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「情報公開法を使いこなす」公開中 [情報公開・文書管理]

今、私のHPで、以前書いた「情報公開法を使いこなす~宮内庁における体験から」をPDFにて公開しています。
http://www008.upp.so-net.ne.jp/h-sebata/

これは、情報公開法に基づいた請求を行う場合、どのような手続きを取ればよいのかをマニュアル化した文章です。
もともと掲載されていた雑誌が『季刊戦争責任研究』というマニアックで、かつ見る人によっては「うっ」と引いてしまう雑誌名であったこともあり、そこまで読まれていないかもしれません。
私自身の文章は、読んでいただけるとわかりますが、別に何らかの特定の思想に基づいた文章を書いているわけではなく、淡々とマニュアルを書いております。

なお、情報公開法が国立公文書館や外務省外交史料館での文書公開にも影響を与えていることはあまり知られていません。
情報公開法第2条第2項に次のような文面があります。

2  この法律において「行政文書」とは、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいう。ただし、次に掲げるものを除く。
 一  略
 二  政令で定める公文書館その他の機関において、政令で定めるところにより、歴史的若しくは文化的な資料又は学術研究用の資料として特別の管理がされているもの

これは、情報公開法の対象となる行政文書からは外れる「歴史的文書」を定義した文章であります。
この「政令で定める公文書館その他の機関」というのは、具体的にいうと国立公文書館や外交史料館、宮内庁書陵部などがそこにあたります。
そして、この歴史的史料の管理方法が、情報公開法の施行令の第3条に記載されています。

第三条  法第二条第二項第二号 の歴史的若しくは文化的な資料又は学術研究用の資料は、次に掲げる方法により管理されているものとする。
一 二 略
三  次に掲げるものを除き、一般の利用の制限が行われていないこと。
イ 当該資料に法第五条第一号 から第三号 までに掲げる情報が記録されていると認められる場合において、当該資料(当該情報が記録されている部分に限る。)の一般の利用を制限すること。
ロ以降略

一体文面だけ見ると何が書いてあるかわかりにくいと思うが、情報公開法第5条には「不開示にして良い情報」が書かれています。
1号から3号には、「個人情報(非公務員情報)」「法人等の事業情報」「国家安全情報」が書かれている。
つまり、上記の施行令の文面を用いれば、これらの情報が載っている歴史的文書を不開示にできるのです。
具体的には、公務員じゃない人物が公的な職務に関わることはよくあることですが(首相の私的な特使や戦前の元老など。別にこのような大物でなくても、そのような事例はごまんとある)、これらの情報は「個人情報」として不開示にできます。
また、外交関係の情報は「国家安全情報」だといえば、不開示にできるのです。

もちろん、これは運用する側に多少の裁量はあるはずなので、開示されることもあるでしょうが、厳密に突き詰めると、相当の文書を不開示にできます。
現に、私の友人によれば、国立公文書館の一部文書が、「個人情報」といわれて黒塗りにされていたようです。

この情報公開法によって、各官庁保有の文書のリストが出てくるなど、良くなったことも多くありました。
しかし、同時にそれによって不開示になる文書も出てきています。

上記で紹介した私が公開している文章の中で、ドイツの事例を紹介しました。
ドイツでは、生まれてから110年、死去してから30年たった場合は、その人の個人情報は公開して良いということが法に明記されているということです。
アメリカではどうなっているかよくわからないが、黒塗りされている文書はあまりないという印象なので、なんらかの公開原則があるように思えます。

日本の戦後外交史をやる際に、一番行かなければならないのが米国国立公文書館という事態は、あまり好ましいとは思えません。
行政機関は歴史的評価を受けることを恐れるべきではなく、むしろ自分たちの仕事を良かれ悪しかれきちんと評価されるということに喜びを感じてほしいなあと、私などは勝手に思ってしまうのだ。
歴史学徒の勝手な言い分かもしれませんが・・・


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