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不服申立ての「諮問」の遅さ [情報公開・文書管理]

前回の続き。
「情報公開法の制度運営に関する検討会」の報告書で、一番「委員達はわかっていない」と思った部分が、「不服申立」の手続きの際の「諮問の遅れ」についてである。

情報公開請求を行って、その出た結果に不服がある場合は、情報公開・個人情報保護審査会に不服申立を行うことができる。
しかし、問題は不服申立を行う相手が、文書を請求した省庁そのものであるということだ。
手続き的には、その申立を受けた省庁が、反論書を作成してから、審査会に諮問することになる。

問題になるのは、この「諮問」に期限がないことである。
つまり、いくら時間がかかっても、罰則がないのである。
この報告書には、不服申立から諮問までの期間が表で示されているが、総件数2745件中、諮問に1年以上かかったケースは542件(19.7%)にも上っているのだ。

元朝日総研の研究員だった中島昭夫氏は、かつて朝日新聞が外務省に異議申立を行った時に、諮問までに最長で「2年1ヶ月」も時間をかけられたという(『朝日総研レポート AIR21』2004年4月号)。
私も、ヴァイニング夫人の契約書の件で不服申立を行ったときに、約1年待たされている。
(この時は、審査会が答申に「上記のような長期間を必要とするものとは考え難い」と、宮内庁を批判する文言を入れてくれた。)

さらに、これに関連する問題として、審査会の答申が出てから省庁が最終決定をするまでの期限も決められていないということもある。
審査会の答申には強制力がないので(逆らった省庁はいないらしいが)、法的には期限をつけようがないのだろうが、私のケースの場合、答申が出てから決定が出るまでに1年待たされた。

つまり、不服申立をしてから、ケリが付くまでに約2年8ヶ月、うち審査は9ヶ月、残りの1年11ヶ月は宮内庁がかけた時間である。
これだけの時間と手間がかかる制度は、訴えた側の負担があまりにも大きすぎる。
また歴史研究者としては、まともな状態で史料が見れるまでに(しかも見れない可能性もある)3年間もかかっていたら、この部分については研究が進まないのである。

このように、諮問そして決定の遅れというのは、大きな問題なのである。
しかし、この報告書では、「改善措置」としてたいしたことが書いておらず、問題を軽く見ているようにしか見えない。
これでは、1回訴えたら3年というサイクルは変わらないのだ。

ちなみに、先日取り上げた民主党の改正案によると、「諮問に14日以内」という縛りをかけている。
はっきり言って、それはやり過ぎである。そんなスピードはいくら何でも無理。
こういう法案を見ていると、本当に民主党は政権を取る気があるのかと問いたくなる。
3ヶ月(90日)というのが妥当なところではないだろうか。


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