公文書管理委員会第14回配付資料を読む [2012年公文書管理問題]
公文書管理委員会の第14回が2012年2月29日に行われました。
議題は「東日本大震災に対応するために設置された会議等の議事内容の記録(議事録・議事概要)」がきちんとつくられていなかったことについてのヒヤリング結果の報告。
委員会には毎回傍聴に行っていたのだが、ここ2回は傍聴を前日になって募集するという形であったために、気づくのが遅れて聞きに行けなかった。
さしあたり配付資料から見た感想を書き残しておきたい。
配付資料は以下の通り。下記のページからダウンロードできます。
http://www8.cao.go.jp/koubuniinkai/iinkaisai/2011/20120229haifu.html
資料1-1 「原子力災害対策本部会議」に関するヒアリング結果 [PDF:173KB]
資料1-2 「政府・東京電力統合対策室」に関するヒアリング結果 [PDF:141KB]
資料1-3 「緊急災害対策本部」に関するヒアリング結果 [PDF:152KB]
資料1-4 「被災者生活支援チーム」に関するヒアリング結果 [PDF:158KB]
資料1-5 「緊急参集チーム」に関するヒアリング結果 [PDF:166KB]
資料1-6 「電力需給に関する検討会合」に関するヒアリング結果 [PDF:167KB]
資料2 ヒアリングを行わなかった会議等に対する照会結果 [PDF:120KB]
資料3 検討ポイントについて(委員長提出資料) [PDF:51KB]
これを見ると、ヒヤリングを行ったのは議事概要・議事録を作っていなかった(部分的にしかなかった)5会議と、概要はあった「官邸緊急参集チーム」の1会議となる。
なぜ、「官邸緊急参集チーム」が付け足されているのかは資料だけでは不明である。
残りの9会議については、資料2で照会結果が記載されている。
気づいた点として4つ挙げておきたい。
1.「意思決定を行っている会議か否か」で話を分けようとしている。
資料2を見てすぐに気づくのだが、その会議が「意思決定を行っているか否か」が明記されている。
これはヒヤリング結果もそうなので、そこが「論点」であると認識されているということだろう(内閣府公文書管理課の意思か?)。
そして、この点が「言い訳」に使われている。
例えば、資料1-2の政府・東京電力統合対策室は「議事録が未作成の理由は、本会議は情報共有が主な目的であるため議事概要で十分との認識だった」と述べているし、1-4の被災者生活支援チームは「決定又は了解を行う会議体ではない」としてその業務を列記し、議事概要を作らなかったことを正当化している。
つまり、「意思決定を行っていないので議事概要すらも必要ない」と考えていたということだ。
そこで、もう一度公文書管理法第4条を考えてみる。
第四条 行政機関の職員は、第一条の目的の達成に資するため、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、次に掲げる事項その他の事項について、文書を作成しなければならない。
一 法令の制定又は改廃及びその経緯
二 前号に定めるもののほか、閣議、関係行政機関の長で構成される会議又は省議(これらに準ずるものを含む。)の決定又は了解及びその経緯
(以下略)
注目は第2号にある「決定又は了解及びその経緯」を残せというところである。
つまり、各会議の担当官が言い訳に使っているのは、「決定又は了解」をする会議ではないから、その経緯については残す義務はないということである。
だが、この言い訳はあきらかにおかしい。
彼らの論理は「その会議で意思決定をしていたか否か」に話が矮小化されている。
でも、この第4条には、意思決定の過程を「第一条の目的の達成に資するため」(国民への説明責任のため)に残さなければならないと書かれているわけであり、「個別の会議に限定」して意思決定を残せと言っているわけではない。
今回やり玉に挙がっている会議は、「政府の政策決定」に関わって開催されていた会議であり、情報の共有を行う会議であったとしても「何を共有したのか」は当然政府の意思決定過程に含まれる。
だから、個別の会議が「意思決定を行っていない」ということが、すぐに記録を残す義務が存在しないということにはならないのだ。
追記3/7
この点については、当日傍聴されていた情報公開クリアリングハウスの三木由希子さんが、もっと鋭い解説を書かれています。そちらを参照のこと。
「第14回公文書管理委員会 感想」
http://johokokai.exblog.jp/17600479/
2.私的メモの存在と議事概要
資料1-1によれば、原子力災害対策本部は「出席者による議事メモ、記録等は存在しているが、本部として確認された議事概要は未作成」なのだそうだ。
これは、前のブログで書いたように、行政文書に登録していない「私的メモ」としての概要は残っていたということを裏付ける。
また、1-3の緊急災害対策本部でも「会議の内容のメモは作成し、職員間で共有していた」とあり、本来ならば行政文書でなければならない文書(組織的に共有されている)が登録されず、私的メモにとどめられていたということが明らかになった。
特に、緊急災害対策本部は「このメモ、会議の配布資料、大臣発言要領、進行メモ等により議事概要を作成し、現在、関係者に最終確認を取っている」とも話しており、要するに職員で共有したものと「議事概要」は別であるという認識をしていることがわかる。
別に議事概要が作られても構わないが、そもそもとして「組織的に共有」された段階で、その文書は「行政文書」だということがわかっているのかが怪しい。
なお余談だが、資料1-1で原子力災害対策本部が「議事録作成」の義務を負っていたことが明らかになった。
「原子力災害対策マニュアル」によれば、「議事録作成」が職務の中に入っているという。
つまり、原子力災害対策本部については、公文書管理法施行以前から議事録を作る義務が存在していたのだ。
3.録音問題
会議を録音するか否かについて、マスメディアや前回の委員会でも話題に出ていたので、ヒヤリングの際に担当者にどう考えるかを聞いている。
その中で大きな問題として上がっているのは「設備の問題」である。
多数の人が参加しているのでICレコーダーでは不十分であり、録音機能付きマイクの事前設備が必要だとの指摘が非常に多い。
なお、岡田副総理が言っていたような「録音すると自由な発言が妨げられる」というような意見は少なく、むしろ「会議出席者の意向によるところが大きい」などという発言もあるように「政府全体の方針の検討が必要」という意見が多い。
つまり、「録音すると政治が決めたならそれに従うよ」という主張に読める。
もちろん実際に録音が行われることになったときにどう官僚が対応するかはわからないが・・・
この点については、公文書管理委員会が方針を決めればよいということなのだろう。
録音設備を早急に揃えることは、「やる気になれば」たいしたことではないはずだ。
ただ、1点気になるのは、資料1-5で緊急参集チームが「官邸危機管理センターにおいては、事案対処等に関する情報及びセンターの設備、業務内容等に関する情報の漏出を防ぐため、原則として録音が禁止されている」と話していること、資料1-6の電力需給に関する検討会合が「会議を行う場所によっては、業者の立ち入りができない場所、全大臣の前にレコーダーを設置することが困難な場所もある」と話していることである。
官邸の危機管理センターには録音設備が無いのだろうか。
また「業者の立ち入りができない場所」というのは「機密保持の問題」(業者がスパイの可能性がある?)ということだろうか。
ただ、緊急参集チームの言っている「機密保持」と「録音」の間には論理の飛躍がある。
機密保持の観点から参加者が勝手に録音をすることが禁じられているのは理解できるが、主催している事務局が録音しないことの理由にはならない。
事務局が録音したデータを機密として厳重に管理すれば良い話であり、そもそも録音しないということの理由にはならないのだ。
いずれにしろ、このあたりは公文書管理委員会できちんと議論がなされた上で、政府の側もきちんとした方針を立てる必要があると思われる。
4.議事録作成
議事録作成についての意見も各担当に聞いている。
この回答の中で気になるのは、資料1-6の電力需給に関する検討会合の「会議の全ての出席者の承諾を得て会議内容を録音した上で逐語の議事録を作成し、事後に出席した全てのメンバーにその内容を確認し、了解を得ることは、多忙を極める閣僚が多く出席する会合においては困難なのではないか。また、録音した議事内容を全て文書に起こす作業も含め、担当者がこれらの全てを行う場合、そのコストが高いと考える」という発言である。
これに類する発言は、他の会議からも複数見られる。
確かに、議事録の作成は手間がかかるのは間違いない。
特に、問題とされているのは「閣僚本人への議事録の確認」というところだろう。つまり、多忙な閣僚に自分の発言を確認してもらう時間があるのかという点である。
これについては、「議事録の作り方」自体を変える必要があるのではないか。
つまり、出席者に確認を取るのではなく、録音から担当者が整理したものを「議事録」とすればよいのではないかということだ。
そうなると、「自分はそんなことを言っていない!」とか言い出す人もいるだろうから、録音をセットにして残しておけばよいのだ。
つまり、現在の議事録作成の手順を元にしているから「議事録作成は面倒」ということになるのであり、むしろ手間をかけずに議事録を作成する方法を考えればよい。
例えば、内容確認は本人でなくてもその代理人(同席していた官僚や秘書官)でも構わないとするとか。
また、会議が継続的に行われているのであれば、次の会議の時に出席者に配布して、その場で了解を取るとかだって構わないのではないか。
議事録作成の省力化を検討しないと、結局は「面倒な業務が増えただけ」ということになりかねず、また未作成問題が起きる可能性が高まる。
以上が気になったところだが、では解決策としてどうすればよいのか。
私見を簡単に述べると、
①会議の重要度に応じて記録の取り方を明確にする。
会議の重要度や方式に応じて
・録音+議事録
・録音+議事概要(詳細)
・議事概要(簡略)
といったようなレベルを決めておけばよい。
また、議事概要もある程度議論の内容がわかるような細かい概要か、現在「議事概要」と言われて公開されているような箇条書き程度で良いのか、あたりも明確にしたほうがよい。
②録音設備を設置する。
重要な会議を行うための部屋に録音設備を揃える。
特に官邸については、どの会議室にも録音設備を完備する。
機密保持については厳密にする(録音する手続きをきちんと定める)。
③議事録作成方法を見直す
議事録作成の際にどこまで確認を求めるのかは明確にした方がよい。
それに合わせて録音も保存することも考えておく。
④公文書管理法の趣旨の徹底
私的メモの問題もそうだが、今回の問題は公文書管理法の趣旨があまりにも理解されていなかったことに原因がある。
ヒヤリング結果に「公文書管理法の周知状況」という項目があるが、基本的にはガイドラインをメールで送ったとかいったレベル(研修に行っているのは文書管理担当者ぐらい?)であり、それで「全ての職員に理解されているものと認識している」と書かれても説得力がない。
私は自分の本でも書いてるし、ブログでも良く書いているが、公務員の働き方そのものを変えないと公文書管理法には対応できないはずであり、メールで内容を知らせた程度で何とかなるものではないのだ。
これまでのように、「自分たちの仕事に必要な書類しか作らないし残さない」ではダメなのだ。説明責任を果たすために文書を作成し残さなければならないのだ。
少なくとも、全職員に対して研修を行うぐらいのことはやらなければならない。
それでもおそらく不十分だと思うぐらいなのだから。
他にも書きたいことが出てきそうですが、とりあえずいま思いついたことを残しておきます。
あとで何か付け足すかもしれません。
議題は「東日本大震災に対応するために設置された会議等の議事内容の記録(議事録・議事概要)」がきちんとつくられていなかったことについてのヒヤリング結果の報告。
委員会には毎回傍聴に行っていたのだが、ここ2回は傍聴を前日になって募集するという形であったために、気づくのが遅れて聞きに行けなかった。
さしあたり配付資料から見た感想を書き残しておきたい。
配付資料は以下の通り。下記のページからダウンロードできます。
http://www8.cao.go.jp/koubuniinkai/iinkaisai/2011/20120229haifu.html
資料1-1 「原子力災害対策本部会議」に関するヒアリング結果 [PDF:173KB]
資料1-2 「政府・東京電力統合対策室」に関するヒアリング結果 [PDF:141KB]
資料1-3 「緊急災害対策本部」に関するヒアリング結果 [PDF:152KB]
資料1-4 「被災者生活支援チーム」に関するヒアリング結果 [PDF:158KB]
資料1-5 「緊急参集チーム」に関するヒアリング結果 [PDF:166KB]
資料1-6 「電力需給に関する検討会合」に関するヒアリング結果 [PDF:167KB]
資料2 ヒアリングを行わなかった会議等に対する照会結果 [PDF:120KB]
資料3 検討ポイントについて(委員長提出資料) [PDF:51KB]
これを見ると、ヒヤリングを行ったのは議事概要・議事録を作っていなかった(部分的にしかなかった)5会議と、概要はあった「官邸緊急参集チーム」の1会議となる。
なぜ、「官邸緊急参集チーム」が付け足されているのかは資料だけでは不明である。
残りの9会議については、資料2で照会結果が記載されている。
気づいた点として4つ挙げておきたい。
1.「意思決定を行っている会議か否か」で話を分けようとしている。
資料2を見てすぐに気づくのだが、その会議が「意思決定を行っているか否か」が明記されている。
これはヒヤリング結果もそうなので、そこが「論点」であると認識されているということだろう(内閣府公文書管理課の意思か?)。
そして、この点が「言い訳」に使われている。
例えば、資料1-2の政府・東京電力統合対策室は「議事録が未作成の理由は、本会議は情報共有が主な目的であるため議事概要で十分との認識だった」と述べているし、1-4の被災者生活支援チームは「決定又は了解を行う会議体ではない」としてその業務を列記し、議事概要を作らなかったことを正当化している。
つまり、「意思決定を行っていないので議事概要すらも必要ない」と考えていたということだ。
そこで、もう一度公文書管理法第4条を考えてみる。
第四条 行政機関の職員は、第一条の目的の達成に資するため、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、次に掲げる事項その他の事項について、文書を作成しなければならない。
一 法令の制定又は改廃及びその経緯
二 前号に定めるもののほか、閣議、関係行政機関の長で構成される会議又は省議(これらに準ずるものを含む。)の決定又は了解及びその経緯
(以下略)
注目は第2号にある「決定又は了解及びその経緯」を残せというところである。
つまり、各会議の担当官が言い訳に使っているのは、「決定又は了解」をする会議ではないから、その経緯については残す義務はないということである。
だが、この言い訳はあきらかにおかしい。
彼らの論理は「その会議で意思決定をしていたか否か」に話が矮小化されている。
でも、この第4条には、意思決定の過程を「第一条の目的の達成に資するため」(国民への説明責任のため)に残さなければならないと書かれているわけであり、「個別の会議に限定」して意思決定を残せと言っているわけではない。
今回やり玉に挙がっている会議は、「政府の政策決定」に関わって開催されていた会議であり、情報の共有を行う会議であったとしても「何を共有したのか」は当然政府の意思決定過程に含まれる。
だから、個別の会議が「意思決定を行っていない」ということが、すぐに記録を残す義務が存在しないということにはならないのだ。
追記3/7
この点については、当日傍聴されていた情報公開クリアリングハウスの三木由希子さんが、もっと鋭い解説を書かれています。そちらを参照のこと。
「第14回公文書管理委員会 感想」
http://johokokai.exblog.jp/17600479/
2.私的メモの存在と議事概要
資料1-1によれば、原子力災害対策本部は「出席者による議事メモ、記録等は存在しているが、本部として確認された議事概要は未作成」なのだそうだ。
これは、前のブログで書いたように、行政文書に登録していない「私的メモ」としての概要は残っていたということを裏付ける。
また、1-3の緊急災害対策本部でも「会議の内容のメモは作成し、職員間で共有していた」とあり、本来ならば行政文書でなければならない文書(組織的に共有されている)が登録されず、私的メモにとどめられていたということが明らかになった。
特に、緊急災害対策本部は「このメモ、会議の配布資料、大臣発言要領、進行メモ等により議事概要を作成し、現在、関係者に最終確認を取っている」とも話しており、要するに職員で共有したものと「議事概要」は別であるという認識をしていることがわかる。
別に議事概要が作られても構わないが、そもそもとして「組織的に共有」された段階で、その文書は「行政文書」だということがわかっているのかが怪しい。
なお余談だが、資料1-1で原子力災害対策本部が「議事録作成」の義務を負っていたことが明らかになった。
「原子力災害対策マニュアル」によれば、「議事録作成」が職務の中に入っているという。
つまり、原子力災害対策本部については、公文書管理法施行以前から議事録を作る義務が存在していたのだ。
3.録音問題
会議を録音するか否かについて、マスメディアや前回の委員会でも話題に出ていたので、ヒヤリングの際に担当者にどう考えるかを聞いている。
その中で大きな問題として上がっているのは「設備の問題」である。
多数の人が参加しているのでICレコーダーでは不十分であり、録音機能付きマイクの事前設備が必要だとの指摘が非常に多い。
なお、岡田副総理が言っていたような「録音すると自由な発言が妨げられる」というような意見は少なく、むしろ「会議出席者の意向によるところが大きい」などという発言もあるように「政府全体の方針の検討が必要」という意見が多い。
つまり、「録音すると政治が決めたならそれに従うよ」という主張に読める。
もちろん実際に録音が行われることになったときにどう官僚が対応するかはわからないが・・・
この点については、公文書管理委員会が方針を決めればよいということなのだろう。
録音設備を早急に揃えることは、「やる気になれば」たいしたことではないはずだ。
ただ、1点気になるのは、資料1-5で緊急参集チームが「官邸危機管理センターにおいては、事案対処等に関する情報及びセンターの設備、業務内容等に関する情報の漏出を防ぐため、原則として録音が禁止されている」と話していること、資料1-6の電力需給に関する検討会合が「会議を行う場所によっては、業者の立ち入りができない場所、全大臣の前にレコーダーを設置することが困難な場所もある」と話していることである。
官邸の危機管理センターには録音設備が無いのだろうか。
また「業者の立ち入りができない場所」というのは「機密保持の問題」(業者がスパイの可能性がある?)ということだろうか。
ただ、緊急参集チームの言っている「機密保持」と「録音」の間には論理の飛躍がある。
機密保持の観点から参加者が勝手に録音をすることが禁じられているのは理解できるが、主催している事務局が録音しないことの理由にはならない。
事務局が録音したデータを機密として厳重に管理すれば良い話であり、そもそも録音しないということの理由にはならないのだ。
いずれにしろ、このあたりは公文書管理委員会できちんと議論がなされた上で、政府の側もきちんとした方針を立てる必要があると思われる。
4.議事録作成
議事録作成についての意見も各担当に聞いている。
この回答の中で気になるのは、資料1-6の電力需給に関する検討会合の「会議の全ての出席者の承諾を得て会議内容を録音した上で逐語の議事録を作成し、事後に出席した全てのメンバーにその内容を確認し、了解を得ることは、多忙を極める閣僚が多く出席する会合においては困難なのではないか。また、録音した議事内容を全て文書に起こす作業も含め、担当者がこれらの全てを行う場合、そのコストが高いと考える」という発言である。
これに類する発言は、他の会議からも複数見られる。
確かに、議事録の作成は手間がかかるのは間違いない。
特に、問題とされているのは「閣僚本人への議事録の確認」というところだろう。つまり、多忙な閣僚に自分の発言を確認してもらう時間があるのかという点である。
これについては、「議事録の作り方」自体を変える必要があるのではないか。
つまり、出席者に確認を取るのではなく、録音から担当者が整理したものを「議事録」とすればよいのではないかということだ。
そうなると、「自分はそんなことを言っていない!」とか言い出す人もいるだろうから、録音をセットにして残しておけばよいのだ。
つまり、現在の議事録作成の手順を元にしているから「議事録作成は面倒」ということになるのであり、むしろ手間をかけずに議事録を作成する方法を考えればよい。
例えば、内容確認は本人でなくてもその代理人(同席していた官僚や秘書官)でも構わないとするとか。
また、会議が継続的に行われているのであれば、次の会議の時に出席者に配布して、その場で了解を取るとかだって構わないのではないか。
議事録作成の省力化を検討しないと、結局は「面倒な業務が増えただけ」ということになりかねず、また未作成問題が起きる可能性が高まる。
以上が気になったところだが、では解決策としてどうすればよいのか。
私見を簡単に述べると、
①会議の重要度に応じて記録の取り方を明確にする。
会議の重要度や方式に応じて
・録音+議事録
・録音+議事概要(詳細)
・議事概要(簡略)
といったようなレベルを決めておけばよい。
また、議事概要もある程度議論の内容がわかるような細かい概要か、現在「議事概要」と言われて公開されているような箇条書き程度で良いのか、あたりも明確にしたほうがよい。
②録音設備を設置する。
重要な会議を行うための部屋に録音設備を揃える。
特に官邸については、どの会議室にも録音設備を完備する。
機密保持については厳密にする(録音する手続きをきちんと定める)。
③議事録作成方法を見直す
議事録作成の際にどこまで確認を求めるのかは明確にした方がよい。
それに合わせて録音も保存することも考えておく。
④公文書管理法の趣旨の徹底
私的メモの問題もそうだが、今回の問題は公文書管理法の趣旨があまりにも理解されていなかったことに原因がある。
ヒヤリング結果に「公文書管理法の周知状況」という項目があるが、基本的にはガイドラインをメールで送ったとかいったレベル(研修に行っているのは文書管理担当者ぐらい?)であり、それで「全ての職員に理解されているものと認識している」と書かれても説得力がない。
私は自分の本でも書いてるし、ブログでも良く書いているが、公務員の働き方そのものを変えないと公文書管理法には対応できないはずであり、メールで内容を知らせた程度で何とかなるものではないのだ。
これまでのように、「自分たちの仕事に必要な書類しか作らないし残さない」ではダメなのだ。説明責任を果たすために文書を作成し残さなければならないのだ。
少なくとも、全職員に対して研修を行うぐらいのことはやらなければならない。
それでもおそらく不十分だと思うぐらいなのだから。
他にも書きたいことが出てきそうですが、とりあえずいま思いついたことを残しておきます。
あとで何か付け足すかもしれません。
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