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情報公開法改正の棚上げ [情報公開・文書管理]

昨年3月29日、「情報公開法の制度運営に関する検討会」報告書を提出した。
これは、情報公開法に、施行されてから4年後に見直しを行うということが書かれていたため、総務省が検討会を作って議論していたのだ。
しかし、検討の結果は「法改正の見送り」であった。

情報公開法が施行されてから、さまざまな問題点が浮上していた。
それを検討した上で、見送りなのだから、何なんだという感想を抱かざるをえない。
この報告書は、一つの「改善意見」として扱われるようである。

情報公開法の問題点については追々ブログで書いていくつもりだが、昨日書いたこととの関連で、歴史的資料の扱いについての部分だけ紹介しておこう。

まず、歴史的資料に個人情報などの不開示規定があることについては、「個人情報等をいつまで不開示とする必要があるのか、遺族への配慮をどうすべきかなど、時の経過に伴う開示基準をどう考えるのかという課題がある」(7頁)との指摘がある。
しかし、「指摘」だけである。
この点については、本ブログの8月15日分を見ていただけるとわかると思うが、情報公開法の施行令が改正されなければ何も改善はされない。

次に、公文書の移管手続については、本ブログの8月23日24日分に書いた懇談会の議論を支持するとの記載がある。

そして、歴史的資料の閲覧については、行政文書と異なり、これまで不開示であっても不服申立ができなかったのだが、国立公文書館で館長に対して不服を申し立てることができるような仕組みを、他の施設でも導入すべきであると書いてある。
「すべき」という表現を使っているのはここだけである。
しかし、例えば書陵部で閲覧が認められなかった文書があったとして、その不服を申し立てるのは書陵部長に対してである。
このような内部の機関に対して不服申立をしても、果たして実効性があるのやらと考えざるを得ない。
行政文書については、不服申立を情報公開・個人情報保護審査会という第3者機関に訴えることができるからこそ、まだまともに機能しているのだ・・・

つまり、この報告書を「改善意見」と考えたとしても、結局何にも変わりそうもないのである。

なお、この報告書に対しては民主党が反対をしており、昨年7月28日に情報公開法の改正案を提出している。参考
法案本文を見ていないのでわからないが、歴史的資料の部分への言及はないみたいである。
しかし、この案はNPOや日弁連などが要求している項目が多数含まれており、なかなか面白い案にできあがっているように思う。
たぶん廃案になっているのだろうが、民主党には少しは踏ん張ってもらいたいものである。


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