SSブログ

週刊新潮「「天皇のお言葉」の秘密を暴露してしまった「元外務官僚」」について [天皇関係雑感]

今週発売の『週刊新潮』(2008年1月3日・10日号)で、気になる記事を見つけた。

「天皇のお言葉」の秘密を暴露してしまった「元外務官僚」
元外交官の原田武夫氏(36)が、自身のブログで次のような問題発言をしている。
天皇皇后のオランダ訪問(2000年)の時の晩餐会のスピーチの文案を書いたのが自分であること、オランダ訪問がオランダ人従軍慰安婦問題について心を痛めていた天皇皇后の意志であったこと、そのスピーチではそれに対する和解の言葉が入っており、天皇は直前まで外務省作成の「お言葉」案に手を入れていたという。

新潮による批判の内容は、その天皇の「お言葉」の作成過程を漏らしたこと、そもそも原田は当時20代の若手官僚であり自分が書いたなどというのは言い過ぎであること、オランダでの晩餐会スピーチには上記のような内容はないこと、天皇が手を入れているということは外交に天皇が直接関与していることになるのでありえないこと、オランダに「従軍慰安婦」問題で謝罪の意志を持っていたと明言することで韓国政府に利用される可能性があること・・・といったところだ。

さて、ではまず早速そのブログのおおもとを見てみたいと思う。

原田武夫国際戦略情報研究所公式ブログの2007年11月14日
LONG VACATION、そして天皇陛下が語られる「外来種」

・・・・
「週刊新潮」さん。あなたが保守側から論を立てていることはよく知っていますが、怒るところはそこだけでよいのですか?

なんというか、すごい文章だ。
初めはドラマのロンバケの話から始まるのだが、まあそこはどうでもよい。
次に来る話は、11月に天皇が「全国豊かな海づくり大会」(滋賀県)で、自分がアメリカから持ち帰ったブルーギルが大繁殖して生態系を脅かしていることに心を痛めているというスピーチをしたことを紹介する。
ここで原田氏は、天皇が言っている「外来種」とは別の意味があると主張する。

次に天皇の政治的な役割について触れた後に、新潮が取り上げたオランダの話が入る。
そこから、話は飛んでいくのだ。日本はアングロサクソンに毒されていて、現在「国難」にあると。

そして結論。文章を引用する。
「しかし、いかに62年前のあの時、それまでのシステムが強制終了となったとはいえ、その後にとりいれられたものは「外来種」にすぎないのだ。そして、それがどれほど我がもの顔をして跋扈していたとしても、在来種の存立すら危うくするのであれば、徹底して駆除されるべきなのである。そのことは、自然界に最終的には包含される人間界においても全く同じなのだ。
(中略)
天皇陛下が口にされた「外来種」というお言葉は、そう考える全ての日本人に対する激励の言葉なのだ。」

えーと。どこからツッこんでいいんだろう。
天皇の発言を、自分の主張したいことに勝手に結びつけて牽強付会の結論を導き出している。
原田氏は「元」外交官だが、もし現役の外交官がこういった考え方をしていたとしたら大問題になる。
これこそ、典型的な「天皇の威光を借りた」言説というものであろう。

週刊新潮は「従軍慰安婦」の話を取り上げたくて書いたんだろうけど、その部分ははっきり言って新潮の「マッチポンプ」に過ぎない。
新潮が書いているとおり、当時20代後半の外務官僚ができたことはたかがしれており、そのブログの内容が外交的に利用されるなんてありえるわけない。新潮自身が自分でそれを証明している。
それに、前後の文脈を見れば、この文章そのものがまともに検討に値するか否かなんて、すぐにわかることだ。いくら韓国政府だって、こんな文章で譲歩を迫ってくるなんて恥さらしなことはしないだろう。

結局、この話は、自分で研究所を主催している元外交官が、外交官時代の自慢話を兼ねて、天皇の発言を利用して自分の意見を権威づけて見せようとしただけにすぎないと思う。
そもそも、天皇皇后のオランダ訪問は日蘭交流400周年記念で行ったものだし、スピーチに手を入れている可能性はあると思うが、外交的に問題になるような言説を天皇が勝手に入れるようなことはしないと思う(現天皇のそのあたりの憲法理解度は高いと私は考察している)。

なんだか、タイトルにだまされた気分。まあ買わずにコンビニで立ち読みした人が言う台詞ではないが。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。