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「特定秘密」に公文書管理法は適用されるのか [特定秘密保護法案]

特定秘密保護法案が7日に衆議院で審議入りしました。
法案の解説を連載していましたが、先に書く必要があると思うので、この記事を挟みます。

公文書管理法との関係で誤った情報が飛んでいてずっと気になっている。
それは「特定秘密に指定されても公文書管理法が適用される」という話。

たとえば11月6日の毎日新聞の社説。

 特定秘密に指定される情報も、情報公開法や公文書管理法の対象になる見通しだ。ところが、国の安全が害される恐れがあるなどと行政側が判断すれば公開を拒否できるので、特定秘密は事実上開示されないことになる。公文書管理法も、各省庁で保存期間が満了した行政文書は国立公文書館などに移管するか、または首相の同意を得て廃棄することを認めており、廃棄される懸念は消えない。(引用終)

情報公開法の対象になるのは確かだが、公文書管理法の対象にはならない。
自民党が作成した「特定秘密の保護に関する法律案Q&A」を見ると、こう書かれている。

Q20.特定秘密と公文書管理法との関係はどうなっていますか?

 公文書管理法との関係については、他の行政文書と同様に、歴史公文書等は特定秘密の指定が解除された後に国立公文書館等に移管されることとなります。


きちんと細かいところまで読まないと騙される。
あくまでも「歴史公文書等は特定秘密の指定が解除された後に」と書いてあるように「解除された後」の話しかしていない。
「特定秘密」である間は公文書管理法に適用するとは一言も書いてないのだ。

官僚側のこれまでの公明党のプロジェクトチームなどへの説明を見ていても、「特定秘密」の指定の間に公文書管理法が適用されるとを言った官僚は存在しない。
よくわかっていない記者や政治家が「公文書管理法が適用される」と誤認識しているだけだ(そもそも森雅子担当大臣の答弁を見ていても、この法案についてどこまできちんとわかっているのか極めて怪しい)。

おそらく今の「防衛秘密」と同様に、「特定秘密」の間には監査が入る仕組みは保証されない。
そもそも公文書管理法が「特定秘密」に適用されたら、いま彼らが目指している「特定秘密」指定のあり方に反することがたくさん出てくるからだ。
これについてはすでに以前に示唆した記事を書いた

新聞記者の方でも、「官僚が公文書管理法が適用されると言っていた」と話される方がいるが、これは完全に騙されているので注意しなければならない。
「どこに適用すると言っていたか」が重要なのだ。

ここは国会審議で注意して見なければならない点の一つである。

注記(訂正 2014/1/5)

この記事を参考にしたのかはわからないが、11月15日の衆議院国家安全保障に関する特別委員会で、民主党の近藤昭一議員が、上記の疑問をストレートに政府に質問していた。
その結果、「公文書管理法は特定秘密に適用される」との答弁を、鈴木良之内閣官房審議官から得ており、森雅子大臣も同様の答弁をしていることがわかった。

改めてその前後の政府答弁を見ていると、この前までは、明らかに上記のブログで書いたとおり、廃棄するか永久保存するかの部分には適用するとしか話していない。
よって、この前後で政府見解を変えているようだ。

ただ、そうなると、公文書管理法との整合性の問題はずっと残ることになるのだが・・・(以前に、その点は軽く書いた

項を改めて再度考え直してみたい。
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