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議事概要公表についてまとめ [2012年公文書管理問題]

議事録未作成問題続き。

1月に問題となった東日本大震災・原発事故に対応するため政府が設置した会議等の議事録が未作成だったことの続報。
3月9日に議事録・議事概要が未作成(一部)だった5つの会議、及び他の会議の議事概要も相次いで公開されました。
リンクがまとめられていないので探すのが面倒でした。下記にまとめておきます。

【議事録・議事概要未作成(一部)】
・原子力災害対策本部会議 議事概要・配布資料
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/genshiryoku/
・政府・東京電力統合対策室 (旧:福島原子力発電所事故対策統合本部)議事概要(特別プロジェクト含む)
http://www.nisa.meti.go.jp/gensai/index.html
・東北地方太平洋沖地震緊急災害対策本部 議事概要・配付資料
http://www.bousai.go.jp/1info/higashinihon_taisaku/index.html
・被災者生活支援チーム「運営会議」 議事概要
http://www.cao.go.jp/shien/3-info/5-uneikaigi.html
・電力需給に関する検討会合 議事概要・参考資料
http://www.meti.go.jp/earthquake/electricity_supply/0325_electricity_supply.html

【それ以外で公開されたもの(元から公開されていたものを含む)】
・東日本大震災復興対策本部 議事概要(議事録は元から公開)
http://www.reconstruction.go.jp/topics/cat5/
・原発事故経済被害対応チーム 議事概要(元から公開)
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/genshiryoku/
・原子力被災者生活支援チーム 議事概要・議事録(このページの下の方)
http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/kinkyu.html
・東日本大震災復興構想会議 議事録(議事概要は元から公開)
http://www.cas.go.jp/jp/fukkou/
・官邸緊急参集チーム協議 議事概要
http://www.cas.go.jp/jp/siryou/
http://www.cas.go.jp/jp/siryou/pdf/kinsan_gaiyou.pdf (直接リンク)
・被災者生活支援各府省連絡会議 議事概要
http://www.cao.go.jp/shien/4-extra/1-renrakukaigi.html
・経済情勢に関する検討会合 議事概要・参考資料
http://www5.cao.go.jp/keizai1/jousei/index.html
・電力改革及び東京電力に関する閣僚会合 議事概要(元から公開)
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/denryoku/index.html
・エネルギー・環境会議 議事概要(元から公開)→議事録も作成しているが公開していない。
http://www.npu.go.jp/policy/policy09/archive01.html
・除染及び特定廃棄物処理に関する関係閣僚会合 議事録・議事概要
http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/info/josen_kaigou.html

さて、各紙の報道を見ると、今回公表された議事概要からは重要な政策決定の経過は不明なままであるとして批判を受けている。
ただ、これまでいくつかの会議の議事概要を見ている私からすると、「まあ頑張った方ではないか」という感じがしている。
別にこの議事概要が良いと言っているわけではない。「相対評価」としてだ。

このことは、上記のリンクのうち、すでに議事概要が公表されていたものと今回公表されたものを比較してみるとわかりやすい。

例えば、

原子力災害対策本部第23回議事概要(2011年12月26日)→今回公表
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/genshiryoku/pdf/gensai_gaiyo_23.pdf



電力改革及び東京電力に関する閣僚会合第2回議事概要(2011年12月27日)→公表済
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/denryoku/dai2/gaiyou.pdf

を比較してみる。

この会議は、ほぼ同じ時期に、開催時間もおなじくらいだが、前者はまがりなりにも発言者の氏名入りで要旨が作られているが、後者は内容がスカスカである。
この後者の議事概要が、これまでの多くの会議の標準的な議事概要の姿である。

ちなみに、本家本元の公文書管理委員会の議事概要は

第14回(2012年2月29日開催)
http://www8.cao.go.jp/koubuniinkai/iinkaisai/2011/20120229/20120229youshi.pdf

こんなものである。
のちに議事録が公開されるからといって、この概要はいくらなんでもスカスカすぎるだろう。

つまり、これまで議事概要というのは、発言者の名前はほとんど載せず、決まったことを簡単に並べて終わりというのが標準であり、「政策決定過程がわかる」ようなものなど元々書かれていなかったのだ。
今回の議事録未作成を受けての概要作成では、議事概要であっても、少しは出席者が何を言ったかがわかるようなものを多くの会議で作ってきた(一部は従来通りの概要を作っているが)。
だから、相対的には「まし」であるのだ。

また、今回の場合、作成した概要をすぐに公表するということが前提であったので、おそらく機密に関わる発言や都合の悪い発言(本人から公開の了承を得ることができなかった発言)は削除されているだろう。
よって、政策決定過程を検証するためには、この概要を作るために集めたメモや資料を公文書としてきちんと残すことが求められる。

今回のことから考えなければならないのは、そもそも「議事概要」は何のためにあるのかということだろう。
どうやら今のところ「議事概要」は、官僚達からは「公表できる結果を簡単にまとめたもの」として捉えられている。
よって、発言者はできる限り特定できないようにするし、公表したくない情報は書かないというのがデフォルトになっている。
つまり、会議をやって、一応結果を公表しているというパフォーマンス程度にしか捉えられていない。
そのため、「議事概要」自体を見ても何が何だか外部からはわからないので、余計に議事録を作成して公表すべきという主張が強くなっていた側面もある。

ではどうすればよいのか。
少なくとも議事概要の作成方法の改善は考えられて良いだろう。
議事概要を「すぐに公表する」ことを徹底することとし、さらに政策決定過程がある程度わかるように書くようなフォーマットなりを作るべきだろう。
ただ、一方ですぐには公表できないような情報もあるだろうから、その点についてはもっと詳細な議事概要か議事録を作成した上で、一定期間は公表しないということにすればよいと思われる。
また、あるレベル以上の会議についてはやはり「録音」はなされるべきだろう。

なお、これは官僚達によくある誤解だが「議事録は即公開しなくてもよい」のだ。もちろん会議が一般公開されている場合は即公開になるが。
「機密情報があるから」「発言者が特定されると自由な議論ができないから」議事録を作成しないという発言をする官僚や大臣がいるが、機密情報や公開すると業務に支障が出る情報を「すぐに公開しない」ことは情報公開法上可能であり、「すぐに公開できない」=「議事録を作成しない」ということにはつながらない。

こういった意識面を変えることも含めて、議事概要や議事録の作り方について考えていかなければ、結局はまたおなじことが繰り返されることになるだろう。

なお産経新聞が「担当の岡田克也副総理は対応を事実上、各省庁に丸投げした」として厳しい批判を展開しているが、これには同意する点が多々ある。
分担管理原則に縛られて、概要作成は各省庁に任せざるをえなかったということだろうが、いくらなんでも今回公表された議事概要のリンク集ぐらいは内閣府公文書管理課が作っておいたって良いはずである。

このままだと、公文書管理委員会で今後の対応を決めても、果たしてそれがきちんと守られるのか極めて怪しい状況だ。
岡田副総理のリーダーシップに期待したいところである。
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