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オバマ大統領と情報公開 [情報公開・文書管理]

アメリカのオバマ大統領が就任した直後にこんな記事を見た。

<オバマ大統領>透明性をアピール、「ワシントン改革」着手
1月22日10時47分配信 毎日新聞

 【ワシントン大治朋子】オバマ米大統領は21日、透明性の高い情報公開を実践し、利益団体を代表するロビイストが関連分野で公職に就くことを禁じる計5本の大統領令と通達に署名し、「開かれた政権」の発足を宣言した。いずれも選挙中にオバマ大統領が訴えていた「ワシントン改革」の一環。執務初日から公約「実現」をアピールすることで、オバマカラーを打ち出した。

 オバマ大統領は21日の訓示で、ワシントンでは「過剰な秘密主義が続いてきた」と指摘。「この政権は、(情報公開請求者に対し)情報を隠そうとする職員ではなく、公開しようとする職員を支持する」と述べた。

 具体的には、情報公開に関する通達で、政府の情報公開全般を統括する司法長官に対し、公開性を高める新ガイドラインを120日以内に発行するよう指示した。(①)またこれとは別に、公文書は原則公開で、必要な場合に限り非公開とする方針を定めた「政府公開(オープン・ガバメント)命令」の120日以内の策定を命じる通達にも署名した。(②)

 歴代大統領の所有した記録の公開範囲を拡大する大統領令も発令した。公開範囲を極端に狭めたブッシュ前大統領の方針を見直した。(③)

 年収10万ドル(約890万円)以上のホワイトハウス高官の昇給を凍結する通達では、世界恐慌以来の経済不振にあえぐ国民と「痛み」を共有する政府をアピールした。

 このほか政府職員の倫理改革に関する大統領令で、政治家とのパイプで採用されることが少なくない政府職員について「本人の能力や経験で決める」と定め、信頼される政府を目指した。

 米国の情報公開制度を調査してきた米市民団体「オープン・ガバメント・ドットオーグ」(本部ワシントン)のマクダーモット代表は取材に対し「オバマ大統領は情報を国民に『与える』ことを危険視せず、『共有する』ことで国民の意見も集めながらより効果的な政府を作ろうとしている」と期待を寄せた。
(引用終)

この通達ってなんだろうと思って、ホワイトハウスのウェブサイトを見てみると、おそらく次の3つなのだろうと思う。(記事の中の①②③という記号に対応。)

MEMORANDUM FOR THE HEADS OF EXECUTIVE DEPARTMENTS AND AGENCIES SUBJECT: Transparency and Open Government

MEMORANDUM FOR THE HEADS OF EXECUTIVE DEPARTMENTS AND AGENCIES SUBJECT: Freedom of Information Act

Executive Order -- Presidential Records

①②が通達、③が大統領命令。①は「透明性と開かれた政府」、②は「情報自由法」、③は「大統領記録」という表題が付いている。とりあえず、Exciteの翻訳などを使いながらざっと内容を見てみた。

まず①についてだが、
Government should be transparent.(政府は透明であるべきだ)
Government should be participatory.(政府は参加されるべきだ)
Government should be collaborative.(政府は共に協力すべきだ)
という三題噺みたいな話になっている。(訳が良くないかも。)
いずれも、国民に情報を開示し、それを元に国民が政策に関与し、共に政策を作り上げていくということを示している。

次に②は冒頭に
A democracy requires accountability, and accountability requires transparency.
(民主主義はアカウンタビリティを必要とし、アカウンタビリティは透明性を必要とする。)
という文章から始まるもので、国民に情報を開示することをためらってはならないと述べている。
特に中段にある次の文章はなかなかすごい。

They should not wait for specific requests from the public. All agencies should use modern technology to inform citizens about what is known and done by their Government. Disclosure should be timely.
(各機関は市民からの特別な要求を待つべきではない。全ての機関は、政府によってわかっていることやなされたことについて市民に知らせるために近代的な技術を使うべきである。公開は時宜を得た(タイムリーな)ものであるべきだ。)

なお、この②については、私が以前お世話になった情報公開クリアリングハウスの三木由希子さんが自身のブログで仮訳を作られているので参考になります(「仮訳なので引用不可」と書かれていたのですが、参考程度なら良いですよね・・・。ちなみに上記の訳は私が自分でしたものです)。

③については、前がどうであったのかが不明確なので、具体的にどう変わったのかはよくわからない。
ただ、以前ローレンス・レペタさんの本の紹介をしたときに、ブッシュ前大統領が大統領関連の文書の公開に消極的であるという話を書いたので、これを改善したということなのだと思う。

こういったものを見ると、オバマ大統領が情報公開というものにたいして極めて好意的であるということがよくわかる。彼は選挙期間中に、ワシントンだけで行われている政治を打破し、人々の手に政治を取り返そうということを強く主張していた。それを実行したということなんだろう。
就任した翌日に、何にもまして最初に出されているというところに、強い意志を感じる。
また、大統領が代わるとこれだけ状況が変わるのかということには驚く。アメリカという国の面白さでもあり、怖さでもあるということなんだろう。

日本ではどうだろう。未だに、情報隠しが多発することこの上ない。
何でもアメリカがよいとは思わないけど、この情報公開などについてはやはりさすがだと思わざるを得ない。
日本もこのようなアカウンタビリティが当たり前になる国へとなれるだろうか・・・。
政権交代して果たして変わるんだろうか・・・。
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