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公文書管理問題について内閣府との意見交換 [公文書管理委員会]

本日、新しくできた議員会館で行われた公文書管理問題に関する勉強会(?)に末席で参加して、内閣府の方などと議論をしてきました。
その結果をtogetterでまとめたので貼っておきます。
パブコメを書く際のご参考になれば幸いです。パブコメは13日まで。


追記(8/12)
一緒に会議に出ていた三木由希子さんもご自分のブログに感想を書かれています。こちらも必見。
私とは違う角度から見ておられるので、なるほどそういう意図だったのかと改めて考えた次第。
http://johokokai.exblog.jp/14935775/
↓その2
http://johokokai.exblog.jp/14946497/
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公文書管理委員会パブコメについての補足事項 [公文書管理委員会]

「公文書管理法施行令・ガイドライン素案へのパブリックコメント開始」の記事の続き。
http://h-sebata.blog.so-net.ne.jp/2010-07-31

1項目400字程度の文字数制限に対して、さる関係筋から内閣府の見解を聞いてきました。
以下の見解だそうです。

①ホームページ上での投稿様式は「内閣府共通意見等登録システム」として設定された様式であり、法定パブリックコメントを行う際に用いられる一般的様式なので、今回のものもその一つとして、これを用いてパブリックコメントをお願いしたいということ。

②今回のパブリックコメントについては、多数のご意見が寄せられると想定されるので、とりまとめ作業に際して意見内容の明確化を迅速に行うためにも、1項目ごとの投稿をお願いしているということ。

③様式の注意書きには字数制限を400字程度としてあるが、実際には1000字以上の記入にも対応可能なように設定されていること。

既定の様式に収まらない場合についての対応は、当初の告知どおり郵送による提出をお願いするが、その場合、同内容の電子媒体を担当者のメールアドレスに送っていただくこともできること。ただしメールだけでの送致は不可で、郵送とともにお送りいただきたいこと。


④のメールアドレスについては、現在再度問い合わせ中です。
→追記(8/5)
回答来ました。とりあえずメールについては無しということです。

以下は私の見解。
そもそもメールでもほしいというのは内閣府側の作業効率を上げるということが理由ですし、とくに郵送する側のメリットはありません。
もし内閣府がデータがほしいのならば、内閣府から郵送した方に連絡がいくのではないかと思います。
(追記終)

①については、やはり400字程度がパブコメのデフォルトだということがわかりました。制度設計の段階から、あまり意見を聞く気がないというところが表れているような気がしますね。なんとかしてほしいものです。

また何か追記することがありましたら、この下に書いていきます。更新した際にはツイッターでお知らせします。
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公文書管理法施行令・ガイドライン素案へのパブリックコメント開始 [公文書管理委員会]

5回にわたって説明をしてきた、公文書管理委員会第1回会合で示された公文書管理法施行令・ガイドライン素案へのパブリックコメントが開始されました。
8月13日(金)まで。

施行令の「法定」のパブリックコメントはまた後日行われますが、おそらく日程から考えてもたいした効果がないと思いますので、ここで言いたいことがある方は書いておいた方がよいと思います。

公文書等の管理に関する法律施行令の検討素案等に対する意見の募集
http://www8.cao.go.jp/koubuniinkai/oshirase/goiken1.html

しかし、相変わらずだけど、なんで文字数制限が400字なのか(怒)
前の行政透明化検討チームのパブコメも自由記述が400字しかなかった。これがデフォルトなのか。

まあ今回は条文毎に意見を送るという形になっているし、一人で複数送ってはいけないとも書いていないので、400字ずつ複数書けばよいということなんだろうが。
しかし、いちいち住所とか打ち込まなければいけないのは面倒だなあ・・・。

追記【重要】400字制限の問題については、下の記事も参照のこと。
http://h-sebata.blog.so-net.ne.jp/2010-08-04
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公文書管理委員会第1回資料を読む補遺 委員会への期待と不安  [公文書管理委員会]

「公文書管理委員会第1回資料を読む」を5回にわたって続けていたのだが、その途中で、私のツイッターでの発言をきっかけにして、以前公文書管理法制定の時に一緒に活動していたジャーナリストのまさのあつこさんと、情報公開クリアリングハウスの三木由希子さんと、いくつか委員会に関するやりとりがあった。
ブログやツイッターに話が飛んでいるので、まとめる意味を兼ねてここにやりとりの経緯と、それに対する私の考え方を述べておきたいと思う。
なお文中、強調文字にしている点は私によるものです。

まず、きっかけは、三木さんの公文書管理員会委員会第1回の傍聴記から。

情報公開にまつわる日々の出来事-情報公開クリアリングハウス理事日誌「公文書管理委員会 傍聴行ってきた」
http://johokokai.exblog.jp/14782173/

この中で、三木さんは次のような懸念を表明されている。

 御厨貴東大教授が委員長になりましたが、最初の段階で「文書」を「ぶんしょ」ではなく「もんじょ」と言って「ぶんしょ」と言いかえられたのを聞いて、この人は「もんじょ」の人なんだと思った次第です。かれこれ10数年前に、「ぶんしょ」と言うか「もんじょ」と言うかの違いは決定的という話を聞き、深く納得したことがあって以来、これは一つの私の中でのメルクマールになっています。

 実際に、各委員の発言を聞いていると、歴史的に文書をどう残すかという方向に引っ張られていて「今」が見えず、傍聴していてとっても心配になってきました。個人的には、後世からの検証が必要なため歴史的な公文書の保存が必要ということには異論がないのですが、それはむしろ今の政府の仕事を良いものにするために、そうする機会を後世に残しておくことが必要ということでなければならないと考えています。


このブログをツイッターで紹介したところ、tomiken28さん(公文書館勤務のアーキビスト)が「もんじょ」「ぶんしょ」の話で私に質問をしてきた。
そのやりとりはこちら。



そして、その後、まさのさんが三木さん達とUstreamで「新政権に望む国会のあり方座談会??」というのをやったのを私が視聴して、主題と違うところで噛みついてしまったのが次のやりとり。



この時はまさのさんが時間がなかったのであまり答えがなかったが、かわりに三木さんにそのやりとりを見られていて、三木さんがブログにこの件についてコメントを書かれたのが次。

情報公開にまつわる日々の出来事-情報公開クリアリングハウス理事日誌「公文書管理委員会ネタが何だか波紋を呼んでる?」
http://johokokai.exblog.jp/14821143/

引用してみると、

歴史家や歴史研究者が現用文書の重要性や、文書の作成・管理の重要性を理解してないなんて、少しも思っていませんよ。私の問題意識は、行政文書の定義をどうするか、どう管理するかにもありますが、行政組織の問題としてどう文書を作って管理をして行くのかという組織の問題にもあるのですよ。要は内部統制的にどうなるのだろうかということ。そこがしっかりしないと、歴史的にも文書が適当な形で残らないと思うからです。ちなみに行政透明化検討チームでは、行政文書の問題は公文書管理委員会に申し送りをしてもらう方向です。

 私としては、今の人をハッピーにできないのであれば、後世の人もハッピーにはなれない、公文書管理は今のためにあることが基本で、今を適当なものにしていくことで歴史に残すこともできると考えているだけです。何だか、文書を「もんじょ」か「ぶんしょ」と読むかというネタも引っかかる方がいるようですが、私の方はそんな感じで今の組織の問題は誰がどう議論をするのかに不安が大きいもので…。基本的には、どんな立場、どんな専門性の方でも私はウェルカムです。ずっとそうだったし。むしろ、距離感を持っているのは専門性の中にいる人たちだと思うんだけどな。興味深々な視線を感じつつも、みなさん上品なもので、こういう野に放たれた感じの人に直接触れるのは遠慮されているような感じかな。まあ、こちらがアウトローな感じですからね。


さらに、まさのさんから後日届いた意見のまとめ。


一連の流れで、争点になっていたのは、「歴史研究者の重視する「文書」と情報公開に取り組んでいる方の重視する「文書」」の考え方のズレのようなことだったと思う。

まさのさんと三木さんが最もこだわっている点は、「行政文書の定義」の問題だと思う。
これまで、官僚組織の内部で検討されていた事項のうち、「行政文書」と見なされるものと見なされないものが恣意的に分けられていた。
それは、情報公開法の第2条第2項にある「当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているもの」という行政文書の定義から問題が発生している。
この「組織的」という定義をものすごく狭く取れば、決裁文書レベルの部分だけを「行政文書」とし、それ以外は「私的文書」として情報公開の対象外にしてしまうということが可能になる。

まさのさんが私にツイートしてきたものは、まさしくその点を問題としていた。
まさのさんや三木さんは、過去にそういった事例でおそらく何度も苦渋を飲まされてきたのだと思う。
そして、まさのさんは次のようなツイートを残している。

三木由希子さんもブログで書いたこととつながるが、公文書管理法というのは、行政組織の内部統制、官僚の仕事の仕方、国民への説明責任をどう果たすのかという問題と色濃くつながっているわけです

つまり、「行政組織の中で官僚がどのような仕事の仕方をするのかを決定しようとしている」という意識が公文書管理委員会の委員にあることがとても重要で、歴史学者と言われる方々が、どこまでそれを理解し、審議をしてくれるのかなというのが、個人的には関心、懸念あり

公文書管理委員会で議論をする歴史学者の皆々様には、「参加したい」という国民を迎え入れる行政の仕事の仕方はこれでいいのかという視点を持って、行政が出してくるさまざまな案を精査して、丁寧に審議していって欲しいというのが願いです。


つまり、この「行政文書の定義」の話は、突き詰めれば「官僚の仕事とは何か」というところに行き着く話だということだ。
公文書管理法に即して言えば、第4条の「作成」の部分の実効性の問題とつながることだと思う。
そして、そこに歴史研究者は理解があるのかというところに疑いの目を持っているということになる。

だから、私の「歴史研究者だって現用文書の重要性はわかっているはず」という疑問は、三木さんやまさのさんから「そのレベルで議論したいんじゃないんだ」という批判にさらされた。

また、私は三木さんのブログの記事に次のような言い訳がましいコメントを書いた。

行政組織の問題についてなかなかモノを言えないというのは、歴史研究者にとって正直「わからん」からだというのが実感です。
私自身この問題に関わって一番もどかしいのが、「結局どうやって役所が動いているのかが外から見て全然わからない」というところです。
御厨氏もたしかオーラルヒストリーにこだわる理由として、政策決定過程が公文書などから裏付けが取れないからだということを書かれていたのを見た記憶があります。
だから一般論として「管理をしっかりしてくれ」とは言えるけれども、その先の「どうしたら管理がうまくできるのか」という話でなにか具体的な提言ができるのかというと、どうしてよいかわからないという所なのではないかと思うのですが・・・


それに対する三木さんの答え。

行政がどう動いているのか見えないのは、外の人間なら当たり前。だから何も言えないということではなくて、行政運営の適正化、内部統制が大切なことを言い続けること、公文書管理法が制定されてこれらの改革、改善がどう行われているのかを行政に報告を求めることが、実際に内部で仕事をしていない第三者機関の役割だし、外にいる人の役割だと思いますよ。
何でも具体的な提言でなければダメなのではなくて、何を原則として大切にすべきかということをきっちりと定着させることも、実はとっても大変ということは、情報公開法の教訓でわかっているはず。法制の詳細な技術的議論はありますがけど、実はもっと泥臭いところに問題の根っこがあってそれが変わっていないところがあるので、結局は何が変わって欲しいのかを言い続ける必要もあると思うわけです。


もう、ぐうの音も出ないという感じです。

まだまだ、私も問題がわかっているようで、全然わかってないのだなあと改めて感じる。
どうしても歴史研究者という立場上、現在の行政と対峙している人たちの深刻さを、まだ拾えきれていない。

ただ、今回のやりとりは、私にとって考え方をもう一度整理する良い機会になった。
それに、やはり、異分野同士の意見交流は絶対に必要だと改めて再認識した。

三木さんやまさのさんが深刻に思っていること、私が深刻に思っていることの中心点にはズレがある。
でも、実は話せば両方の意見がつながっていて、どちらも重要だということがわかる。

ツイッターというツールは、そういう意見交換の場としても有用なのだということも今回初めて理解した。

なので、今後もいろいろと意見をぶつけに行ってみたいと思う。
また私もそういう意見をぶつけてもらうことを期待したい。

公文書管理問題に興味を持たれている方は多い。もっと横の連携を強めなくてはと感じる。
何とか、そのつなぎ目として、このブログなどが役に立てばと思う。
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公文書管理委員会第1回資料を読む(下の3)ガイドライン解説(整理) [公文書管理委員会]

公文書管理委員会第1回資料を読む
(上)資料概説
(中)施行令素案
(下の1)ガイドライン素案解説
(下の2)ガイドライン解説(作成)
(下の3)ガイドライン解説(整理)←ここ

前回の続き。資料はこちら。
資料4 行政文書の管理に関するガイドラインの検討素案
 資料4 別表1 行政文書の保存期間基準
 資料4 別表2 保存期間満了時の措置の認定基準

今回は「4 整理」「6 行政文書ファイル管理簿」について。ただし、6は4と関係があるところだけをピックアップするだけです。

第4 整理
1 職員の整理義務
 職員は、下記2及び3に従い、次に掲げる整理を行わなければならない。
(1) 作成又は取得した行政文書について分類し、名称を付するとともに、保存期間及び保存期間の満了する日を設定すること。
(2) 相互に密接な関連を有する行政文書を一の集合物(行政文書ファイル)にまとめること。 (3) (2)の行政文書ファイルについて分類し、名称を付するとともに、保存期間及び保存期間の満了する日を設定すること。
2 分類・名称
 行政文書ファイル等(行政文書ファイル及び単独で管理している行政文書)は、当該行政機関の事務及び事業の性質、内容等に応じて系統的(三段階の階層構造)に分類(別表第1に掲げられた業務については、同表を参酌して分類)し、分かりやすい名称を付さなければならない。
3 保存期間
(1) 文書管理者は、別表第1に基づき、標準文書保存期間基準を定めなければならない。
(2) 1-(1)及び1-(3)の保存期間の設定については、(1)の標準文書保存期間基準に従い、行うものとする。
(3) (1)の基準及び(2)の保存期間の設定においては、歴史公文書等に該当するとされたものにあっては、1年以上の保存期間を定めるものとする。
(4) 保存期間の起算日は、1-(1)の作成・取得を行った日又は1-(2)の行政文書をまとめた日の属する年度の翌年度の4月1日とする。ただし、当該日以外の特定の日を起算日とすることが行政文書ファイル等の適切な管理に資すると文書管理者が認める場合にあっては、当該特定の日とする。この場合において、当該特定の日は、1-(1)の作成・取得を行った日又は1-(2)の行政文書をまとめた日から1年以内の日とする。
(5) 1-(1)及び1-(3)の保存期間の満了する日は、(4)の保存期間の起算日から起算して(2)の保存期間の満了する日とする。


これが規則の例文。
細かい解説は「留意事項」の方で。

<職員の整理義務>
○ 行政機関の各々の職員は、日々作成・取得した行政文書について、相互に密接な関連を有するものを一の集合物(行政文書ファイル)にまとめるとともに、行政文書ファイル等の適切な管理を行うため、一定の基準に従い、分類し名称を付するとともに、保存期間及び保存期間の満了する日を設定しなければならない。


この「相互に密接な関連を有するものを一の集合物」をどう解釈するかがカギになる。
情報公開法との関係があるので、これについては後日、行政透明化検討チームの話を書くときにまとめてみたい。

<分類の意義・方法について>
○ 行政文書を適切に分類することは、必要な文書を迅速に取り出し、事務効率を高めるために重要である。すなわち、検索の手段として行政文書を分類することは、職員の思考の整理と事務の整理に資する。適正な分類なくして、事務の効率化や情報の活用を図ることはできず、最適な意思決定は望めない。このように、行政文書の分類は、事務執行管理の中心に位置づけられるものであり、全職員がこれらの意義を踏まえ、適切に分類に取り組む必要がある。
○ 具体的な分類の方法としては、各々の職員は、自ら現物の行政文書を確認しながら三段階の階層構造の分類を行うものとする。すなわち、①まず、相互に密接な関連を有する行政文書を一の集合物(行政文書ファイル)にまとめて小分類とし、②次にその小分類をまとめて中分類とし、③さらにその中分類をまとめて大分類としていくものとする。
○ 規則別表第1に掲げられた業務については、同表を参酌(併せて、文書管理者が作成する標準文書保存期間基準を参酌)して分類する。


この中で重要なのは「三段階の階層構造」の部分。
この具体例は、第6の行政文書ファイル管理簿の部分に書かれている(25頁)。

この例を一つ挙げると、

大分類・・・「○年度行政文書管理状況報告」
中文類・・・「各省報告」
小分類・・・「内閣官房報告」

となる。

現在、行政文書ファイル管理簿が使えない原因となっているものとして、「ファイル名が曖昧で何が入っているかわからない」ということが挙げられている。
だが、実はこの問題は、「大分類」しか公表されていないということに、大きな理由を負っている。
つまり、元々大分類レベルで書かれるタイトルは、おおざっぱなものになりがちであるから、それを見ても内容がすぐにわかるものではないのだ。(それであっても、おおざっぱにも程がある名前が多すぎるのだが・・・)

今回のガイドラインでは、これを「三段階の階層構造」にすることを明言している。
ということは、内容が表題に出やすい「小分類」も、きちんと管理簿に記載されるということになる。

これはもちろん大歓迎なのだが、懸念すべき点がいくつかある。

一つめは、小分類まで公開されるのかという点。
もちろん管理簿に登載されるということは、一般公開されることが前提になるはず。ただ、どのレベルまでを公開するかはこの文書では必ずしも明言されていないように思う。
公文書管理委員会の議事録がまだ公開されていないからわからないが、きちんと小分類まで公開するという言質は取っておいた方が良いように思う。

二つめは、小分類まで曖昧なタイトルを付けてごまかそうとする動きが出る可能性である。
国民から情報を隠したい場合に、この分類にまで曖昧なタイトルを付けようとするだろう。
情報公開法が制定された際に、国民に見せたくないが故に文書を作らなくなったという話が伝えられている以上、管理簿を機能させるための監視は必要不可欠だと思われる。

なお、先に引用するが、「4 整理」の「留意事項」には次のような記載がある。

<名称の設定について>
○ 第4-1-(1)(法第5条第1項)に基づく、「行政文書」の名称の設定については、当該行政文書の内容を端的に示すような、分かりやすい名称とする。
○ 第4-1-(3)(法第5条第3項)に基づく、「行政文書ファイル」の名称(小分類)の設定については、以下の点に留意する。
① 「行政文書ファイル」や「当該行政文書ファイルに含まれる行政文書」を容易に検索することができるよう、行政文書ファイルの内容を端的に示す(複数の)キーワード(例:「配付資料」(※大分類は「公文書管理有識者会議」、中分類は「第○回会議」)を記載する。
② 特定の担当者しか分からない表現・用語(例:「Yプロジェクト関係文書」「○月○日に電話連絡があった件」「OSP会議の配付資料」)は使用せず、他の職員や一般の国民も容易に理解できる表現・用語とする。
あまり意味をもたない用語(例:「~文書」、「~書類」、「~ファイル」、「~綴り」、「~雑件」、「~関係資料」、「その他~」)はできる限り用いない。


タイトルにわかりやすい用語を使うこと、一般国民も容易に理解できる用語を使うこと、意味のない用語を使わないこと、といったあたりは、私を初めとして、多くの人がずっと口を酸っぱくして言い続けていたことだ。

今回の公文書管理法が機能するかどうかは、この「行政文書ファイル管理簿」がどこまでまともなものになるかということにかかっている。

そもそも情報公開とは、行政の透明性を高めるためのものであり、それは、国民が行政の行ったことを検証するために必要不可欠な制度である。

そして、公文書管理法は、その情報公開のための文書をきちんと管理するための法律である。
「検証」を行うためには、該当文書が「探せない」と意味がない。

今までは管理簿が全く機能していなかったので、行政側がニーズに合わせて「選んで」公開していた。
これではダメなのである。

もっと簡単に文書を見つけることができるようにしなければならない。
そして、それは内部の公務員にとっても、検索にかける時間の短縮になるはずなのだ。


この管理簿の改革の方向性は、ガイドラインを見る限り悪くないと思う。
問題は繰り返すようだが「実効性」である。予算と人員をきちんと配備してほしいと心から思う。

話を戻し、4の「留意事項」の続き。

○ 分類に当たっては、行政文書の枚数や分類の項目数の目途を示すことも考えられる。例えば、紙フォルダを用いる場合は、①小分類は行政文書の枚数にして100枚±50枚程度、②中分類は小分類の項目数にして10項目±5項目程度、③大分類は中分類の項目数にして5項目±3項目程度とするなどである。

これも細かいようだが重要な指摘。
これまで、1つのファイルの中に、簿冊が何百冊あったりするような事例が報告されている。
そういったことは許さないということである。

以下、「留意事項」には具体的なファイリングのやり方が書かれているが、それは省略。

次に「6 行政文書ファイル管理簿」を簡単に。

第6 行政文書ファイル管理簿
1 行政文書ファイル管理簿の調製及び公表
(1) 総括文書管理者は、○○省の行政文書ファイル管理簿について、施行令第11に基づき、文書管理システムをもって調製するものとする。
(2) 行政文書ファイル管理簿は、あらかじめ定めた事務所に備えて一般の閲覧に供するとともに、インターネットで公表しなければならない。
(3) 行政文書ファイル管理簿を一般の閲覧に供する事務所を定め、又は変更した場合には、当該事務所の場所を官報で公示しなければならない。
2 行政文書ファイル管理簿への記載
(1) 文書管理者は、少なくとも毎年度一回、管理する行政文書ファイル等(保存期間が1年以上のものに限る。)の現況について、行政文書ファイル管理簿に記載しなければならない。
(2) (1)の記載に当たっては、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)第5条各号に規定する不開示情報に該当する場合には、当該不開示情報を明示しないようにしなければならない。
(3) 文書管理者は、保存期間が満了した行政文書ファイル等について、国立公文書館等に移管し、又は廃棄した場合は、当該行政文書ファイル等に関する行政文書ファイル管理簿の記載を削除するとともに、その名称、移管日又は廃棄日等について、総括文書管理者が調製した移管・廃棄簿に記載しなければならない。


この「毎年度1回」現況を記載という部分であるが、現在はhirajimukannさんによると、どうやら年度末に一気にデータを打ち込むという状況であるらしい。
つまり、行政文書ファイル管理簿には、リアルタイムで情報が反映されないということが前提となっているということである。
リアルタイムでの反映は、かなりセンシティブな問題が色々とおきそうなので難しいとは思うが、「仮記載」を認めている(17頁)以上、1年1回というのはどうかなと思う。

なお、この「現況について」という部分の解釈はよくわからないので、現在hirajimukannさんに問い合わせ中(→御覧になっていたら、コメント欄への質問にお答えを!)。

この6の「留意事項」については、1カ所だけ取り上げておきます。

○ 「行政文書ファイル管理簿」の主な機能は次のとおりである。
・ 国民と行政機関との情報共有化ツール
・ 行政文書の作成・取得から移管・廃棄までの現況の管理ツール
・ 意思決定の判断材料である情報の検索データベース
・ 行政文書の管理状況の監査及び実地調査等における検証ツール
・ 国立公文書館等への移管予定又は廃棄予定に関するデータベース


この通りに機能する管理簿になってほしいと心から願う。

さて、そのほかに気になることを少しだけ追記。

それは、「大分類」の名称をつける時に、さかのぼってファイル名を直してほしいということである。

行政の継続性というものを考えたときに、例え曖昧なファイル名であったとしても、それが何十年もわたって使われていたケースもあるだろう。
その場合、継続性を優先して「大分類」にその曖昧な名称を使い続けようとする機関が出てくるだろう。

この時に、過去の名称も含めて名称をわかりやすいものに変更することをためらわないでほしいと思う。
また、それを可能にすることを総務省や内閣府は認めてほしい。

本来なら、一度登載したデータの情報を変えることは、改ざんにつながることもあるのでいけないとは思うのだが、変更履歴がわかるようにすれば大丈夫ではないか。
個人的には、現在の曖昧になっているファイル名を全て遡って検証して書き換えを行ってほしいのだが、それをできる労力は各行政機関に残っているとは思えないのでそこまでは要求しない。

だが、できる限り、管理簿を機能させるための手段を尽くしてほしい。
2011年以降に登載された情報しか使えない管理簿であってはやはり困るのだ。
少しずつでも過去にさかのぼって名称の改善ができる余地は作ってほしいと思う。

以上で解説は終わり。

最後に、(下)で取り上げたガイドラインはまだ「素案」である。つまり決定稿ではない。
パブコメも行われるようなので、このガイドラインについても、意見のある人はきちんと表明した方がよいと思う。

結局全5回もかかった。これなら、上中下という名前の付け方をするのではなかったなあ・・・

相変わらず長くなってしまいましたが、今回については引用が多かったのでやむを得ないかなと思っております(^^;)
お読みいただきありがとうございました。
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公文書管理委員会第1回資料を読む(下の2)ガイドライン解説(作成) [公文書管理委員会]

公文書管理委員会第1回資料を読む
(上)資料概説
(中)施行令素案
(下の1)ガイドライン素案解説
(下の2)ガイドライン解説(作成)←ここ
(下の3)ガイドライン解説(整理)

前回の続き。資料はこちら。
資料4 行政文書の管理に関するガイドラインの検討素案
 資料4 別表1 行政文書の保存期間基準
 資料4 別表2 保存期間満了時の措置の認定基準

前回解説しなかった、「3 作成」「4 整理」「6 行政文書ファイル管理簿」を細かく分析します。
3つとも一気にやるつもりだったのですが、書いてみたら「作成」だけでえらい長さになったので、さらに分割します。引用文が長すぎるんだよなあ・・・

第3 作成
1 文書主義の原則
 職員は、文書管理者の指示に従い、法第1条の目的の達成に資するため、○○省における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに○○省の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、文書を作成しなければならない。
2 別表第1の業務に係る文書作成
 別表第1に掲げられた業務については、当該業務の経緯に応じ、同表の行政文書の類型を参酌して、文書を作成するものとする。
3 適切・効率的な文書作成
(1) 文書の作成に当たって反復利用が可能な様式、資料等の情報については、電子掲示板等を活用し職員の利用に供するものとする。
(2) 文書の作成に当たっては、常用漢字表(昭和56年内閣告示第1号)、現代仮名遣い(昭和61年内閣告示第1号)、送り仮名の付け方(昭和48年内閣告示第2号)及び外来語の表記(平成3年内閣告示第2号)により、分かりやすい用字用語で的確かつ簡潔に記載しなければならない。


引用した部分は各行政機関の規則のための例文。「文書主義」を徹底し、意思決定過程もきちんと残すということが明記されている。
さて注目するのは、各行政機関向けに書かれている「留意事項」の部分。
引用が長くなるけど、一つ一つ行きます。

<文書主義の原則>
○ 行政機関の意思決定及び事務事業の実績に関する文書主義については、行政機関の諸活動における正確性の確保、責任の明確化等の観点から重要であり、行政の適正かつ効率的な運営にとって必要である。このため、法第4条に基づき、第3-1において、行政機関の意思決定及び事務事業の実績に関する文書主義の原則を明確にしている。これに基づき作成された文書は「行政文書」となる。
○ 「意思決定に関する文書作成」については、①法第4条に基づき必要な意思決定に至る経緯・過程に関する文書が作成されるとともに、②最終的には行政機関の意思決定の権限を有する者が文書に押印、署名又はこれに類する行為を行うことにより、その内容を当該行政機関の意思として決定することが必要である。このように行政機関の意思決定に当たっては文書を作成して行うことが原則であるが、当該意思決定と同時に文書を作成することが困難であるときは、事後に文書を作成することが必要である。


まず、文書主義がなぜ必要なのかが書かれている。
「効率的な運営」というところもきちんと書かれており、公務員にとっても利益があるという書き方がされている。

気になるのは2番目の部分。
この①②を見ると、読み方によっては、「決裁された文書に関する意思形成過程だけを残せばよい」というように解釈できるように思う。
つまり、これでは「失敗した歴史」は残らないということにならないだろうか。

もちろん、一番下っ端の公務員があれこれと案を出した全てを残さなければならないということはない。
ただ、一定の権限を持つ役職者の所で検討されたものは、例えうまくいかなかったとしても、その文書自体は残す必要があると思うのだ。

例えば、こういうことで気になるのは、ある大規模な公共工事が計画されたが、それが結局地元の反対などで中止になった場合。
もちろん、最初の計画の段階で決裁は受けているはずだから、文書は残ると言えるだろうが、ダメになった瞬間に全部廃棄という話にならんだろううか。
また、外交とかの場においては、内部で検討したけれども、結局交渉が上手くいかなかったということもあると思うのだが、そういったものもきちんと残るのだろうか。
失敗した事例というものを残すのは恥だと思うかもしれないが、そういったミスを記録することもまた将来の行政の効率化には必要なのだと思う。

ただ、この部分の私の読みはやや偏っているかもしれない。失敗していても、計画を遂行する際には決裁を受けていると考えれば、文書はきちんと残るのかもしれない。
ただ、「不安」があるということで指摘した次第。

なお、「事後に文書を作成することが必要」というのは良いとは思うけど、「後からちょっとした説明を残しておけば途中をきちんと残さなくていいんだ」みたいな解釈に取られると困るかなという感じはする。

○ 例えば、法令の制定や閣議案件については、最終的には行政機関の長が決定するが、その立案経緯・過程に応じ、最終的な決定内容のみならず、主管局長や主管課長における経緯・過程について、文書を作成することが必要である。また、法第4条第3号で「複数の行政機関による申合せ・・・及びその経緯」の作成義務が定められているが、各行政機関に事務を分担管理させている我が国の行政システムにおいて、行政機関間でなされた協議を外部から事後的に検証できるようにすることが必要であることから、当該申合せに関し、実際に協議を行った職員の役職にかかわらず、文書の作成が必要である。
○ 「事務及び事業の実績に関する文書作成」については、行政機関の諸活動の成果である事務及び事業の実績を適当と認める段階で文書化することが必要である。例えば、同一日に同一人から断続的に行われた相談への対応について、最後の相談が終了した後に文書を作成することなどが考えられる。


決裁文書だけを残すのではダメだと言うことをかなり強く強調した部分。
局長、課長クラスより下の場合は残さなくても良いと取られそうで気になる。
政策が作られるときは、課長代理クラスが中心なんじゃなかったか?それとも「主管課長」という言い方でそのあたりもカバーできてるのかな?
もうちょっと幅の広げた書き方をした方が良い気もする。

複数の行政機関と協議したものは、職員の役職に関わらず文書を残せというのは良いと思う。こうしておかないと、行政機関によって残る文書が変わってくる可能性がある。

行政機関の職員は、当該職員に割り当てられた事務を遂行する立場で、本条の作成義務を果たす。本作成義務を果たすに際しては、①法第1条の目的の達成に資するため、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるようにすること、②処理に係る事案が軽微なものである場合を除くことについて、適切に判断する必要がある。
各職員が、文書作成に関し上記の判断を適切に行うことができるよう、日常的な文書管理の実施についての実質的な責任者である「文書管理者の指示に従い」、行うこととしている。文書管理者は、法第1条の目的が達成できるよう、個々の文書の作成について、職員に日常的に指示する必要がある。


上の段は繰り返しのように見えるが、「職員は」ということを主語として、現場の職員全てが意識を持つことが重要だと指摘している。
さらに下の段で、文書をきちんと作るように職員を指導せよと書かれている。

これは重要ではあるが、結局ここの実効性がどう担保されるかが重要
今までと仕事のやり方を変えるという意思がないと上手くいかないように思う。
結局は研修の徹底化以外にはないう。地道に改革を進めていくしかないということになるだろう。

○ 「処理に係る事案が軽微なものである場合」は、法第1条の目的を踏まえ、厳格かつ限定的に解される必要がある。すなわち、事後に確認が必要とされるものではなく、文書を作成しなくとも職務上支障が生じず、かつ当該事案が歴史的価値を有さないような場合であり、例えば、所掌事務に関する単なる照会・問い合わせに対する応答、行政機関内部における日常的業務の連絡・打合せなどが考えられる。当該事案が政策判断や国民の権利義務に影響を及ぼすような場合は含まれない。

「軽微」の部分の解釈は公文書管理法を制定される際に大きく問題になっていた。
つまり「軽微」という名でもって、重要な文書をそこに混ぜて捨てるのではないかということだ。
この部分の書き方は、そういった考えを持つ余地を与えないという意味で評価できる。

<別表第1の業務に係る文書作成>
○ 公文書等の管理に関する法律施行令(平成22年政令第○号。以下「施行令」という。)別表においては、一連の業務プロセスに係る文書が同一の保存期間で保存されるよう、法第4条各号により作成が義務付けられている文書など各府省に共通する業務等に関し、当該業務プロセスに係る文書を類型化(ガイドライン別表第1において具体例を記載)した上で、その保存期間基準を定めている。各行政機関においては、ガイドライン別表第1に、各行政機関の事務及び事業の性質、内容等に応じた当該行政機関を通じた保存期間基準を加えて、規則の別表第1とするものとするとされており(15頁参照)、第3-2では、規則別表第1に掲げられた業務については、当該業務の経緯に応じ、同表の行政文書の類型を参酌(併せて、文書管理者が作成する標準文書保存期間基準を参酌。当該業務の経緯に応じて、同表に列挙された行政文書の類型が当てはまらない場合もあり得ることから「参酌」としている。)して、文書を作成することを明確にしている。


長くて()が多いわかりにくい文章だが、ようするに別表第1で、文書の類型化がなされているので、それに合わせて保存期間を定めよという話。
詳しくは別表第1を参照のこと。
私自身はそれほど違和感はないが、作成から数年内の文書を使うような活動をされているかたは、この表はきちんと読み込んだ方が良いかと思う。

<適切・効率的な文書作成>
→省略。

<取得>
○ 文書の取得については、各行政機関の実情に応じ、適宜定めるものとするが、以下のことに留意する必要がある。
「行政文書」の要件である「取得」の時点は、行政機関の職員が実質的に取得した時点で判断されるものであり、必ずしも、受領印の押印や文書管理システムへの登録などの手続的な要件を満たした段階ではない。しかしながら、その一方で、適正な文書管理を確保する観点や、文書が申請である場合、これらを遅滞なく処理する観点(行政手続法(平成5年法律第88号)第7条)から、受領印の押印や文書管理システムへの登録などの受付手続きについては、適切に行う必要がある。
 〔中略〕
委託事業に関し、説明責務を果たすために必要な文書(例:報告書に記載された推計に使用されたデータ)については、委託元の行政機関において適切に取得し、行政文書として適切に管理することが必要である。


「取得」というのは、行政機関が他の民間企業に調査などを委託した際に、その元データを受け取ることを指す。
これまで、高速道路工事などでは、環境アセスなどを業者に委託した場合、結果は行政機関で持っていても、その根拠となるデータは民間業者が持っているために情報公開の対象外となっていた。

今回のこの部分は、その元データも「取得」せよと書いている。
ただ、ここについては、もっと具体例を挙げて述べた方が良いのではないか。これだけだと、やはり結果さえきちんと管理していればOKという解釈の余地を残しているように思う。元データをきちんと取得するとの文面を入れておくべきではないか。

<決裁・進達・施行>
→省略
(以上)

このガイドラインは、「留意事項」をどう読むかに注意をした方が良いと思う。
かなり出来は良いと思うのだが、まだまだ自由な解釈の余地を残しており、厳密に練り上げる必要があるのではないかなと思う。

長くなったので、「整理」の話は次回に。
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公文書管理委員会第1回資料を読む(下の1)ガイドライン素案概説 [公文書管理委員会]

公文書管理委員会第1回資料を読む
(上)資料概説
(中)施行令素案
(下の1)ガイドライン素案解説←ここ
(下の2)ガイドライン解説(作成)
(下の3)ガイドライン解説(整理)

公文書管理委員会の第1回会合が7月15日に行われました。
その資料が公開されたので、この内容について検討してみたいと思います。

今回取り上げるのは、
資料4 行政文書の管理に関するガイドラインの検討素案
 資料4 別表1 行政文書の保存期間基準
 資料4 別表2 保存期間満了時の措置の認定基準
の資料。
これは施行令に基づいて各行政機関で作成される「行政文書管理規則」の指針として作られたものです。文案が提示され、その理念が説明されています。

このガイドラインについては、すでに「お役所最適化計画」のhirajimukannさんが、現場の公務員の立場から詳細なコメントを付けておられますので、そちらもご参考に。→入口

hirajimukannさんがおっしゃっていることを簡単にまとめると

・施行令素案と同時にガイドラインの素案も検討に上げていることは重要。
・ガイドラインの内容は基本的には良いが、その実効性に不安。
→不安要素・・・行政文書の定義がまだ曖昧、システムの不備、人員予算不足、などなど。
・実効性を担保するなら、研修の充実化が必須。


ということである。
これは私も前から述べていることだが、公文書管理は気合いと根性では何もできない。それに見合う予算、人員を投入しない限り、絶対に上手くいかない。
例えば、廃棄や延長をする際に内閣府がチェックすると言っているが、内閣府の公文書管理課の人員は10人。この10人で、中央官庁だけでなく、地方事務所や独法からも流れてくる文書の全てをチェックできるわけがない。

hirajimukannさんは、現場からの声として、今の予算・人員の一律削減を課されている状況では、政治主導でここに資源を投入するというリーダーシップが取られないと、公文書管理法は機能しないのではないかという懸念を表されており、私もこの点は同感である。

さて、以下ではこの資料の解説をします。
ただ、長くなったので、2分割します。

今回はガイドラインの章立てから簡単に述べられる部分を処理し、次回、管理法で最も重要な部分である「作成」と「整理(管理簿)」だけ別に取り上げて述べていこうかと思います。


行政文書の管理に関するガイドラインの検討素案

○ 「行政文書の管理に関するガイドライン」は、各行政機関が適切に行政文書管理規則を制定できるよう、内閣府が各行政機関に対し、指針として示すものです。
○ 各行政機関における行政文書管理規則の制定に当たっては、内閣府への協議とその同意が義務付けられており(公文書管理法第10条)、内閣府の同意に際しては、公文書管理委員会への諮問が必要とされています(同第29条)。
○ このため、委員会における行政文書管理規則の審査を円滑に進めるために、あらかじめ規則の作成指針であるガイドラインについて御審議いただくものです。


これは、資料4の冒頭部に掲げられたものである。
公文書管理法では、施行令だけでなく、各行政機関の「行政文書管理規則」も公文書管理委員会の同意が必要となっている。
そのため、内閣府がその指針として示したのが、このガイドラインということになる。
もちろん、各行政機関がこれに従わずに独自の基準を作るという可能性はあるだろうが、公文書管理委員会を通すことを考えた場合、ほとんどの機関がこのガイドラインに沿って作ることになるだろう。

ということは、このガイドラインは非常に重要な位置を占めることになる。
ここにまずいことが書かれていた場合、これが各行政機関の文書管理の基準になってしまうということだ。
なので、施行令だけでなく、ガイドラインも非常に重要な意味を持つことになる。

それでは目次を見てみよう。

○○省行政文書管理規則
目次
第1 総則
第2 管理体制
第3 作成
第4 整理
第5 保存
第6 行政文書ファイル管理簿
第7 移管、廃棄又は保存期間の延長
第8 点検・監査、管理状況の報告及び研修等
第9 補則


このうち、3、4、6は次回に回し、残りだけさらっと解説します。

第1 総則

行政文書の定義などがなされている。
「組織的に用いるものとして」「保有しているもの」という点は情報公開法と変わっていない。
この点については、情報公開法改正の話に絡めて別の機会に。

hirajimukannさんによれば、導入することと書いてある「文書管理システム」はまだ開発中らしい。
公文書管理法施行によって事務負担が増えれば、重要な文書の作成などが滞るような事態も想定されるので、負担軽減が図れるシステムが導入されることを望みたい。

第2 管理体制

文書管理の責任者をしっかりと置くこと、その権限を明記することを意図した部分。
hirajimukannさんも主張されているが、管理者のことしか書いていないので、せめて「留意事項」の部分に実行部隊をきちんと配置するといったようなことは書かれてよいと思う。

第3 作成
第4 整理
→次回

第5 保存

保存場所、方法、引き継ぎなどについて書かれた部分。
「個人的な執務の参考資料は、共用のファイリングキャビネットや書棚等には置かず、職員各自の机の周辺のみに置くことを徹底する必要がある」(19頁)という記述があるのは、「行政文書」とそうでない「私的文書」を明確に分けろということであろう。

また、これもhirajimukannさんが指摘していることだが、電子文書の保存の長期保存フォーマットについては、内閣府が主導でなんらかの手段を考えるべきである。
細かくは書かないが、要するに今使っているソフトは20年後も有効かはわからない。そのため、ソフトの更新とともにデータのフォーマットも変えていく必要があるということである。

第6 行政文書ファイル管理簿
→次回

第7 移管、廃棄又は保存期間の延長

これは重要なのだが、前回の施行令素案(第9)の解説で書いてしまったことの繰り返しになるので、詳しくはそちらを。

簡単にだけ述べておくと

移管→国立公文書館等へ。
廃棄→内閣府と協議して「同意」を得なければならない。
延長→内閣府へ「報告」しなければならない。

ということになる。「延長」の部分に「報告」義務が発生したので、移管が進むかもしれない。

あと、「国立公文書館の専門的技術的助言を求めることができる」という文章も入ったので、正規のルートで国立公文書館も関与できる余地を残した(ただし「求められないと」できないけど)。

第8 点検・監査、管理状況の報告及び研修等

年1回の点検、監査の義務づけなどである。
これもhirajimukannさんがおっしゃっている通りなのだが、点検や監査をやる担当者の能力(文書管理だけでなく実務にも通じている)とその権限が重要だと思う。
つまり、実効性のあるものでなければ点検・監査は意味がない。

また研修についても、積極的に職員を参加させることを奨励している。
いままであまり文書管理や作成についての明確な指導を受けていない公務員が多い状況の中で、繰り返し研修を行うことは必要不可欠である。
分担管理原則の壁があるので、各行政機関に研修費用を大量に回すためには首相のイニシアティブが不可欠となるだろう。ここの部分は蓮舫行政刷新相の力だけではどうしようもないと思われる。

第9 補則

その他。各行政機関が付け足す部分。

次回は、残った3、4、6を解説します。
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公文書管理委員会第1回資料を読む(中)施行令素案 [公文書管理委員会]

公文書管理委員会第1回資料を読む
(上)資料概説
(中)施行令素案←ここ
(下の1)ガイドライン素案解説
(下の2)ガイドライン解説(作成)
(下の3)ガイドライン解説(整理)

公文書管理委員会の第1回会合が7月15日に行われました。
その資料が公開されたので、この内容について検討してみたいと思います。

今回は資料3 公文書の管理に関する法律施行令(仮称)の検討素案の概要資料3-2 公文書の管理に関する法律施行令(仮称)の検討素案について。

この資料の性格についてはすでに前回書きましたのでそちらをみてほしいのですが、簡単に述べると公文書管理法の細則を決める施行令をどうするかということを並べたものです。
基本的には手続きを淡々と書いているものが多く、また情報公開法の規定をそのまま使っているものもあるので、読めばわかるものがほとんどだと思います。

ただ、これだけは注目しておきたいと思ったのは、8と9の部分。個別に見てみます。

第8 行政文書ファイル等(法第5条第5項に規定する行政文書ファイル等をいう。)の分類、名称、保存期間及び保存期間の満了する日(法第5条第1項及び第3項関係)

第8は行政文書ファイル管理簿の話。

まずで、能率的な事務処理のため、ファイルは「系統的に分類し、分かりやすい名称」を付けることが述べられている。
これまで、「~関係録」みたいな、何が入っているのかよくわからない名称がついていたり、複数のファイルが無理矢理一つのファイル名の中に入れられているということがあった。
そのため、管理簿自体が検索する時の役に立たないという状況が生まれていた。

この施行令では、この点についての改善を求める記述を入れようとしているようだ。
次回述べるが、各行政機関向けの文書でこの具体的な話が記載されている。

では、別表に基づく保存期間に従うことを求めている。この別表が10-20頁に長々と掲載されている。
この別表を見ると、現在の情報公開法の施行令「別表第二」(行政文書の管理に関する定め)にある文書類型と大きな違いがあることがわかる。

情報公開法施行令に掲げられている文書類型のほとんどは「決裁文書」と「帳簿」であった。
つまり、政策決定過程の文書をそもそも残そうという気が全くない類型であった。
一方、今回の公文書管理法施行令の別表を見ていると、その見出しのほとんどに「経緯」という言葉が入っており、ただの「文書」という言葉で書かれているものもたくさんある。
つまり、「決裁文書」だけではなく、その政策決定の経緯を残すことが前提となった類型になっている。

このように変化したのは、公文書管理法第4条の「文書の作成」の所に文書類型を並べたためである。
別表の構成は、第4条の5項にわたる類型と対応して作られている。
この第4条は、最初の政府案では非常に曖昧な文章だったのを、修正で具体的な事項を列記する形に変えたところである。
この修正によって、施行令で官僚がごまかす可能性をつぶしたことはやはり大きかったように思われる。

次にでは、「歴史公文書等」に該当する場合、1年未満の保存期間ではいけないと述べている。
ややわかりにくい文章だけど、要するに、歴史資料として重要な資料となりうるものを、ファイル管理簿に載せなくてよい文書として扱うこと(1年未満)を禁止するということだ。
ファイル管理簿に載せなくて良いということは、勝手に廃棄可能というものになる。
そういったごまかしは認めませんという釘をさしたものだと考えて良いだろう。

4、5は保存期間の数え方の問題なので省略。

この第8で述べていることは、「いま作られる文書の管理がきちんとなされていないと何も残らないよ」ということである。
この項目の実効性がどこまで担保されるか、それが公文書管理法の最もカギになる部分だと思う。


次に、9の話。

第9 保存期間及び保存期間の満了する日の延長(法第5条第4項関係)

これは、保存期間の延長の話。
情報公開法では、30、10、5、3、1、1年未満という分類があり、「永久保存」という期間は設定できなくなっている。
しかし、保存期間の延長が簡単にできてしまうため、各行政機関で事実上の「永久保存」になっている文書がかなりの量存在することがわかっている。
例えば、宮内庁では明治時代の文書までが「現在使用している文書」として庁内に留め置かれている。

まずでは「延長しなければならない」場合を列挙してある。これは情報公開法施行令第16条第6項に書かれているものをそのまま写してあるだけ。
要するに係争中(裁判とか)である文書は延長して保管せよということである。

そしてでは延長するための手続きを書いている。この部分が今回の施行令で一番驚いた部分。

「保存期間が満了した行政文書ファイル等について、職務の遂行上必要があると認めるときには、一定の期間を定めて当該保存期間を延長することができる。この場合において、行政機関の長は、当該延長後の期間及び当該延長の理由を、法第9条第1項の規定に基づき、内閣総理大臣に報告しなければならない。

さらに3では「第9-2の期間は、その必要性を検討し、必要最小限のものとすること。とクギが刺さっている。

公文書管理法第5条第4項では「延長することができる」というだけが書いてあって、特にその延長に「内閣総理大臣の報告が必要」とは書かれていない。
だが、廃棄には内閣総理大臣の同意が必要になった(第8条第2項)ため、「廃棄」と「延長」の手続きの整合性を取る必要が出たのだろう。
そのため、施行令で「延長」も「内閣総理大臣への報告義務」を課されることになった。

これは歴史研究者にとって非常に大きい。
なぜなら、情報公開法で現役の文書を請求する時と、公文書館に移管されて歴史資料になった文書とでは公開基準が違うからだ。
情報公開法での情報不開示の基準は、歴史資料における不開示の基準よりも遙かに厳しい。特に公安・外交関係の情報の開示基準には相当に差がある。
そのため、公文書館に移管すれば全面開示されるようなものも、情報公開では開示されないケースがある。

今回のこの条文は、延長するためには相応の理由を第3者に説明する義務を課すことになる。つまり安直な延長は認められなくなるということである。
これによって、古い文書の公文書館への移管が進むかもしれない。

また、各行政機関への説明資料である資料4の別表2には次のような文面が含まれている。

「昭和27年度までに作成・取得された文書については、日本国との平和条約(昭和27年条約第6号。いわゆる「サンフランシスコ平和条約」)公布までに作成・取得された文書であることから〔中略〕原則として移管するものとする。」(資料4別表2、69頁)

つまりこれによって、1952年(昭和27年)以前の文書は原則移管とすることとなる。
これは、永久保存文書化を防ぐと同時に、「廃棄」を止めるためのものであると思われる。
現在各行政機関で保管されている1952年以前の文書は全て重要文書と見なすというものであり、各行政機関が都合が悪いからといって機関内に隠してきた文書であったとしても、それを勝手に捨てることは許されないということである。


上記してきた8と9は、今回の施行令の中核の部分にあたるところである。
私見では、この部分で何か骨抜きにされるようなことはなされていないようなので、今のところ内閣府公文書管理課は頑張って仕事をしていると評価できるように思う。

なお、もし他の部分で施行令について不明点などありましたら、コメント欄でもツイッターでも質問してくだされば、できるかぎりお答えいたします。

次回は各行政機関に出されたガイドラインについて書いてみます。

追記(7/26)
施行令の全文解説については、施行令の原案が出たときに改めて解説しようかと思います。
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公文書管理委員会第1回資料を読む(上)資料概説 [公文書管理委員会]

公文書管理委員会第1回資料を読む
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(中)施行令素案
(下の1)ガイドライン素案解説
(下の2)ガイドライン解説(作成・整理)
(下の3)ガイドライン解説(整理)

公文書管理委員会の第1回会合が7月15日に行われました。
その資料が公開されたので、この内容について検討してみたいと思います。

まず今回は、配付資料の紹介について。

資料1 委員名簿

委員の名簿。委員の紹介についてはすでに書いているのでそちらを参照。
この名簿には記載されてないが、こちらの名簿によると、委員長は御厨貴氏、委員長代理が三輪眞木子氏。

資料2 公文書管理委員会運営規則(案)

委員会の運営規則。
この第4条には委員会の公開、第5条には議事録の公開が記載されている。

資料3 公文書の管理に関する法律施行令(仮称)の検討素案の概要
 資料3-2 公文書の管理に関する法律施行令(仮称)の検討素案

公文書管理法の施行令に関する素案。3が概要で3-2が詳細な案。
これは概要がわかりやすいので、この中で気になるものがあれば3-2をみたら良いのではないか。
この内容については次回に詳しく述べる予定。

資料4 行政文書の管理に関するガイドラインの検討素案
 資料4 別表1 行政文書の保存期間基準
 資料4 別表2 保存期間満了時の措置の認定基準

4は施行令に基づいて各行政機関で作成される「行政文書管理規則」の指針として作られたもの。文案が提示され、その理念が説明されている。
公文書管理法の詳細な解説にもなっており、内閣府公文書管理課の意欲が見える文書。
おそらくこの文案から離れたものを各行政機関が作ることは難しくなるだろう。

別表1は資料3-2の施行令の別表のさらに細かくしたもの。
文書の保存期間の基準が書かれたものであるが、実際には「どのような文書を作らなければならないか」という基準を示したもの。
別表2は、別表1に上げられた文書のうち、期限が切れたときに「移管」「廃棄」すべきか否かを明示したもの。

歴史研究者の目から見ると主要な文書は明確に移管されることが明記されているように見えるが、行政学など直近に作成された文書を使いたいような人は、この別表1と2はきちんと見た方が良いと思う。
この表で、保存期間と移管廃棄が確定すると思われるので、「この文書の廃棄はまずい」みたいなことがあるならきちんと声を上げた方が良いと思う。

この資料4の内容については次々回に書く予定。

資料5 有識者会議報告書と検討素案との整理表

上記の資料3-2、4と、公文書管理法と、昨年の管理法制定のために作られた「公文書管理の在り方等に関する有識者会議」最終報告書の内容を比較したもの。
はっきり言って見にくい。これだけを見て内容がきちんと理解できるとは正直思えない。
挙げた資料を全部読んだ上で比較のために見ると役に立つかもしれない。

ただ、有識者会議の報告書を生かそうとするその心意気は買いたい。

資料6 委員提出検討資料
 資料6-1 御厨委員
 資料6-2 杉本委員
 資料6-3 三宅委員

委員が自分でレジュメを切ってきたもの。
御厨氏のものは、主要な論点について釘を刺すもの。
杉本氏のものは、電子文書問題などを中心として、さまざまな論点を提示したもの。
三宅氏のものは、情報公開法改正のための行政透明化検討チームの座長だけあって、そちらとの整合性への注意を喚起したもの。
ちなみに三宅氏の挙げた2(1)のパブコメで引用されている話は、私が書いたものから引っ張って来られたみたいなのでありがたい(私だけが主張していたわけではないが)。

資料7 公文書管理法施行に関する想定スケジュール等

管理法施行までのスケジュール。
これを見ると、施行令のパブコメ募集は9月。
8月31日に委員会の第2回の会合があるとのことですから、その直後にパブコメの募集が開始されるのではないかと思います。
そして施行令は10月に公布
その後、各府省規則の案が出て、それを11月に公文書管理委員会で審査ということのようです。

パブコメと施行令の公布までの時間が短いので、事実上パブコメは「聞き置く」レベルなのでしょうね。でも、言いたいことがある人は準備しておいた方が良いかと思います。

国立公文書館等(宮内庁書陵部、外交史料館など)の利用規則等については、8月に内閣府からのガイドラインが出るということのようですから、次回の会議で明らかになると思います。
そして施行は来年4月1日で確定ですね。施行令素案にも書き込まれていました。

資料の解説は以上です。
関心のある方は、資料3(+3-2)と資料4に目を通すのが良いかと思います。
公文書を利用する側の人は、資料4の別表1,2は必見です。


次回は、資料3-2の解説をしてみようかと思います。
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公文書管理委員決定 [公文書管理委員会]

昨日公文書管理委員が任命された。産経新聞の記事より。

公文書管理委員に御厨氏ら
2010.7.6 17:59 産経新聞

 内閣府は6日、公文書管理に関する統一ルールを定めた公文書管理法に基づき新設した公文書管理委員会委員に御厨貴東大教授ら計7人を任命した。同法は平成21年6月に成立。政府は23年4月施行を目指している。ほかの委員は以下の通り。(敬称略)

 石原一則神奈川県立公文書館資料課長▽三輪真木子放送大教授▽杉本重雄筑波大大学院教授▽野口貴公美中央大教授▽東大大学院教授加藤陽子▽三宅弘弁護士

メンバーを見ると

歴史学・・・御厨、加藤
図書館情報学・・・三輪、杉本
アーカイブズ・・・石原
行政法・・・野口、三宅

という分布図であろうか。

歴史学から2名入ったのは意外。代わりに行政学がいないのはどうかと思う。
加藤氏は公文書管理法ができるときの有識者会議から引き続きの登用で、これは予想通り。
御厨氏が意外な人選だったが、たしかに近年資料保存関係のことで発言していることは多かった。資料公開には基本的に賛成の立場だったと記憶しているので、抵抗勢力のようなことにはならないと思う。

図情の二人はデジタルアーカイブズ関係で入ったっぽい。詳しくは私もよくはわからないが、三輪氏はデータベース論、杉本氏は電子図書館などを良く取り上げている。

石原氏はサプライズか。国の公文書管理委員会が地方の一官僚を選ぶのは珍しいのでは。
神奈川県立公文書館の経験からすれば石原氏は選ばれてしかるべき人だとは思うが。自らの地位に縛られずに発言をしてほしいと心から願いたい。

行政法の野口氏は米国の情報公開法などに詳しい。加藤氏と同じく有識者会議からの起用。
三宅氏は情報公開運動の重鎮。この人が入ってくれたのはありがたい。おそらく情報公開法改正との関わりもあるだろう。

正直言ってもっと行政法関係者が入るのかと思っていた。特に宇賀克也氏が外れたのは私には意外。日本国内の情報公開法に詳しい学者が入っていないというのはややどうかなあという感じがする。
ただ、いずれにしろ7名でどこまでできるのか、監視の役割や不服申し立てへの対応なども含め、結構大変なのではないかと思う。

第1回の公文書管理委員会が7月15日にあるようです。傍聴もできるようです。
http://www8.cao.go.jp/koubuniinkai/nagare/pdf/annai1.pdf

しかし申し込みがFAXだけとはいかに?なんでメールとかじゃダメなのかがわからないなあ。
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