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ファイル管理簿の不備 [情報公開・文書管理]

先日のブログで情報公開法改正の見送りについて書いたが、その続きである。
「情報公開法の制度運営に関する検討会」の報告書には、いくつかの「改善措置」を各行政機関に求めている。

その中でやはりどこでも問題となっているのだなと思ったことは、「ファイル管理簿」の問題である。
情報公開法には、法文の中で、行政機関が所有している文書のリストを公開することが明記されている。
しかし、この「ファイル管理簿」、これが大いに問題ありなのだ。

たとえば、宮内庁に関して言うと、ファイルの題目が「庶務関係録」「医療関係録」「会計関係録」などである。
要するに「~関係録」という名前が異様に多い。
それに、このような名前では、どのような史料が入っているのかがさっぱりわからないのである。
ちなみに、先日紹介した「侍従職日記」は「庶務関係録」に入っていたものである。

この報告書では、次のような書かれ方をしている。

「行政文書ファイル管理簿については、相互に密接に関連する複数の行政文書がまとめられた「行政文書ファイル」を単位としていること、当該ファイルの名称等は各行政機関の事務事業の実施状況等に応じて設定されているため行政機関間で必ずしも統一性がなく、必要な行政文書の検索を行おうとしても該当するものがなかなか見つけられないなど、容易に利用し得るものとなっていない面がある。」(21-22頁)

そして、「改善措置」として、

「行政文書ファイル管理簿については、ファイルの内容ができるだけ分かりやすいようにファイル名を記載するなど、開示請求時の文書特定に有効に活用できるものにすること。」

とある。

はっきり言って、当たり前のことである。このような当たり前のことが、きちんと行われてこなかったのである。
その理由は、情報公開法ができたときに、各省庁が文書管理をきちんと行っていなかったため、慌ててファイル管理簿を作ったことにある。
つまり初めから「いい加減」に付けたファイル名なのである。

これは請求者が目的の文書を見つけられないという次元の問題ではなく、行政機関の側も請求された文書を見つけられないという原因にもなっており、それが元で情報公開審査会や裁判所に訴えられているケースが多々あるのである。
私が数日前にブログで書いた国立公文書館改革がいかに重要かということが、このあたりからも分かっていただけるのではないかと思う。

上記の報告書に、拘束力がどこまであるのかは疑問であるが、少なくともこの改善は早急に行われるべきだと思う。


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