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行政透明化検討チームの議事録を読む―メンバー構成 [2010年公文書管理問題]

行政刷新相の元にできた「行政透明化検討チーム」が発足して2ヶ月が過ぎた。
このチームは、情報公開法の改正を目的として作られたものである。
当時行政刷新相であった枝野幸男氏の肝煎りでつくられたものであるが、鳩山首相の辞任によって蓮舫新大臣に引き継がれている。
当初は6月末までに終わらせる予定であったが、選挙等の関係もあり7月末まで延ばされている。

そこで、今回はこの議事録を読みながら、現在の情報公開法の何が問題となっており、どのような制度改変が行われようとしているのかについて色々と書いてみたい。

ただ、この議事録を読んで思うのは、法を「作る」のではなく「改正する」という話なので、非常に細かい法文解釈の議論が多く、簡単には説明しにくいということだ。
また、網羅的に説明するのは私の技量では不可能である。それに、基本的には前向きな議論なので、あまり批判的に取り上げるようなことも少ないような気もする。
さらに、歴史研究者である私が無理に専門外のことを解説しようとするのはどうかと思わなくもない。

たぶん、今後はチームのまとめの資料を提示した上で、自分なりに思ったことを述べるという感じになるのではないかと思う。
それか、答申が出てから、それについて思うところを述べるということになるかもしれない。

なので、一応「連載」と銘打っているが、そういうことにならないかもしれません。見切り発車です。

まず第1回目はこのチームのメンバー構成について。

第1回 メンバー構成

この件については、すでに一度自分のブログで書いている。

「「行政透明化検討チーム」の設置」
http://h-sebata.blog.so-net.ne.jp/2010-04-14

その後、議事録を読んでいて考えたことがあったので、新たに書き直してみる。

まずはメンバー紹介。

 座長 枝野幸男→蓮舫(行政刷新担当大臣)
 座長代理 三宅弘(弁護士)
 事務局長 泉健太(内閣府大臣政務官)
 構成員 逢坂誠二(内閣総理大臣補佐官)
      階猛(総務大臣政務官)
      渋谷秀樹(立教大学教授)
      中島昭夫(桜美林大学講師)
      橋本博之(慶應義塾大学教授)
      藤原静雄(筑波大学大学院教授)
      松村雅生(日本大学教授)
      三木由希子(情報公開クリアリングハウス理事)

さて、まず政府の方から。
枝野前大臣、泉政務官、逢坂補佐官の3名は、昨年成立した公文書管理法の制定に関わった方。
情報公開にも基本的に前向きであり、公文書管理問題にも関心が深い。
蓮舫新大臣は、事業仕分けを見ている限り、情報公開には前向きだということはわかるが、果たしてその前提として公文書管理が重要だということを理解しているかが心配。
階政務官は、情報公開法の管轄である総務省の代表者。元は銀行員のようだが、議事録を見ている感じでは情報公開法をきちんと勉強はされているように見える。

次に民間について。
簡単に分類すると

憲法学・・・渋谷氏
行政法・・・橋本氏、藤原氏、松村氏
ユーザー・・・中島氏、三木氏
(三宅座長代理は、行政法とユーザーの間ぐらい)

ということになるかと思う。

座長代理の三宅氏は、日弁連で長年情報公開問題に取り組んできた弁護士。情報公開訴訟などにも多く関わってこられた方で、この問題のスペシャリストである。

渋谷氏は、公文書管理法の第1条に事実上入った「知る権利」を、情報公開法に組み込むことについての議論を期待されて入ったようである。

行政法の3名は、全員、情報公開における「不服申し立て」(開示された文書に不開示部分(ないし文書が存在しない)があったときに異議申し立てを行うこと)を審査する「情報公開・個人情報保護審査会」の関係者
藤原氏橋本氏は非常勤の審査会委員。松村氏は審査会の初代事務局長。
つまり、実際に情報公開法の運用を担当してきた人たちである。その意味では、行政法学者の中でも「現場」を体験している人を選んできたということがわかる。

中島氏は朝日新聞の記者として、情報公開制度に関係する取材活動を長年行ってきた方。情報公開法施行の際には、朝日新聞による各省庁への大量請求を取りまとめて対応した中心メンバーであった。その意味ではユーザーというよりは、ユーザーを取材し続けてきた方と言えるかもしれない。
三木氏はこのブログに何度も出てきている情報公開運動の中心人物。情報公開訴訟の支援を多く手がけるだけでなく、自治体の情報公開審査会の委員なども務めており、ユーザーの立場だけでなく、情報公開法を運営する立場としても経験を積まれている非常に稀有な存在である。

さて、この人選を見てまず気づくことは、「情報公開の実態に基づいた議論を行って改革を進める」という意思が強く表れているということである。
つまり、現場を知らない学者を集めて、官僚の思い通りに話を進めるという感じではなく、現場を知り尽くした人たちを集めて、本格的に議論を行おうという意思を感じるのだ。

特に、前述したが、行政法学者が全員情報公開・個人情報保護審査会に関わっていた人であるとか、情報公開法を実際に利用してきた三木氏がメンバーに選ばれているというところからも、ユーザーの意見をできるかぎり反映させようとする意思を感じる。
また、座長代理の三宅氏自体が、情報公開を推進する立場の方であるので、少なくともこのチームが、情報公開に逆行するような答申を出すとは思えない。

その意味では非常に期待のできる人選であったと言えると思う。

次回は、議論の内容についての説明をと言いたいところですが、第4回の議事録が出てから書こうと思います。そこで一区切りついているようなので。
とりあえず今回はここまで。

追記(8/27)

連載は諦めました。
いまさらあまり意味がないと思いましたので。

その代わり、検討チームの最終回で提示された大臣案「とりまとめ」の解説を書きましたので、そちらを参照してください。

「行政透明化検討チームとりまとめ」解説(上) 第1、2
http://h-sebata.blog.so-net.ne.jp/2010-08-27
→(中)(下)も上記のリンクから行けます。
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