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大正天皇実録の公開(3回目) [天皇関係雑感]

昨日、『大正天皇実録』の第3回目の公開が、宮内庁書陵部から行われた。
参考までに共同通信の発表を貼っておきます。

晩年期の大正天皇実録公開 古代の例挙げ摂政の正当性

 宮内庁は4日、大正天皇の動静や当時の出来事を年ごとに記録した「大正天皇実録」全85冊のうち、晩年に当たる1921(大正10)年7月から葬儀が行われた27(昭和2)年2月までの5年半分、計9冊を公開した。

 病状が悪化していた大正天皇は、葉山や日光など御用邸で静養することが多く、代わりに皇太子(のちの昭和天皇)に関する記述が急増。

 欧州外遊から帰国後の21年11月に皇太子が摂政に就任した正当性を「摂政設置のことは、其(そ)の沿革極めて古く…」「摂政を置くは国家皇室の大事なるが故に…」と、推古天皇など古代の例を引きながら約8ページにわたって詳述している。

 皇太子は祝典で勅語を代読したり、外国の全権大使と会見したりするなど実質的に天皇として活動。関東大震災では1000万円を被災者に贈り「心深く之(これ)を傷む」「官民其(そ)れ協力して(略)処置を為(な)し以(もっ)て遺憾なきを期せよ」と発言している。
2008/06/04 13:40 【共同通信】

以前の記事で書いていたように、すでに日経が3月公開だと報じていたはずなので、ずいぶん遅れたと思う。
というか、そもそも前回の公開からすでに5年経過している。
病気の部分というナイーブな所があったとしても、いくらなんでも時間がかかりすぎだろうと感じる。

どうやら病歴の部分も多少は公開されているみたいだ。ただし、他の関係者の日記に書かれている以上のことはおそらく「個人情報」で出ていないのではと思う。
まだ、専門家の意見が出ていないので何とも言えないのだが(おそらく今頃原武史氏や古川隆久氏あたりが新聞社に捕まっているのではと思われるが)、摂政時代の昭和天皇の動向などがきちんと描かれていれば政治史としては価値のある史料になると思う。
そうでなければ、大正天皇の療養記録と言った方が正しいものになっているかもしれない。(もちろんそれはそれで意味があると思う。)

『大正天皇実録』はこれで終わりではない。あと皇太子時代のものが残っている。
それに、やはり宮内庁は、『明治天皇紀』と同様に、大正天皇実録も墨塗りを一切無くした形で公刊するべきである。
天皇の公的な伝記を非公開にする理由はないはずだ。少なくとも大正天皇の死去からもう80年以上経過している。
歴史的な史料という形で公刊を考えるべきだ。情報公開法は「公にする慣行のある情報」については、個人情報だとしても公開は可能なはず。法的には十分処理可能なはずだ。

天皇の伝記は国費を投入されて作られたものである。これの公開を宮内庁が躊躇する正当な理由は私にはないと考える。是非ともその点を考えてほしいと思う。
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