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【連載第5回】(下)「公文書管理の在り方等に関する有識者会議」の議事録を読む [【連載】公文書有識者会議]

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「公文書管理の在り方等に関する有識者会議」の議事録の解説の第5回の後編です。
前編では、上川大臣の各省庁視察などの話を中心に書きました。
後編は、「中間書庫」の話を中心に書きます。

さて、この「中間書庫」とはなにか軽くおさらいをしておきます。詳しくは過去のブログ参照

文書には保存年限がある。30年とか10年とか。
でも、大体5年経つと使わなくなるケースが多い。
それでも30年保存の場合は保存しなければならない。でも、25年も置いておけば、紛失したりすることも多い。
だから、こういった文書を特定の場所に移動し、そこできちんと保存するシステムが「中間書庫」である。
これは公文書館側にもメリットがあって、「中間書庫」に入る段階でファイルをきちんと作っておけば、期限が切れて移管するときに、スムーズな手続きを取ることが可能になる。また、途中で紛失することもないのである。

この中間書庫システムの最先端を行っているのが神奈川県である。
そのため、有識者会議に、神奈川県立公文書館の石原一則氏が招かれて話をしたのである。

・・・・。
また1月の歴研総合部会で話したスピーカーの名前が登場したことになる。
高橋滋氏は委員。石原氏はゲストスピーカー。
私は凄いメンバーの中で話をしていたのだなと、改めて感じ入った次第。

さて、石原氏の話は相変わらず非常に簡明であり、資料7と議事録を見れば完全に内容は理解できる。
総合部会の時にもおっしゃっておられたが、神奈川県の文書の移管システムの良さは、「強制的に移管される」というところである。
つまり、廃棄権限は公文書館のみに置かれているのだ。「中間書庫」への移管も「義務」である。
総合部会の時、石原氏はこの仕組みができたのは「知事の理解」が大きかったという話をされていた。

やはり、今回もこの仕組みを機能させるためには、首相の決断力にかかっている。
移管の権限を公文書館に置くか、それとも各省庁に据え置くか。
ここは一番の論点となるであろうし、ここが骨抜きにされたら、おそらくこの改革は意味をなさないだろう。

前編で少し書いたように、各省庁は文書管理に「苦労」している。
議事録を見ると、野口貴公美氏も各省庁の論理を逆手にとって、「中間書庫」を設置することで行政の効率化を図れるということを主張している(P21-22)。

どうやら、中間報告の段階で、この「中間書庫」導入は相当に強く押し出される可能性が高まった。
ただ、この書庫を「散逸防止」のためだけに使っては困る。やはり、「移管をスムーズに行うための機関」としなければならない。
そのためにも、繰り返しになるが、移管の権限を各省庁から取り上げることが絶対不可欠である。
この点だけは、絶対に妥協してはならない部分だと思う。

以上今回はここまで。今月中に中間報告が出る予定なので、次回はこの報告が出たときに集中連載することになると思います。ここまでお読みいただきありがとうございました。

第6回アップしました。
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