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『大正天皇実録』の公開の作業はどうなっているのか? [訴訟関係]

この2回ほどの裁判で宮内庁側から提出された書類の中で、気になることが書いてあった。

この書類とは、情報公開担当である官房秘書課調査企画室の文書管理係長の「陳述書」である。
これは、私の請求した文書の公開がどうして遅れたのかを、2002年4月から現在までの間の係長の仕事内容を説明することで、「不作為」がなかったと証明するためのものである。

具体的な内容は、私の文書についての対応だけでなく、他にも様々な仕事があって大変だったんだというものであった。
この中で、『大正天皇実録』の公開に関しても記載があった。

『大正天皇実録』とは、宮内庁が作成した大正天皇の伝記であり、全85巻、約7000ページあるとされている。
2002年3月29日に第1回目の公開がなされ、48巻~55巻、計443ページ分(1912年~14年)が公開された。
2003年3月28日に第2回目の公開がなされ、56巻~76巻、計1251ページ分(1914年~21年)が公開された。
その後は、全く公開されていない。

まず、係長の仕事が羅列されている中に、『大正天皇実録』の公表・非公表の調査を行っているということが記載されていた。
陳述書の中に次の記載がある。

「「大正天皇実録」につき、書陵部が平成14年3月29日、8巻分443ページの公開をし(第1回公開)、同年6月ごろの第2回の公開に向けて、毎週1回、半日程度をかけて、「大正天皇実録」の各ページに記録されている情報の公開の可否について書陵部から示された原案に対し、長官官房としての意見をまとめるため、文書管理係による長官官房幹部との検討会議が開催されており、さらに、毎月1回、長官官房秘書課と書陵部との検討会議が開催されていました。」

結局、公開は6月には行われず、翌年3月にまでずれ込むわけだが、このペースでは仕事をしていたようである。

ここでの仕事内容は、書陵部の原案を、情報公開室が庁内の意見調整を含めて検討していたということのようである。
書陵部から調査企画室に送られていることは、以前のブログ(昨年8月24日)で書いていたが、庁内調整を文書管理係長本人がやっているとは思わなかった。
つまり、最終的な公開非公開は、情報公開室の基準がそのまま適応されていたことになる。

さて問題はここではない。
実はこういった、「大正天皇実録で大変でした」という陳述が、これ以降、一切出てこないのである。
現在の係長になってから(2005年以降)も、その作業自体が存在していることは、陳述の中に出てくる。
しかし、具体的に何をしているのかが、全く書かれていないのである。

この陳述書は、「自分の仕事がいかに忙しかったか」を証明するためのものである。
だから、2回目の公開の際の忙しさについては記載があったわけだ。(1回目の時は、時期が今回の裁判と絡んでいないので、詳しく書かれていない。)
つまり、記載がないということは、「その仕事がたいした作業量ではない=あまり仕事をしていない」と考えられるのではないだろうか。
もちろん、「記載がない=何もしていない」と決めつけることはできないかもしれないが、少なくとも忙しい理由にはならないレベルの仕事しかしていないということになるだろう。

これが、「公開基準が明確になったから、書陵部の作業をそのまま採用すればよい」という理由で仕事がないなら良い。
しかし、個人情報の開示基準などは、この期間、私や佐藤君への情報公開審査会での答申、総務省の指導等で、相当に揺れ動いているはずであり、庁内調整なくして、公開できるとは思えない。
そもそも、『大正天皇実録』の公開が遅れている理由は、私の文書(特に、東宮職の日誌)と同じく、個人情報であるが「公にする慣行(予定も含む)があれば公開」というその「公にする慣行」という部分の解釈が定まらないという理由で遅れている可能性が高い。
なので、庁内の調整が必須のはず。
そう考えると、おそらく作業が停滞しているということなのだろう。

そう考えてくると、宮内庁の論理は次のようになりはしないだろうか。

「昔は「大正天皇実録」の作業で忙しくて私の文書開示が遅れていた。
 現在は私の裁判等があるから「大正天皇実録」の公開が遅れている。」

宮内庁が私の裁判でさんざん主張しているのは、「他の業務で忙しければ、公開が遅れてもやむを得ない」ということである。
これが、全ての場面で共通しているのなら、「裁判」を起こされたので、その対応に力を注ぎ、「他の作業が遅れている」ということになるのではないか。(ちなみに、陳述の中で、文書管理係長は、他の人の裁判によって、私への開示が遅れたと明言している。)

裁判で勝たなければ公開は早くならない。
しかし、裁判をすることで、他の史料の公開作業が遅れることになる。
悪いのは、私だとでも言うのだろうか・・・

もし、上記の推測が合っていたのならば、本当に許されざることである。
文書管理係の現在の人員はたったの3名。
書陵部の仕事も抱えているのであれば、もっと人員を増やすべきではないのだろうか?


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