SSブログ

閣議議事録公開と閣僚会議の議事録問題 [2014年公文書管理問題]

安倍首相によって予告されていた閣議とその後に行われる閣僚懇談会の議事録が公開された。

閣議及び閣僚懇談会議事録 2014年4月1日
http://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/2014/__icsFiles/afieldfile/2014/04/22/260401gijiroku.pdf

内容的には突っ込んだ話は特にない。
しばらくは様子を見たいが、おそらくこういった議事録が続くのではと思う。

なお、この閣議と閣僚懇談会議事録については以前にブログで書いているので、それを参照のこと。

閣議・閣僚懇談会議事録公開問題を考える
http://h-sebata.blog.so-net.ne.jp/2014-03-05

3月12日の衆議院内閣委員会で、民主党の後藤祐一議員が、公開されることが前提となれば閣僚の発言が萎縮するのではと質問をしている。
これに対し加藤勝信官房副長官は、情報公開法の不開示事由に該当するものは公開されないのだから、萎縮することは無いと答弁している。

それは立場上はそう答えざるをえないだろう。

ちなみに4月2日に、すでに引退している石原信雄元官房副長官が、参議院の「国の統治機構に関する調査会」で次のような答弁をしている。

 ただ、私の経験から申しますと、公表されるという前提になりますと、閣僚の発言がかなり限定されるんじゃないかと。というのは、従来の閣議では公表されないということがあったものですから、比較的フリーというんですか、国政万般についていろんな発言がありました。しかし、その中には官房長官が発表するものもあるし、しないものもあると。そういう意味で、官房長官が政府全体の立場で取捨選択して発表しておったわけですけれども、今後公表されるということになると、全ての閣僚が自分の発言が公表されるという前提で発言するようになるという、そういう意味での閣議の雰囲気というか模様は変わってくるのではないかなというふうに思います。

こちらの方が真実を突いているのではないか。

たとえ、情報公開法の不開示規定を使っても、それによって墨塗りや削除をしてしまえば、結局は「それは何だ」と追及されることになるだろう。
そういうことならば、最初から墨塗りになるようなことは言わないという不文律ができるだけだろう。

そうなると、議事録が残らない場所で意見交換がなされることになるだけではないか。
最初から公開という前提にすると、内容の形骸化は進むだろうなと思われる。

当然、何も出なかった時よりは前進しているのは確かだが。


さて、それ以上に実は気になった記事はこちら。

<閣僚会議>例外なく議事録作成の方針 行政改革担当相
毎日新聞 4月22日(火)11時13分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140422-00000026-mai-pol

 稲田朋美行政改革担当相は22日午前の記者会見で、政府の全ての閣僚会議について、発言者や発言内容を明記した議事録を作成する方針を明らかにした。現在は議事録を作成していない国家安全保障会議(NSC)も例外扱いにしない意向。行政文書の管理に関するガイドラインを年度内にも改定し実施する。

 内閣府によると現在ある172の閣僚会議のうち、114の会議で既に議事録を作成。発言者や内容など一部未記載の会議が30、全く未作成が28ある。NSCを含めた安全保障関連の会議で未作成が多いという。

 作成した議事録の公開について稲田氏は「各省庁が適正に判断されると思う」と述べ、各府省庁の判断に委ねる考えを示した。

 閣僚会議の議事録公開については、安倍晋三首相が3月、閣議と閣僚懇談会の議事録を作成する方針に合わせ、稲田氏に検討を指示していた。【小田中大】
(引用終)

これは、前の記事で紹介した民主党の岡田克也副総理(当時)が検討していた方向性へ舵を取るということだ。
しかも、すべてを「議事録」としたのは、岡田副総理の時は一部は「議事概要」でとしていた所からは前進しているということになる。
これについては素直に評価したい。

ただ、これは閣僚懇談会と同じ事なのだが、議事録が残ると思ったとたんに口が重くなるのでは困る。
このあたりは、閣僚や出席者の「意識」が重要な意味を持つ。
制度的に議事録を義務づけても、出席者がきちんと記録を残そうと意識しなければ、議事録を作らないところで私的に会議をするといったような抜け道はいくらでもできる。
事前に調整はすべて済ませて記録を残さず、会議の場では議論しないなどなど。
その点、どうやって徹底するのかが問題となるだろう。

いずれにしろ、こういった動きが進むのは、公文書管理法第4条に文書作成義務があるからである。
公文書管理法の趣旨が政治家や官僚などに徹底されるきっかけになってほしいと願う次第だ。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。