局は、「歴史的緊急事態」と思われる事態が起きたときに、周りから「適用しろ!」と運動をするしかないということでもあるのだろう。

③は、政策決定をするか否かで会議を明確に分けられないのではないかということだ。

例えば、情報を共有する会議(政策決定を「行わない」会議)で話し合われたことが、即各大臣の政策決定につながることは、緊急事態のような状況では十分にありうる。
しかし、その会議は「政策を直接決定した会議では無い」ので、議事録は作成しなくても良いことになる。

本来、「政策決定過程」を残す必要があるという公文書管理法第4条の趣旨は、第1条にあるように「説明責任」を果たすためのものである。
そうである以上、その会議単体が「政策を決定するか否か」ではなく、総体として政策を決定するために行われている会議等の記録をきちんと残すことが重要なのではないのか。

一方、漠然とした「重要な文書は残すべき」という規範では文書がきちんと残らない可能性も高い。
こういった、会議を分類することで個別具体的にマニュアル化をする方が、文書を残すには適合しているという考え方もありうるかもしれないとは思う。

④は政策を決定する際に「緊急だから」といって、文書で証拠を残さずに対応することを容認するのかということである。

最近の国会の事故調でも問題になっている「東京電力が福島第一原発から全面撤退しようとした」という発言の真偽にまつわる話も、本来ならば緊急事態の際に全ての会話を録音しておいたり、文書を作成しておいたりすれば、「言った言わない」の水掛け論にならずに済んだはずなのである。

またこういった緊急事態だからこそ、文書をきちんと作成し、情報を共有して事態にあたるということも必要なはず。
それに結局「事後」に作ってしまえば、都合の悪い結果が出た問題については、作成しなかったり改竄したりする可能性が出てくる。
例えば、録音を全部しておいて、文字に起こすのは事後というのならば理解はできるが、この文面でそれは担保されているようには思えない。

ただ、それでも「緊急事態に文書作成を強制するのは難しい」という意見は当然あり得るだろう。
その場合、どうすれば事後にきちんとした文書を作る担保を抑えられるのかという点で、意見を書くことは可能だろう。

以上が解説になります。

私自身の書いたパブコメは後日ブログに掲載します。

この問題に「関心がある」ことを表明することも意義のあることだと思います。
どこまでパブコメが反映される余地があるのかはわかりませんが、考えたことはしっかりと送っておいた方が良いと思います。
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公文書管理委員会第18回傍聴記(下) [2012年公文書管理問題]

前回の続き。

公文書管理委員会第18回(2012年4月25日)の傍聴に行ってきました。

この日議論になったのは2つ。
一つは、ずっと議論がなされてきた原子力災害対策本部等の議事録未作成問題への改善策について。
もう一つは、日常的な記録作成のあり方について。

資料は公式に上がっています。
http://www8.cao.go.jp/koubuniinkai/iinkaisai/2012/20120425haifu.html

前者は(上)で記載済。
今回は後者について。

資料3「政府の重要な意思決定にかかわる会議に関する記録作成の在り方」において、事務局から論点が提示された。
よって委員会では、公文書管理法第4条第2号「閣議、関係行政機関の長で構成される会議又は省議(これらに準ずるものを含む。)の決定又は了解及びその経緯」をどうやって日常的にきちんと動かすか具体策を考えるという段階に入るということになるだろう。

もちろん、文書作成は「会議」に関することだけが問題になっているわけではないが、さしあたり公文書管理法の主旨の徹底を図るためにも、まずはこの「会議記録」の部分から方針を明確にしておくのは個人的にはありだと思っている。

この資料3に基づくと、主に3点を考える必要があるだろう。

①各府省庁バラバラの「会議」の定義を明確にし、どの会議ではどのレベルの記録(議事録、議事概要)をきちんと残すべきなのか。
②作成した記録の公開基準が今まで通りで良いのか。
③この制度を動かすための「担保」(執行管理、人材配置)をどうするのか。


は、岡田副総理が例に出していたこととの関係。
例えば「省議」という言葉が定義する会議が、各府省庁によって全然異なっており、ガイドラインの別表に記載の会議がどれを指すのかが明確ではないところがあるということだ。
これは、分担管理原則のために、各府省庁ごとに用語が勝手に使われていることから起きている問題である。
「官房長」という役職が、各府省庁によって重みが違うなどという話が例として挙げられるだろう。

野口委員などから、まずは実態把握のため各府省庁がどのように各会議を定義しているのかを調査すべきだということが指摘され、公文書管理課が次回の会議で調査結果を報告するということになった。

これは研究者として個人的にも興味がある。
各府省庁内の政策決定過程に関わる内容であり、この過程が外部から見るとあまり明確でないことも、公文書管理制度がきちんと監視できない原因にもなっていると考えている。

ただ実態を把握した上でどうするかが問題となる。
バラバラな会議名を統一するような方向で行くのか、それとも「この会議はガイドラインのここに当てはまる」みたいな、各府省庁の実態に合わせた方向で行くのか。
公文書管理法の浸透を考えるのであれば、困難な道でも前者を取った方が絶対に良いと思う。
各府省庁で会議名が異なるというのは、情報公開を求める側にとっては非常にわかりにくいということもあるので。

は記録を逐一残すと「自由で忌憚のない意見交換が阻害される」という従来からの指摘に関わる問題。
例えば、閣僚懇談会の議事録は全く作成されていないが、議事録を作ったとして、いまの情報公開法で果たして重要な機密情報を隠すことが可能なのかということである。
よって、「時限秘」(ある機密情報については、何年は公開しないという期限をあらかじめ設定できる)の制度について考える必要があるのではということになる。

ただ、この点については三宅委員が、情報公開法との関係が出てくるから、公文書管理法を担当する公文書管理委員会で果たして議論できることなのかとの疑義を提示していた。
また、情報公開法を作る際にも「時限秘」問題は議論になり、結局一つ一つの文書の「情報の質」で判断することになった経緯もあるので、時限秘はあまり好ましいとは思わないという意見を述べていた。

時限秘については、まだ私も明確に意見を述べることが難しい。
加藤委員が、情報公開法のみで機密情報がきちんと守られるかは疑問だが、時限秘を入れることはどうなのかな?ということを述べておられたが、私もいまのところはそのあたりの問題意識に近い。
この点は、少し議論が進むのを見たいと思う。

は(上)で述べたこととも関わるが、結局「マニュアルに書かれた内容をどのように定着させるか」という問題である。
これは公文書管理法における最大の問題でもあり、永遠の課題かもしれない。
公文書管理法やそれに基づくガイドラインをいくら整備しても、結局は現場の人がどのように守ってくれるかがカギになる。
そのためにどうすれば良いのかということである。

石原委員がずっと言い続けてきたことであるが、公文書管理をコントロールする「人と組織」をきちんと整備することが必要というのは間違いのないことである。
その具体策として、野口委員が「執行管理」のやり方をどうするのかを議論する必要があるとの指摘をしていた。特に、各府省庁が行っている文書管理をチェックする仕組みを整えることが不可欠だということを強調されていた。

御厨委員長や三宅委員もやや自虐的に言っていたが、公文書管理委員会自体に各府省庁に公文書管理体制を強化しろと命令できる権限はないので、どこまで議論をするかというのは難しいところではある。
ただ、岡田副総理は「とりあえず話は広げるだけ広げてよいのでは。畳むのは後からでもできるし」と言っていたので、どこまで権限があるのかは別問題として、きちんと論点整理をして提言を行ってもらえればと思う。
それを実行するかは政治家の側の責任であるが、提言を出してくれれば「あの提言に従わないのはなぜなのか」と国会で野党から指摘できたりするので、出すことに意味はあると思う。

2月からここまで、かなりのハイペースで委員会が開かれてきたが、取りまとめが出た後はどのくらいのペースになるのかは気になるところ。
あとは、今後も岡田副総理は出続けるのか否かも実は気にかかる。

今後も議論に注目していきたいと思う。
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公文書管理委員会第18回傍聴記(上) [2012年公文書管理問題]

公文書管理委員会第18回(2012年4月25日)の傍聴に行ってきました。

この日議論になったのは2つ。
一つは、ずっと議論がなされてきた原子力災害対策本部等の議事録未作成問題への改善策について。
もう一つは、日常的な記録作成のあり方について。

資料は公式に上がっています。
http://www8.cao.go.jp/koubuniinkai/iinkaisai/2012/20120425haifu.html

長い記事になりそうなので、さしあたりは前者について。
後者は(下)にて。

事務方から、「東日本大震災に対応するために設置された会議等の議事内容の記録の未作成事案についての原因分析及び改善案」の取りまとめ案(以下「取りまとめ」と略す)が提示された。
流れだけ先に述べておくと、改善策で「意思決定型の会議等」と「事務事業型の会議等」に分けて記述した点について、野口委員をはじめとして「緊急事態の改善策として提示しただけ」といった注記を入れるべきという話になり、「なお、以上の(1)意思決定型の会議等、(2)事務事業型の会議等の分類については、歴史的緊急事態に対応するために必要な改善策として便宜行ったものである。」との記述が8ページに加えられた上で承認された。

承認されたものが以下のもの。
「東日本大震災に対応するために設置された会議等の議事内容の記録の未作成事案についての原因分析及び改善策 取りまとめ」
http://www8.cao.go.jp/koubuniinkai/iinkaisai/2012/20120425/20120425torimatome.pdf

この取りまとめがどのような位置づけになるのかよくわからなかったのだが、委員会の場において御厨委員長から岡田副総理に提出がなされた。
その後の説明を聞いていると、「行政文書の管理に関するガイドライン」の改訂案を公文書管理課が作成して委員会に提示、パブリックコメントを経て、ガイドラインの改正に繋げるということだそうです。
そうするとこの改善案自体はどのように各省庁に共有されることになるのかがよくわからなくなるが・・・。
ガイドラインを変えるまでは各省庁に伝えられないんだろうか。

さて、ではこの「取りまとめ」は何が書かれているのか。
大きく分けると「原因分析」「改善策」の2つである。

「原因分析」は、今回問題となった原子力災害対策本部などへのヒヤリングの結果に基づいてまとめられている。このヒヤリングについては、前にブログで解説を行った。
細かくは書かないが、配付資料1で大まかなまとめがなされているのでこちらを参照のこと。

「改善策」「歴史的緊急事態」の際の記録作成・保存のために限定している。
内容を簡単にまとめると、

「歴史的緊急事態」は公文書管理担当大臣が閣議等で了解をへて決める。
「意思決定型の会議等」(原子力災害対策本部など)と「事務事業型の会議等」(被災者生活支援チームなど)に分けて、前者は議事録・議事概要、後者は「活動記録」を残す。
③事前にマニュアルを整備し、記録をすぐに取れない場合は原則3ヵ月以内に作成する。
内閣府公文書管理課は、各府省の取り組みが不十分(おそれ含む)な場合、調査や作成を求めるなどの対応をする。


今後の検討課題として、歴史的緊急事態だけではなく、日常的な会議などの記録作成について検討を行う。
また、首都直下地震に備えるための電子公文書の管理のあり方(東京以外に複製を置く)も検討。

以上が「取りまとめ」の内容。

まず、この報告書の位置づけであるが、「歴史的緊急事態」に限る形で改善策が提示されることになった。
これは2月以来、委員会でずっと駆け引きがあり、議事録未作成に対する解決策を早急に求める岡田副総理や内閣府公文書管理課と、この問題は日常的な文書作成のあり方から問わないといけないという委員側とがずっと組み合っているという状況の中で作られた。
そのため、「歴史的緊急事態」用のマニュアルとしてこの文書が作られる一方、このマニュアルの論法自体が公文書管理法の解釈を決定するものではないという限定をつけることになり、委員が求めていた平時の文書作成問題も引き続き論じるということになった。

気になるのはやはり「意思決定型の会議等」と「事務事業型の会議等」を分けたという点。
前にヒヤリング結果を見たときの感想として、公文書管理課が「意思決定」をしている会議なのか否かで話を分けたがっていると指摘し、そこは大いに問題があるという話を書いた。
つまり、その会議の場で意思が決定されていれば「意思決定型の会議」であり、情報交換をしているなどの会議を「事務事業型の会議」に分けているのだ。

だが公文書管理法の主旨は、意思決定の過程を「第一条の目的の達成に資するため」(国民への説明責任のため)に残さなければならないと書かれているわけであり、「個別の会議に限定」して意思決定を残せと言っているわけではない。
情報交換している会議も、政策を決断するという大きな流れから見れば「意思決定過程」であり、こういった形で会議の種類を分けるのはあまり納得できるものではない。

もちろん、議事録が取りにくい会議というものもあるだろうが、こういう形で2分して整理をしてしまうと、後者については残さなくても良いという判断をされかねない。
また、そもそもそんなにくっきりとこの二つに分類できるのかということも問題としてあるだろう(どちらの会議にあたるのかを誰が緊急事態に判断するのか?)。

なおこの点については、情報公開クリアリングハウスが意見書を岡田副総理と公文書管理委員会に提出している。
私と問題意識をほぼ共有しているので、そちらもぜひ参照していただきたい。

「意思決定過程・事務事業の実績に係る文書の作成に関する意見」(情報公開クリアリングハウス、2012年4月24日)
http://clearinghouse.main.jp/wp/?p=572

また、委員の多くの方が、この取りまとめを「臨時措置」的なものにしておくべきと主張したのも、この2分法に対する違和感を提示したと言えるだろう。

それ以外の部分について。
①についてはある意味当然なのだが、逆に言えば「制度の重要性がわかっていない人が大臣だったらまずい」ということになるだろう。
そして残念ながら、公文書管理制度の重要性についてわかっている政治家は少数派。
内閣総理大臣が緊急事態のようなものを宣言したときに自動的に発動することにしておいたほうがよいような気もするが、一方でそうやって自動的に発動させた場合、問題意識が共有されず、機能しない可能性が高いようにも思う。
結局は「平時からきちんと文書を作るような体制ができていること」が必要だという話になると思う。

③については、緊急時に文書は作れないのが仕方がないというように取られないことを願いたい。
ただ、これも上記で取り上げた情報公開クリアリングハウスの意見書の中で、「緊急事態ではそれに対応する政府は様々なことに同時並行的に対応し、多くの判断を即断的に行い、それらを遂行する必要がある。そのような状況であればこそ、意思決定過程や事務事業の実績はリアルタイムで客観的・合理的に記録され、共有されている必要がある。」と書かれているように、本来はむしろ「緊急事態だからこそ記録はリアルタイムで作らないとまずい」ということが本筋だと思う。

③だけを見ると、公文書を「作成する」作業はあたりまえに行われる作業ではなく、「意識して行わないとできない」作業であるように見えるのだ。
現実としてそうなのだろうから、緊急提言としては仕方がないところはあるだろうが・・・

④については、今回の議事録未作成問題が起きた際に、公文書管理課が指をくわえてなにもしなかったことへの改善策として出されたものである。
「原因分析」の中で、公文書管理課は次のような指摘を受けている。

会議等の議事内容の記録の作成については、一義的には各府省が行うべき事務であり、歴史的大災害に係る記録の在り方について、「行政文書の管理に関するガイドライン」にも特に触れられていなかったことから、内閣府として、歴史的大災害であることを踏まえた記録の作成状況の調査の実施や各府省に積極的な記録の作成を要請するなどの対応を行うことはなかった。(5ページ)

これは、私が拙著の中で繰り返し指摘した「分担管理原則の壁」の話である。

各府省庁は分担管理されている業務を担当している。
でも往々にして、それは「原則」化して硬直化する。
だからこそ、内閣府という高所から調整して、まずいところは注意するということが必要なのだ。
特に、公文書管理のあり方自体を大きく変えた法律が施行された直後なのだから、公文書管理課がもっと注意をガンガン呼びかけることが必要不可欠だっただろう。

なぜ公文書管理が総務省でなく内閣府の担当であるのか。
そのこと自体に意味があるということをもう少し考えてほしいと思う。

長くなったので一度切ります。(下)に続く。
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日本記者クラブで講演をしてきました [2012年公文書管理問題]

2012年4月13日に日本記者クラブの「著者と語る」という講演シリーズに招かれて話をしてきました。
話した内容は、私の著書の『公文書をつかう―公文書管理制度と歴史研究』(青弓社、2011年)についてです。

youtubeにもアップされています。また後日、記者クラブのサイトで講演録も公開されるとのことです。
http://www.jnpc.or.jp/activities/news/report/2012/04/r00024121/

よろしければ御覧下さいませ。

追記5/15
当日の講演の文字起こしをしたものも上記のサイトで公開されました。よろしければご覧下さい。



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公文書管理法施行1年 [2012年公文書管理問題]

公文書管理法が施行されて今日で1年が経ちました。
施行直前に起こった東日本大震災のために全く目立つことが無く施行され、議事録未作成問題で注目されるというある意味「不幸」な目立ち方をしてしまったようにも思います。
1年経ってみて、良かった点、悪かった点について簡単にまとめてみようかと思います。

○良かった点

1.「議事録未作成」が「問題」となったこと。

あえて「良かった」点として挙げます。
おそらくこの問題は公文書管理法が存在していなければ発覚しなかっただろうし、発覚したとしても「昔からこんなものだった」という話でうやむやで終わっていたはず。
法律に違反しているか否かという点が問われ、曲がりなりにもどう対応するかを公文書管理委員会で話し合うという時点まで至っているのは、公文書管理法があったからこそだと思います。

参考
原子力災害対策本部の議事録未作成問題
議事録未作成問題と「行政文書の範囲」
議事録未作成問題を改めて考える
公文書管理委員会第14回配付資料を読む

2.宮内公文書館などでの公開手続きが明確になったこと

私は宮内公文書館のヘビーユーザーなので、そこを基準として。
これまで開示基準もはっきりとせず、開示までの時間も非常に長くかかっていたが、基準が明確になり(開示箇所が明らかに増えた)、開示までの期日もかなり短縮された。
デジタルカメラでの撮影も許されるようになり、調査が非常に楽になった。

ものすごく私的な理由だが、これだけでも「公文書管理法できて良かった!」と思っている。
ただ、一方で外交史料館などで問題が起きているというのは後記。

参考
宮内公文書館の現状

3.国立公文書館等に対する不服申立が可能となったこと

これまで、国立公文書館等に移管された上で不開示になっている文書についての不服申立は簡単にはいかなかった。
だが、第三者機関の公文書管理委員会に訴えることが可能となった。
どうやら、まだ私と情報公開クリアリングハウスの三木さんしか使っていないようだが・・・

もし不服を申し立てるのであれば、施行時の状況がわかっている委員が残っている今のうちに判例を積み重ねておいた方が良いと思われる。
情報公開法における不服審査機関である情報公開・個人情報保護審査会のメンバーが次第に官僚OBで占められるようになり、保守的な答申しか出さなくなったようなことが、公文書管理委員会でおきないとは限らない。

4.地方自治体での公文書管理条例制定の動き

公文書管理法公布以後、熊本県・鳥取県・島根県・安芸高田市で公文書管理条例ができ、札幌市や志木市、秋田県などでも制定の動きが進んでいる。
また、この3月に福岡県や佐賀県で公文書館条例が制定された。
少しずつではあるが、条例化が進んできていることがわかる。

なお、「条例を作るよりも、まずは文書管理の中身をしっかりすべき」ということをおっしゃる方がおられるが、私はそうではないと声を大にして言いたい。
公文書管理は何のためにやるのか。それはそこに生きる住民のためである。
内部統制の論理だけならば条例化よりも管理の中身をという論理も成り立とうが、「住民のため」であるという定義を行うのであれば条例化は必須のはずである。

「理念」は決して軽視されるべきものではないと思うのだ。


○悪かった点

1.法人文書、法人等での国立公文書館等設置問題

おそらく公文書管理法が施行されてみて、もっとも大きな問題を抱えることになったのは独立行政法人等における法人文書の取扱いであろう。
独法等の文書は、独自に公文書館を持っていたケース(日銀、京大など)を除き、これまで公文書館に移管することができなかった。
ただし、保存年限の延長措置は簡単にできたため、それを使うことで事実上の永年保存とし、重要な文書が保存されてきた。

しかし、今回の公文書管理法では、保存期間の延長には理由の説明が必要な一方、廃棄には特に歯止めがかからなかった(行政機関のように内閣総理大臣の許可がいらない)。
そのため、文書廃棄がこの法律で加速された可能性が高い。

また、独法等の重要な歴史的文書を引き受けるための独自の「国立公文書館等」の設置については、「特定歴史公文書等の保存、利用及び廃棄に関するガイドライン」で設置に必要な施設要件などが、ほとんどの独法等に用意できるはずのない高いハードルを課されてしまったが故に、設置したくても設置できないという状況に追い込まれた。
さらに、独法等の文書の受け入れが可能である国立公文書館自体が、暗に受け取りを拒否している(スペースがない)。
よって、「この法律は文書を「捨てる」ためのものですよね?」と職員から聞かれたという噂すら流れてくるありさまだ。

しかも問題なのは、内閣府の公文書管理課がこのガイドラインについて全く見直す姿勢を見せていないということだ。
このままでは歴史的に重要な法人文書はどんどんと捨てられてしまう。
現実に合わせて設置のための施設的な要件などを緩和しないと、事実上廃棄に手を貸すことになっていると批判されても仕方のない状況になっている。
この点は早急に手を打たないと取り返しのつかないことになるかもしれない。
(すでに京大文書館の西山伸さんをはじめとして、何人もの方がこの問題については論文を書かれている。興味のある方は是非検索してみて下さい。)

なお、この件については私自身、大きな反省をせざるをえない。
公文書管理法制定運動に関わっておきながら、全くこの問題に気づきもしなかった。
気づいたのは2010年の冬になってからで、そこからブログで連載記事をまとめ、上記したような事態が起きうることを書き連ねた。
正直遅かったと思っている。もちろん自分が気づけばどうにかなったという問題ではないが・・・

当時書いたブログ
【連載】法人文書と公文書管理法 第1回 行政文書と法人文書の管理の違い
→以下全5回

2.外交史料館での公開の後退

公文書管理法の施行によって、これまで公開があまり行われていなかった公文書館では明らかに文書の公開が進んだ。
その一方、請求冊数や開示までの日数も、以前よりも時間がかかるようになったようである。

また、これはコメント欄で御指摘いただいたことだが、公文書管理法施行時に現用文書への情報公開における個人情報の開示基準が厳しくなった可能性があるという。
ただしこれについては、私は体験者ではないので断言はできない。

基準が明確化することで、かえって自由にやっていたところが後退するという残念な結果が生まれている可能性がある。
なんとも評価しがたいところでもある。どこかで上手くいくと、どこかでマイナス点も出るということか・・・

参考
公文書管理法と外交記録公開

3.立法文書、司法文書の公文書管理法への動き・・・

今のところ表面化した動きは全くない。
特に、議事録未作成が問題となったとき、政府の政務三役会議(官僚を入れていない)の記録がないという話も取り上げられていた。
こういった文書をおさえるには、立法府の公文書管理法が必要不可欠だろう。

今回の議事録未作成問題は、官僚の公文書管理法への理解が無かっただけでなく、政治家もまたきちんと法の趣旨を理解していなかったということにも原因がある(理解していればもっと前の段階で手を打てたはずだ)。
なので、早急に立法府の公文書管理法の制定が考えられてよいはずだ。

司法については、裁判所にある重要な文書は国立公文書館へ移管されることになったが、刑事事件関係(検察が所有)の文書などをどうするのかといった問題など、まだ多くの課題が残っており、やはり公文書管理法は必要だろう。

水面下で話が進んでいればそれに越したことはないのだが・・・

他にブログで取り上げたものとして、行政文書管理ファイル簿から廃棄された文書の記録が即削除される問題(これまでは5年間はファイル簿に残っていた)なども悪いことの部類にはいるだろう。

参考
移管・廃棄簿について考える

全体を通して考えると、法律を動かしてみるとやはりいろいろな不備が目立つようになってきたなと思う。
それに、公文書管理法の認知度の低さをどう克服するのかが、当然と言えば当然の如く大きな問題として立ちはだかってきたなというのが実感だ。

議事録未作成問題によって、少なくとも「公文書管理法」という法律が存在するという点については認知度がかなり上がったものと思われる。
よって次は、この法律の内容を理解してもらい、これに従って職務を行ってもらえるかどうかという段階に入る。
そして、これがおそらく最も難しい。

とにかく研修を重ねていくこと、そして不祥事が起きたときに繰り返しそれがダメであると指摘をし続けること。
そういった積み重ねしかない。そうやって情報公開法も次第に定着してきたのだから。

他にも書く必要がありそうだが、とりあえず今回はここまで。
今後、公文書管理委員会において施行状況の報告があるはずなので、その際にまた記事を書くことにします。
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「「議事録未作成」は対岸の火事か?」寄稿 [2012年公文書管理問題]

『大阪大学文書館設置準備室だより』第10号(2012年3月31日)に「「議事録未作成」は対岸の火事か?」を寄稿しました。

1月からたびたび話題になっている原子力災害対策本部などの「議事録未作成」の問題。
国立大学法人にお勤めの方、それが「対岸の火事」と思っていませんか?
大学の政策決定過程がはたしてどこまで残っているのか。きちんと確認がなされるべきかと思います。

なお、この号に一緒に掲載されている菅真城さんの「学内刊行物の資料価値―文書館設置のために―」も非常に面白い論考です。
文書館の設置がなかなか難しい大学などには参考になる文章だと思いますのでお奨めします。

『大阪大学文書館設置準備室だより』第10号(2012年3月31日)
http://www.osaka-u.ac.jp/ja/academics/facilities/ed_support/archives_room/publications/files/10.pdf

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著作権法改正案と公文書管理法 [2012年公文書管理問題]

2012年3月9日に著作権法の改正案が閣議決定されました。
案文が公表されたので、公文書管理法関係の部分だけ解説をしておきます。
はっきりいって著作権法はまだ勉強中なので間違った解釈をしていたら申し訳ありません。
アウトプットすることで自分の頭を整理してみたいと思います。

改正案や概要は↓から。

著作権法の一部を改正する法律案
http://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/detail/1318798.htm

まず著作権法と公文書との関わりだが、公文書には基本的には著作権は存在しない。
著作権のある著作物は、著作権法第2条第1項第1号で「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」とあるためだ。

だが、著作物が公文書に混ざっているケースがある。
例えば、委員会で配布された論文のコピーやポスターコンクールで応募した絵などがこれにあたる。
また、レコードの音声や映画の映像といったものも。

そういうものが混ざっていた場合、著作権法が適用され、公文書館などが著作権者に無断で公開したりすることができない。
よって、公文書管理法の制定と合わせて著作権法の改正が図られることになったのが今回の改正案である。
ただし、他の改正案も抱き合わせになっているため、公文書管理法施行に間に合わなかった。

公文書管理法と合わせて改正される部分は「公表権」「氏名表示権」「複製権」の3点が主である(これと合わせるために、他にも数条変わっている)。

1.公表権(第18条)

まず第1項の部分を。

(公表権)
第十八条 著作者は、その著作物でまだ公表されていないもの(その同意を得ないで公表された著作物を含む。以下この条において同じ。)を公衆に提供し、又は提示する権利を有する。当該著作物を原著作物とする二次的著作物についても、同様とする。


未公表の著作物を公表する権利、二次利用する権利は著作者が持つという規定。
この権利のうち「公衆に提供し、又は提示する権利」を制限する。(第3項の改正)

第3項の改正案に提示されているのは、簡単に述べると公文書管理法で言うところの「特定歴史公文書等」(国立公文書等で保存されている文書)の公表に関わることである。
つまり、特定歴史公文書等に含まれている未公表の著作物(例:ポスターコンクールで応募した絵)を国立公文書館等は著作者に断りなしに公表・提示することができるということだ。

この改正案で注目したいのは第3項の第3号。
地方公共団体(独法含)の公文書館に、国立公文書館等と同様の権利を与えるための条文。

三 その著作物でまだ公表されていないものを地方公共団体又は地方独立行政法人に提供した場合(開示する旨の決定の時までに別段の意思表示をした場合を除く。) 情報公開条例(地方公共団体又は地方独立行政法人の保有する情報の公開を請求する住民等の権利について定める当該地方公共団体の条例をいう。以下同じ。)の規定により当該地方公共団体の機関又は地方独立行政法人が当該著作物を公衆に提供し、又は提示すること[引用者注:ここまではすでにある条文。以下が今回付け足される改正案]
当該著作物に係る歴史公文書等が当該地方公共団体又は地方独立行政法人から公文書管理条例(地方公共団体又は地方独立行政法人の保有する歴史公文書等の適切な保存及び利用について定める当該地方公共団体の条例をいう。以下同じ。)に基づき地方公文書館等(歴史公文書等の適切な保存及び利用を図る施設として公文書管理条例が定める施設をいう。以下同じ。)に移管された場合(公文書管理条例の規定(公文書管理法第十六条第一項の規定に相当する規定に限る。以下この条において同じ。)による利用をさせる旨の決定の時までに当該著作物の著作者が別段の意思表示をした場合を除く。)にあつては、公文書管理条例の規定により地方公文書館等の長(地方公文書館等が地方公共団体の施設である場合にあつてはその属する地方公共団体の長をいい、地方公文書館等が地方独立行政法人の施設である場合にあつてはその施設を設置した地方独立行政法人をいう。以下同じ。)が当該著作物を公衆に提供し、又は提示することを含む。)。

カッコが多いので、地の部分に下線を引いておいたので、そこだけを追ってもらえると読みやすいです。
注目は、この条文が地方公文書館に適用されるためには「公文書管理条例」が必要であるということである。
また、該当する地方公文書館等も「公文書管理条例が定める施設」と書かれている。

なお、「地方公文書館等」の定義がここで決まっているので、その後の公文書管理法に関わる部分の改正は全て「国立公文書館等又は地方公文書館等」という並びで使われている。
つまり、公文書管理条例(それに類するもの)が無いと、今回の著作権法の改正は地方公文書館には適用されないということになるのだ。

ちなみにこの第18条は第4項も改正されるが、これは国立公文書館等での不開示基準にあたる情報については、公表権は及ばないという規定である(つまり、他の情報と同様に不開示できるということ)。

2.氏名表示権(第19条、第90条)

(氏名表示権)
第十九条 著作者は、その著作物の原作品に、又はその著作物の公衆への提供若しくは提示に際し、その実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利を有する。その著作物を原著作物とする二次的著作物の公衆への提供又は提示に際しての原著作物の著作者名の表示についても、同様とする。


著作物を公表するときに、それに自分の名前を表示するかどうかは著作権者が決めることができるという規定である。

今回の改正案では、特定歴史公文書等については、著作物に著作者名が一緒に記載されている時はそのまま表示するということが定められている(第19条第4項第3号)。
つまり、著作者に載せる許可を取らなくてよいということである。

なお、情報公開法での請求の場合は、「省略」することもできる(個人情報保護のために不開示にできる)。
だが、公文書管理法による請求の場合は「省略」の規定がないので、そのまま表示するということになるのだろう。

3.複製権(第42条の三)

これは新設された条文なので引用します。

(公文書管理法等による保存等のための利用)
第四十二条の三 国立公文書館等の長又は地方公文書館等の長は、公文書管理法第十五条第一項の規定又は公文書管理条例の規定(同項の規定に相当する規定に限る。)により歴史公文書等を保存することを目的とする場合には、必要と認められる限度において、当該歴史公文書等に係る著作物を複製することができる。
2 国立公文書館等の長又は地方公文書館等の長は、公文書管理法第十六条第一項の規定又は公文書管理条例の規定(同項の規定に相当する規定に限る。)により著作物を公衆に提供し、又は提示することを目的とする場合には、それぞれ公文書管理法第十九条(同条の規定に基づく政令の規定を含む。以下この項において同じ。)に規定する方法又は公文書管理条例で定める方法(同条に規定する方法以外のものを除く。)により利用をさせるために必要と認められる限度において、当該著作物を利用することができる。


まず第1項は、保存を目的とするのであれば著作物を複製をすることができるという規定である。
つまり、古い文書などを保護するために複本(マイクロフィルムなど)を作ることができる。

第2項は公文書管理法第19条と関係がある。
第19条は「利用の方法」を決めた条文であり、特定歴史公文書等を「閲覧又は写しの交付(電磁的記録は媒体に応じて)」によって利用者に提供できるというものである。
つまり、利用者が著作物を閲覧したりコピーしたりすることができるという規定だ。

この二つは無いと特に困る条文。
逆に言えば、この条文がない状態で公文書管理法が運用されているというのは結構危ういことなのだ。

4.その他

他に関わる改正は、第49条の「目的外利用での複製禁止」と第86条の「出版社が出版権を持っていても複製できる」という部分である。

以上が解説。

この法律が情報公開法の改正案のように棚晒しにならないかが心配。
特に、この改正案には著作権の制限規定を緩めたり、国立国会図書館による図書館資料の自動公衆送信に関わる規定の整備など、色々と揉めそうなものが含まれている。
公文書管理法に関わる部分はおそらく批判を受けることがない部分だと思うが、他の部分に足を引っ張られて成立しない可能性は十分にありうるだろう。

なお、途中でも述べたが、この改正案が成立したとしても、地方公文書館は公文書管理条例がなければ著作権法改正の恩恵にあずかれない。
特に「複製権」に関わる部分が適用を受けられないのはいろいろと支障があるだろう。

この改正案が成立すれば、公文書管理条例制定の追い風になる可能性は高いと見ている。なんとか国会を通ってほしいと思う。

参考
今回の改正案は、文化庁の委員会の結果をほぼ踏襲しています。
上記の説明でわかりにくかった場合、こちらの議事録や参考資料を参考にすると、その意図がわかりやすいかと思います。

文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(第5回)議事録
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/housei/h22_shiho_05/gijiyoshi.html

追記 3/17

なぜ公文書管理条例が必要だということになったのかという理由をきちんと書いていなかったので追記。
これは、上記の文化審議会の参考資料「資料2-1 「公文書等の管理に関する法律」に関する権利制限について」を見るとよくわかる。

これによれば、すでに情報公開法の主旨を徹底させるために、上記に挙げた公表権・氏名表示権・複製権については、すでに著作権法が改正されて権利が制限されている。
そして、各地で制定されていた情報公開条例にも、この著作権法が適用できるようになっている。

今回の公文書管理法に合わせた改正案は、この情報公開法の時の権利制限をほぼ踏襲したものになっている。
その理由は、著作権が制限されなかったならば、公文書が現用の時は著作物であっても情報公開請求によって閲覧・複写などができたのにも関わらず、非現用となって国立公文書館等に移管された場合には閲覧すらできなくなるためである。
そのため、特定歴史公文書等になったときも、現用時と同様に著作権を制限できるという規定が必要になったのである。

これを地方に当てはめると同様のことが言える。
文化審議会の資料2-1では次のように書かれている。

④ 地方公共団体の公文書管理法に相当する条例への対応
○ 現行著作権法では、行政機関情報公開法等に基づく文書開示に係る権利調整と併せて、地方公共団体の情報公開条例に基づく文書開示についても同様の規定を設けている(著作権法第18条第3項第3号及び第4項第3号、第19条第4項、第42条の2)。
○ これを踏まえ、仮に公文書管理法第16条による利用に関し、著作権等との調整を著作権法において行うこととする場合は、公文書管理法の利用請求権に相当する権利について規定する条例(以下「公文書管理条例」という。)についても同様の調整を行うかが問題となる。
○ この点、国立公文書館の行った調査によると、公文書管理条例は、数は少ないものの現状でも存在するとのことである。加えて、公文書管理法の成立により、今後、条例の整備が進むことも想定されることから、仮に著作権法において公文書管理法について著作権等の調整を行う場合は、同様の対応を行うことが適当ではないかと考えられるが、どうか。


法理上は情報公開条例で権利を制限しているので、非現用になった時の権利制限の際に公文書管理条例が必要なのは確か。
ただ、「公文書管理条例」を書き込んだのは、「たぶん条例化が進むはずだ」という「予想」(願望?)によって加えられている
おそらく、この改正をてこにして条例化の動きを加速させようという意図もあるのではないかと思われる。

以上が解説。資料2-1を見た方がわかりやすいかもしれませんので、そちらを是非。
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議事概要公表についてまとめ [2012年公文書管理問題]

議事録未作成問題続き。

1月に問題となった東日本大震災・原発事故に対応するため政府が設置した会議等の議事録が未作成だったことの続報。
3月9日に議事録・議事概要が未作成(一部)だった5つの会議、及び他の会議の議事概要も相次いで公開されました。
リンクがまとめられていないので探すのが面倒でした。下記にまとめておきます。

【議事録・議事概要未作成(一部)】
・原子力災害対策本部会議 議事概要・配布資料
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/genshiryoku/
・政府・東京電力統合対策室 (旧:福島原子力発電所事故対策統合本部)議事概要(特別プロジェクト含む)
http://www.nisa.meti.go.jp/gensai/index.html
・東北地方太平洋沖地震緊急災害対策本部 議事概要・配付資料
http://www.bousai.go.jp/1info/higashinihon_taisaku/index.html
・被災者生活支援チーム「運営会議」 議事概要
http://www.cao.go.jp/shien/3-info/5-uneikaigi.html
・電力需給に関する検討会合 議事概要・参考資料
http://www.meti.go.jp/earthquake/electricity_supply/0325_electricity_supply.html

【それ以外で公開されたもの(元から公開されていたものを含む)】
・東日本大震災復興対策本部 議事概要(議事録は元から公開)
http://www.reconstruction.go.jp/topics/cat5/
・原発事故経済被害対応チーム 議事概要(元から公開)
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/genshiryoku/
・原子力被災者生活支援チーム 議事概要・議事録(このページの下の方)
http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/kinkyu.html
・東日本大震災復興構想会議 議事録(議事概要は元から公開)
http://www.cas.go.jp/jp/fukkou/
・官邸緊急参集チーム協議 議事概要
http://www.cas.go.jp/jp/siryou/
http://www.cas.go.jp/jp/siryou/pdf/kinsan_gaiyou.pdf (直接リンク)
・被災者生活支援各府省連絡会議 議事概要
http://www.cao.go.jp/shien/4-extra/1-renrakukaigi.html
・経済情勢に関する検討会合 議事概要・参考資料
http://www5.cao.go.jp/keizai1/jousei/index.html
・電力改革及び東京電力に関する閣僚会合 議事概要(元から公開)
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/denryoku/index.html
・エネルギー・環境会議 議事概要(元から公開)→議事録も作成しているが公開していない。
http://www.npu.go.jp/policy/policy09/archive01.html
・除染及び特定廃棄物処理に関する関係閣僚会合 議事録・議事概要
http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/info/josen_kaigou.html

さて、各紙の報道を見ると、今回公表された議事概要からは重要な政策決定の経過は不明なままであるとして批判を受けている。
ただ、これまでいくつかの会議の議事概要を見ている私からすると、「まあ頑張った方ではないか」という感じがしている。
別にこの議事概要が良いと言っているわけではない。「相対評価」としてだ。

このことは、上記のリンクのうち、すでに議事概要が公表されていたものと今回公表されたものを比較してみるとわかりやすい。

例えば、

原子力災害対策本部第23回議事概要(2011年12月26日)→今回公表
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/genshiryoku/pdf/gensai_gaiyo_23.pdf



電力改革及び東京電力に関する閣僚会合第2回議事概要(2011年12月27日)→公表済
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/denryoku/dai2/gaiyou.pdf

を比較してみる。

この会議は、ほぼ同じ時期に、開催時間もおなじくらいだが、前者はまがりなりにも発言者の氏名入りで要旨が作られているが、後者は内容がスカスカである。
この後者の議事概要が、これまでの多くの会議の標準的な議事概要の姿である。

ちなみに、本家本元の公文書管理委員会の議事概要は

第14回(2012年2月29日開催)
http://www8.cao.go.jp/koubuniinkai/iinkaisai/2011/20120229/20120229youshi.pdf

こんなものである。
のちに議事録が公開されるからといって、この概要はいくらなんでもスカスカすぎるだろう。

つまり、これまで議事概要というのは、発言者の名前はほとんど載せず、決まったことを簡単に並べて終わりというのが標準であり、「政策決定過程がわかる」ようなものなど元々書かれていなかったのだ。
今回の議事録未作成を受けての概要作成では、議事概要であっても、少しは出席者が何を言ったかがわかるようなものを多くの会議で作ってきた(一部は従来通りの概要を作っているが)。
だから、相対的には「まし」であるのだ。

また、今回の場合、作成した概要をすぐに公表するということが前提であったので、おそらく機密に関わる発言や都合の悪い発言(本人から公開の了承を得ることができなかった発言)は削除されているだろう。
よって、政策決定過程を検証するためには、この概要を作るために集めたメモや資料を公文書としてきちんと残すことが求められる。

今回のことから考えなければならないのは、そもそも「議事概要」は何のためにあるのかということだろう。
どうやら今のところ「議事概要」は、官僚達からは「公表できる結果を簡単にまとめたもの」として捉えられている。
よって、発言者はできる限り特定できないようにするし、公表したくない情報は書かないというのがデフォルトになっている。
つまり、会議をやって、一応結果を公表しているというパフォーマンス程度にしか捉えられていない。
そのため、「議事概要」自体を見ても何が何だか外部からはわからないので、余計に議事録を作成して公表すべきという主張が強くなっていた側面もある。

ではどうすればよいのか。
少なくとも議事概要の作成方法の改善は考えられて良いだろう。
議事概要を「すぐに公表する」ことを徹底することとし、さらに政策決定過程がある程度わかるように書くようなフォーマットなりを作るべきだろう。
ただ、一方ですぐには公表できないような情報もあるだろうから、その点についてはもっと詳細な議事概要か議事録を作成した上で、一定期間は公表しないということにすればよいと思われる。
また、あるレベル以上の会議についてはやはり「録音」はなされるべきだろう。

なお、これは官僚達によくある誤解だが「議事録は即公開しなくてもよい」のだ。もちろん会議が一般公開されている場合は即公開になるが。
「機密情報があるから」「発言者が特定されると自由な議論ができないから」議事録を作成しないという発言をする官僚や大臣がいるが、機密情報や公開すると業務に支障が出る情報を「すぐに公開しない」ことは情報公開法上可能であり、「すぐに公開できない」=「議事録を作成しない」ということにはつながらない。

こういった意識面を変えることも含めて、議事概要や議事録の作り方について考えていかなければ、結局はまたおなじことが繰り返されることになるだろう。

なお産経新聞が「担当の岡田克也副総理は対応を事実上、各省庁に丸投げした」として厳しい批判を展開しているが、これには同意する点が多々ある。
分担管理原則に縛られて、概要作成は各省庁に任せざるをえなかったということだろうが、いくらなんでも今回公表された議事概要のリンク集ぐらいは内閣府公文書管理課が作っておいたって良いはずである。

このままだと、公文書管理委員会で今後の対応を決めても、果たしてそれがきちんと守られるのか極めて怪しい状況だ。
岡田副総理のリーダーシップに期待したいところである。
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公文書管理委員会第14回配付資料を読む [2012年公文書管理問題]

公文書管理委員会の第14回が2012年2月29日に行われました。
議題は「東日本大震災に対応するために設置された会議等の議事内容の記録(議事録・議事概要)」がきちんとつくられていなかったことについてのヒヤリング結果の報告。

委員会には毎回傍聴に行っていたのだが、ここ2回は傍聴を前日になって募集するという形であったために、気づくのが遅れて聞きに行けなかった。
さしあたり配付資料から見た感想を書き残しておきたい。

配付資料は以下の通り。下記のページからダウンロードできます。
http://www8.cao.go.jp/koubuniinkai/iinkaisai/2011/20120229haifu.html
資料1-1 「原子力災害対策本部会議」に関するヒアリング結果 [PDF:173KB]
資料1-2 「政府・東京電力統合対策室」に関するヒアリング結果 [PDF:141KB]
資料1-3 「緊急災害対策本部」に関するヒアリング結果 [PDF:152KB]
資料1-4 「被災者生活支援チーム」に関するヒアリング結果 [PDF:158KB]
資料1-5 「緊急参集チーム」に関するヒアリング結果 [PDF:166KB]
資料1-6 「電力需給に関する検討会合」に関するヒアリング結果 [PDF:167KB]
資料2 ヒアリングを行わなかった会議等に対する照会結果 [PDF:120KB]
資料3 検討ポイントについて(委員長提出資料) [PDF:51KB]


これを見ると、ヒヤリングを行ったのは議事概要・議事録を作っていなかった(部分的にしかなかった)5会議と、概要はあった「官邸緊急参集チーム」の1会議となる。
なぜ、「官邸緊急参集チーム」が付け足されているのかは資料だけでは不明である。
残りの9会議については、資料2で照会結果が記載されている。

気づいた点として4つ挙げておきたい。

1.「意思決定を行っている会議か否か」で話を分けようとしている。

資料2を見てすぐに気づくのだが、その会議が「意思決定を行っているか否か」が明記されている。
これはヒヤリング結果もそうなので、そこが「論点」であると認識されているということだろう(内閣府公文書管理課の意思か?)。
そして、この点が「言い訳」に使われている。

例えば、資料1-2の政府・東京電力統合対策室は「議事録が未作成の理由は、本会議は情報共有が主な目的であるため議事概要で十分との認識だった」と述べているし、1-4の被災者生活支援チームは「決定又は了解を行う会議体ではない」としてその業務を列記し、議事概要を作らなかったことを正当化している。
つまり、「意思決定を行っていないので議事概要すらも必要ない」と考えていたということだ。

そこで、もう一度公文書管理法第4条を考えてみる。

第四条  行政機関の職員は、第一条の目的の達成に資するため、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、次に掲げる事項その他の事項について、文書を作成しなければならない。
一  法令の制定又は改廃及びその経緯
二  前号に定めるもののほか、閣議、関係行政機関の長で構成される会議又は省議(これらに準ずるものを含む。)の決定又は了解及びその経緯

(以下略)

注目は第2号にある「決定又は了解及びその経緯」を残せというところである。
つまり、各会議の担当官が言い訳に使っているのは、「決定又は了解」をする会議ではないから、その経緯については残す義務はないということである。

だが、この言い訳はあきらかにおかしい。
彼らの論理は「その会議で意思決定をしていたか否か」に話が矮小化されている。
でも、この第4条には、意思決定の過程を「第一条の目的の達成に資するため」(国民への説明責任のため)に残さなければならないと書かれているわけであり、「個別の会議に限定」して意思決定を残せと言っているわけではない。
今回やり玉に挙がっている会議は、「政府の政策決定」に関わって開催されていた会議であり、情報の共有を行う会議であったとしても「何を共有したのか」は当然政府の意思決定過程に含まれる。
だから、個別の会議が「意思決定を行っていない」ということが、すぐに記録を残す義務が存在しないということにはならないのだ。

追記3/7
この点については、当日傍聴されていた情報公開クリアリングハウスの三木由希子さんが、もっと鋭い解説を書かれています。そちらを参照のこと。
「第14回公文書管理委員会 感想」
http://johokokai.exblog.jp/17600479/

2.私的メモの存在と議事概要

資料1-1によれば、原子力災害対策本部は「出席者による議事メモ、記録等は存在しているが、本部として確認された議事概要は未作成」なのだそうだ。
これは、前のブログで書いたように、行政文書に登録していない「私的メモ」としての概要は残っていたということを裏付ける。

また、1-3の緊急災害対策本部でも「会議の内容のメモは作成し、職員間で共有していた」とあり、本来ならば行政文書でなければならない文書(組織的に共有されている)が登録されず、私的メモにとどめられていたということが明らかになった。
特に、緊急災害対策本部は「このメモ、会議の配布資料、大臣発言要領、進行メモ等により議事概要を作成し、現在、関係者に最終確認を取っている」とも話しており、要するに職員で共有したものと「議事概要」は別であるという認識をしていることがわかる。

別に議事概要が作られても構わないが、そもそもとして「組織的に共有」された段階で、その文書は「行政文書」だということがわかっているのかが怪しい。

なお余談だが、資料1-1で原子力災害対策本部が「議事録作成」の義務を負っていたことが明らかになった。
「原子力災害対策マニュアル」によれば、「議事録作成」が職務の中に入っているという。
つまり、原子力災害対策本部については、公文書管理法施行以前から議事録を作る義務が存在していたのだ。

3.録音問題

会議を録音するか否かについて、マスメディアや前回の委員会でも話題に出ていたので、ヒヤリングの際に担当者にどう考えるかを聞いている。
その中で大きな問題として上がっているのは「設備の問題」である。
多数の人が参加しているのでICレコーダーでは不十分であり、録音機能付きマイクの事前設備が必要だとの指摘が非常に多い。

なお、岡田副総理が言っていたような「録音すると自由な発言が妨げられる」というような意見は少なく、むしろ「会議出席者の意向によるところが大きい」などという発言もあるように「政府全体の方針の検討が必要」という意見が多い。
つまり、「録音すると政治が決めたならそれに従うよ」という主張に読める。
もちろん実際に録音が行われることになったときにどう官僚が対応するかはわからないが・・・

この点については、公文書管理委員会が方針を決めればよいということなのだろう。
録音設備を早急に揃えることは、「やる気になれば」たいしたことではないはずだ。

ただ、1点気になるのは、資料1-5で緊急参集チームが「官邸危機管理センターにおいては、事案対処等に関する情報及びセンターの設備、業務内容等に関する情報の漏出を防ぐため、原則として録音が禁止されている」と話していること、資料1-6の電力需給に関する検討会合が「会議を行う場所によっては、業者の立ち入りができない場所、全大臣の前にレコーダーを設置することが困難な場所もある」と話していることである。

官邸の危機管理センターには録音設備が無いのだろうか。
また「業者の立ち入りができない場所」というのは「機密保持の問題」(業者がスパイの可能性がある?)ということだろうか。

ただ、緊急参集チームの言っている「機密保持」と「録音」の間には論理の飛躍がある。
機密保持の観点から参加者が勝手に録音をすることが禁じられているのは理解できるが、主催している事務局が録音しないことの理由にはならない。
事務局が録音したデータを機密として厳重に管理すれば良い話であり、そもそも録音しないということの理由にはならないのだ。

いずれにしろ、このあたりは公文書管理委員会できちんと議論がなされた上で、政府の側もきちんとした方針を立てる必要があると思われる。

4.議事録作成

議事録作成についての意見も各担当に聞いている。
この回答の中で気になるのは、資料1-6の電力需給に関する検討会合の「会議の全ての出席者の承諾を得て会議内容を録音した上で逐語の議事録を作成し、事後に出席した全てのメンバーにその内容を確認し、了解を得ることは、多忙を極める閣僚が多く出席する会合においては困難なのではないか。また、録音した議事内容を全て文書に起こす作業も含め、担当者がこれらの全てを行う場合、そのコストが高いと考える」という発言である。
これに類する発言は、他の会議からも複数見られる。

確かに、議事録の作成は手間がかかるのは間違いない。
特に、問題とされているのは「閣僚本人への議事録の確認」というところだろう。つまり、多忙な閣僚に自分の発言を確認してもらう時間があるのかという点である。

これについては、「議事録の作り方」自体を変える必要があるのではないか。
つまり、出席者に確認を取るのではなく、録音から担当者が整理したものを「議事録」とすればよいのではないかということだ。
そうなると、「自分はそんなことを言っていない!」とか言い出す人もいるだろうから、録音をセットにして残しておけばよいのだ。
つまり、現在の議事録作成の手順を元にしているから「議事録作成は面倒」ということになるのであり、むしろ手間をかけずに議事録を作成する方法を考えればよい。

例えば、内容確認は本人でなくてもその代理人(同席していた官僚や秘書官)でも構わないとするとか。
また、会議が継続的に行われているのであれば、次の会議の時に出席者に配布して、その場で了解を取るとかだって構わないのではないか。
議事録作成の省力化を検討しないと、結局は「面倒な業務が増えただけ」ということになりかねず、また未作成問題が起きる可能性が高まる。


以上が気になったところだが、では解決策としてどうすればよいのか。
私見を簡単に述べると、

①会議の重要度に応じて記録の取り方を明確にする。

会議の重要度や方式に応じて

・録音+議事録
・録音+議事概要(詳細)
・議事概要(簡略)

といったようなレベルを決めておけばよい。
また、議事概要もある程度議論の内容がわかるような細かい概要か、現在「議事概要」と言われて公開されているような箇条書き程度で良いのか、あたりも明確にしたほうがよい。

②録音設備を設置する。

重要な会議を行うための部屋に録音設備を揃える。
特に官邸については、どの会議室にも録音設備を完備する。
機密保持については厳密にする(録音する手続きをきちんと定める)。

③議事録作成方法を見直す

議事録作成の際にどこまで確認を求めるのかは明確にした方がよい。
それに合わせて録音も保存することも考えておく。

④公文書管理法の趣旨の徹底

私的メモの問題もそうだが、今回の問題は公文書管理法の趣旨があまりにも理解されていなかったことに原因がある。
ヒヤリング結果に「公文書管理法の周知状況」という項目があるが、基本的にはガイドラインをメールで送ったとかいったレベル(研修に行っているのは文書管理担当者ぐらい?)であり、それで「全ての職員に理解されているものと認識している」と書かれても説得力がない。

私は自分の本でも書いてるし、ブログでも良く書いているが、公務員の働き方そのものを変えないと公文書管理法には対応できないはずであり、メールで内容を知らせた程度で何とかなるものではないのだ。
これまでのように、「自分たちの仕事に必要な書類しか作らないし残さない」ではダメなのだ。説明責任を果たすために文書を作成し残さなければならないのだ。

少なくとも、全職員に対して研修を行うぐらいのことはやらなければならない。
それでもおそらく不十分だと思うぐらいなのだから。

他にも書きたいことが出てきそうですが、とりあえずいま思いついたことを残しておきます。
あとで何か付け足すかもしれません。
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