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「防衛省、補給艦の航泊日誌「誤って破棄」」について [情報公開・文書管理]

昨日の朝日新聞より
「防衛省は16日午前、民主党の外務防衛部門会議で、インド洋で給油活動をしていた海上自衛隊の補給艦「とわだ」の03年7~11月の航泊日誌について「今年7月に誤って破棄した」と説明した。文書保存期間は5年。同省は「省内の内規に違反しており、事実関係を調査中」とも説明。同党は関係者の処分を求めた。

 航泊日誌には、給油した日時や場所、給油先の艦船名などが記載されており、国会でイラク作戦への転用疑惑を追及している民主党が資料請求をしていた。航泊日誌をめぐっては、同省が補給艦「ときわ」の03年2月分について「破棄した」との説明を覆して公開。石破防衛相が「文書管理が徹底されていなかった」と陳謝した経緯がある。」

朝日新聞の論調からもわかるが、要するに「わざと捨てた」と考える方が自然だろう。
インド洋での給油活動は、自衛隊の活動の中でも最重要の任務である。
その航海日誌を「誤って破棄する」とはにわかに考えがたい。

今年7月といえば参議院選挙があった時である。
また、その後アメリカの公文書を情報公開で手に入れたNPOや民主党が給油活動の量をごまかしていたことを知る時期と非常に近い。
どう見ても、「わざと」としか思えない。

では、なぜこういった「わざと捨てる」ことができてしまうのだろうか。
それは、日本に「公文書管理法」が存在しないからである。

そもそも、情報公開法とは、「公文書として保管されている行政文書を公開させる」ための法律である。
この法律を機能させるためには、「重要な資料を残させる」こともセットでなければならない。
そのため、普通、情報公開法は公文書管理法とセットで作られることが多いのだ。

公文書管理法とは、公文書の保存・管理をつかさどり、もし意図的に破棄されたりした場合、罰則が存在するものである。
それだけでなく、公文書管理法は、政策決定過程の資料を作らせる義務を官僚に負わせる法律でもある。

情報公開法は、国民に対して、自分たちが行った政策がどのような意図で行われているのかに対する「説明責任」を負わせるための法律である。
だからこそ、そのための文書を作らせる法律が必要なのだ。

今回の防衛省の問題は、まさしく公文書管理法がないが故におきた問題である。
防衛省内で処分がなされる可能性は高いように思うが、この処分は情報公開法に基づいたものではない。
つまり、今回みたいに大きな問題になっていなければ、基本的には処分されていないだろう。

先日のブログでも書いているが、福田康夫首相はこの問題について、もっとも関心のある政治家といって過言ではない。
16日の参院予算委員会で、公明党の浜四津敏子議員が、首相に対し「公文書保存体制が遅れている。ルール法制化が必要では」と質問をし、首相は公文書館制度をしっかりさせないといけないと答えている。
浜四津議員は、福田首相が代表である公文書館制度強化推進議員懇談会のメンバーでもある。

この問題を首相は忘れていないということを確認できた。
今回の防衛省の問題を追い風に、是非とも公文書管理法の制定を目指してほしいと思う。


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