SSブログ

第2回公文書管理フォーラムの感想 [2009年公文書管理法問題]

本日、衆議院議員会館で公文書市民ネットの第2回フォーラムが行われた。
基本的には、各党の議員からの法案に対する取り組みという話がメインであった。
自民党からの出席者がいなかったことが残念であったが、公明党の山口那津男議員、民主党の西村智奈美議員、社民党の重野安正議員、共産党の吉井英勝議員などがスピーカとして話してくださった。
(参加者には、川田龍平議員、福田昭夫議員、福島瑞穂議員、逢坂誠二議員が来られていた。福田前首相の秘書の方も前回と同様に来られていた。)

基本的に各党共にこの法案は重要であり、修正に積極的に関わっていくという感触であった。
是非とも、よりよい法案を作ってほしいと思う。

ただ、最後に「こんな法案ならできない方がマシだ」という意見がさまざまな人から出て、そのまま散会したことについては、そんなことは思っていない関係者の立場として一言述べておきたい。

今回の法案が原案通り可決された場合、もちろんそれは非常に問題が大きいことは私も理解している。
特に、「合法的に各行政機関が文書を廃棄できる」ことになってしまうので、その点については「できない方がマシ」とは言える。

だが、「こんな法案ならできない方がマシだ」という意見が、「きちんとした」「完璧な」法案を作るために、今回は修正もせずに廃案に追い込み、根本からやり直せという主張だったのであれば、この点には全く首肯できない。
それは、現在の最悪な状況を維持することに手を貸すということになるのだ。
そうなって一番喜ぶのは誰か。官僚達であるに外ならない。
民主党に政権が代わればというが、それも確実ではないし、さらに実際に政権を取ったときに果たしてまともな法案を作るかなんて、誰も保証していない。

私は以前に、この法案は最低2項目が変われば、「絶対にできた方が良い」法律であると述べた。

1点目は、行政文書の範囲の拡大。
2点目は、公文書の移管廃棄権限を行政機関から公文書管理担当機関に移す。


この点については、今でも考え方は変わらない。
その後に得た知見から追加すると、その実行を可能にするために公文書管理庁を作ること&国立公文書館を特別な法人にすること。

この3点が最低限変われば、運用で変えられる部分も増えていくはずなのだ。だから、「このような法案ならできない方がマシ」というのは、私は絶対に言いたくないし、それを言うつもりもない。(もちろん「最低限」にすぎない。もっと改善された方が良いことは言うまでもない。)

それは、今回のフォーラムで話をしてくれた富田健司氏(栃木県芳賀町総合情報館)が話してくれたこととも重なってくる。
公文書館がある地方自治体は全体の3%でしかない。しかも、どこも予算も人も削られて四苦八苦している。
この法案はこういったアーカイブズの状況を変える追い風になるはずなのだ。
法案が先送りされれば、どんどんアーカイブズは弱っていく。早急に作らなければならない法律なのだ。

だから、私は「修正して成立させてほしい」と言い続ける。
不十分なものであっても、無いよりはあった方が絶対に良いのである。

是非とも、よりよい修正案を作ってほしいと切に願っている。

追記
上記のことに関連して、司会者をしていたまさのあつこさんがブログで似たような見解を書かれています。
そちらも御参考にしてください。→こちら

さらに追記
同じく市民ネットのメンバーである三木由希子さんもこの点につきコメントをしています。三木さんも現在の状況を放置する方が問題との認識を示しておられます。
そちらも参照してください。→こちら
nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

nice! 0

コメント 2

DJI

DJIでは文書基本法、の路線で文書管理を法制化することを長らく提唱してきておりますが、昨年来の公文書管理法に向けた動きは、これをある部分実現するものとして、歓迎しています。
というわけで、瀬畑先生の「修正して成立へ」のご意見に全面賛成です
by DJI (2009-05-19 12:12) 

h-sebata

> DJI さん

コメントありがとうございます。国際資料研究所(DJI)が長年この問題に取り組まれていることは、私も良く存じております。
是非ともこの法案成立して欲しいと思います。
by h-sebata (2009-05-19 23:11) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。