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大臣は「特定秘密」関連の政策をどうやって精査するのか(特定秘密保護法案) [特定秘密保護法案]

特定秘密保護法案でずっと気になっていることがある。
それは、この法律が施行されたときに、「特定秘密」に関わる政策を大臣はいったいどうやって精査するのかということ。

「特定秘密」を扱えるのは、法案11条によれば、「適性評価」を合格した者に原則限られる。
「適性評価」の該当者は、国家公務員、都道府県警察官と「物件の製造・役務の提供」をする民間業者の社員。

それ以外に「適性評価」を受けなくても「特定秘密」を扱える人として次の7つが挙げられている。

一 行政機関の長
二 国務大臣(前号に掲げる者を除く。)
三 内閣官房副長官
四 内閣総理大臣補佐官
五 副大臣
六 大臣政務官
七 前各号に掲げるもののほか、職務の特性その他の事情を勘案し、次条第1項又は第15条第1項の適性評価を受けることなく特定秘密の取扱いの業務を行うことができるものとして政令で定める者


つまり、政府の要職にある者がこれにあたる。

さて、ここで考えてみたいのだが、例えば、ある大臣に「特定秘密」に関連する政策が官僚から提案されたとする。
その時に、この大臣は誰と相談できるのか。

今の規定だと「副大臣・政務官+官僚」ぐらいにしか相談できない。
とすると、自分の盟友である仲間の議員や、ブレーンになっている学者などに意見を聴くことはできない。
彼らは適性評価を受けていないので、話せば「秘密漏えい」の罪になる。
そうなると、よほどその大臣本人があらゆる政策に精通してない限り、官僚のいいなりになるしかないのではないか?

「七」の政令委任事項があるので、関われる人の範囲は広がるかもしれないが、少なくとも「職務の特性」などを勘案ということは、何らかの関連する「職」に就いていない人が当てはまることはないだろう。

裏技を少し考えてみると、例えばブレーンになっている学者や議員を全員「○○省顧問」みたいな役職(公務員にあたる役職を作る)にでも就けて適性評価を受けてもらうか。
民間のシンクタンクに相談するのであれば、特定秘密が扱える民間業者に指定して、担当社員に適性評価を受けてもらうか。

でも前者となると、ブレーンを全員公表する必要があるし、公務員と相談していることになるので記録も残さないとまずかろう。
後者は、そのシンクタンクが「特定秘密の保護のために必要な施設設備を設置」していないといけないので、民間業者も負担が大きい(適性評価を受けていない社員に漏れないようにしなければならないなど)。

よってこの二つはできなくもないけど、ずいぶんとハードルが高いように思える(他にも裏技があるかも)。

また、原理的には「官僚は大臣の命令を遵守する(官吏服務紀律)から大臣の意向に逆らわない」とか、「副大臣・政務官に専門家を起用すればいい」とか言えなくもない。
だが、実態とはずいぶん乖離しているように思える。

政治家は自分一人だけで政策を考えているわけではないだろう。
特に大臣になるような政治家は、各所のブレーンとなるような人からアドバイスを受けながら政策を考えているものではないのか。また秘書なども大きな役割を果たしているだろう。

この法律が施行された後、「特定秘密」に関わる政策を実行する際に起こりうることを、いま大臣になっている政治家たちはどのように考えているんだろう。
まさか「官僚を信用しているから全然問題ない!」とか思ってないよね・・・
また、実際に施行された際にどういう運用がされるのかについて、政府側はどこまで詰めて考えているんだろうか。

国会でそのあたりは議論になっていたのだろうか?
もしご存じの方がいれば教えていただければと思う。

追記

改めて考えたのだが、要するに官僚の「政治任用」の幅が狭いことが問題になる。
米国は、長官による政治任用の幅が大きいので、自分のブレーンを要職に起用できる。
だが、日本では今のところ政治任用できるポストは副大臣政務官+αぐらいに限られている。

この場合に今回の法案のような仕組みができた場合、大臣は省内で孤立無援になる可能性がありうるのではということなのだ。
結局、日本の政治システムに適合した仕組みになっているかが怪しいということなのだ。

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