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最近の一連の天皇・皇室報道に思う [天皇関係雑感]

ここ2週間ぐらい、天皇の健康状態悪化から始まって、色々な動きが報じられている。
ずっと横目で見ていたんだが、どう評価したものかと思って考えがまとまらなかった。他にもやることがあったので。
でも、少しまとめる意味でも書き残しておこうかと思う。

まず、この間の動きを、日程順に並べてみる。

12月3日 天皇が不整脈のため、公務を取り止めるとの発表。(4日まで)
12月5日 検査のためにさらに1日公務取りやめを延長。(6,7は土日)
12月8日 天皇公務復帰
12月9日 皇太子雅子妃誕生日談話発表。東宮職医師団見解発表
       金沢皇室医務主管などが天皇の病状を発表
12月11日 羽毛田宮内庁長官、定例記者会見の場で「私的見解」発表
12月12日 野村東宮大夫、長官発言に対してコメント発表

この中で重要なのは、9日の金沢皇室医務主管の談話と、11日の羽毛田長官の談話である。
私はこれらの中に、2つの天皇の強い意志を感じた。

1つめは、「正確な情報を出すということへのこだわり」である。
以前、天皇は前立腺ガンになったときも、その公表をためらわなかった。
私は今年の1月にブログで書いた記事の中で、天皇は昔から異様に「嘘をつかれることが嫌い」な人であったということを書いた。→「宮内庁が報道への反論を始めたことについて」
9日の医務主管の談話を見ると、病状は一切隠さないという天皇の意志を強く感じる。
しかし、そのために、不整脈の方はたいしたことがないが、ストレス性の胃炎を患っていることも公表されてしまった。
そのために、11日に長官が弁明をするはめになって、話が拡大したのである。

2つめは、「天皇であることのプライド」「天皇の公務への責任感の強さ」である。
今回の長官会見で私が一番気になったところは次の部分である。

次に、妃殿下の適応障害との診断に関し「皇室そのものが妃殿下に対するストレスであり、ご病気の原因ではないか」、また「妃殿下がやりがいのある公務をなされるようにすることが、ご快復の鍵である」といった論がしばしばなされることに対し、皇室の伝統を受け継がれて、今日の時代の要請に応えて一心に働き続けてこられた両陛下は、深く傷つかれた。その中でなお、お二方のために、両陛下として何ができるか、宮内庁、掌典職と何をはかっていくべきかを考え続けてこられたことを指摘したい。

この部分は、一部では雅子妃批判と取られているみたいだが、「といった論が」と言っているのでマスコミの雅子妃バッシングへの批判となっていることがわかる。
問題は、雅子妃の病気の原因が、「皇室という存在自体にある」「公務の内容に問題がある」というように捉えられていることに対する猛烈な反発である。

長官発言の冒頭にある「ここ何年かにわたり、ご自身のお立場から常にお心を離れることのない将来にわたる皇統の問題をはじめとし、皇室にかかわるもろもろの問題をご憂慮のご様子」という言葉もそうだけど、要するに「皇室」に生きる者としてのプライドというのだろうか、そのようなものを強く感じるのだ。
これは昭和天皇も同じだったけど、自分の代で天皇家を潰してはならない、それを未来永劫子孫につなげなければならないという「皇祖皇宗」に対する強烈な責任意識の現れのように感じる。
そして、天皇は最近の雅子妃の報道のされ方が、自分の守ってきた皇室像を傷つけるものだと考えているのではないだろうか。

また、この意識に公務へのこだわりが混ざってきている。
天皇皇后は公務や祭祀を愚直にやり続けてきたことによって、支持を得てきたという自負がある。
昭和天皇の晩年、やはり今の皇太子夫妻と同様、当時の皇太子夫妻も「人前で手をつないで遊んでいる」とか「家庭を大事にしすぎている」といった批判を浴びていた。

でも実態は違っていた。
1970年代にある新聞は、当時の皇太子夫妻を「パリーグ」と称したことがある。「実力はあるのに人気は今ひとつ」という意味だ。
現在の天皇皇后はそのイメージを払拭するために、ひたすらに公務と祭祀をし続けていた。それが現在の天皇皇后の支持基盤を作り上げてきたのだ。たぶん、天皇皇后はその自覚があると思う。
だから、年を取っても病気になってもなかなか公務や祭祀は減っていかない。公務や祭祀を行うことが自らのアイデンティティと関係があるからなのだと思う。

話を戻して、長官発言だが、この天皇の思い入れの深さが、このような発言をさせる原因になっているように感じるのだ。
これに対して、東宮大夫が、雅子妃も「皇室の伝統もご公務も大切に考えておられ」ると返事して、一応天皇の意に沿った反応を出したのである。


ただ、この一連の流れを見ていて感じるのは、やはり天皇は皇太子夫妻に不満があるのだなあと思ってしまうのだ。
もちろん、そう取られるような表現を極力避けているのは間違いない。長官もその点については相当に慎重に言葉を選んで話している感じがする。
でも、公務が実際にあまり行えていないことは事実であり、皇室の一員としての勤めを果たせていないのは確かである。
私から見れば、やはり雅子妃は皇室に適用できていないから鬱病になっているようにしか見えないし、天皇皇后がそのあたりに不満を抱いているという構図は、やはりあるのではないかと思うのだ。

将来の天皇皇后が自分たちの思いを引き継いで欲しいという願いは、健康状態が悪くなっているという状況も加わって、より強く天皇に表れているように感じるのだ。
それが、「正確な情報を伝える」ために行われている会見の節々からにじみ出ているのが、今回の一連の報道内容なのではないかと思う。

どうもやはりあまり上手く話を詰め切れていないような気がする。12月23日の天皇会見を受けた上で、もう一回再論するかもしれません。今回はここまで。
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