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宮内公文書館の現状 [2011年公文書管理問題]

29日に宮内庁書陵部宮内公文書館に資料を見に行ってきた。
この体験から、公文書管理法施行後の宮内公文書館について私見を述べておきたい。

【閲覧場所】

以前の書陵部1階にあった閲覧室は図書寮文庫専門となり、地下にある会議室の一角が宮内公文書館として使われるようになった。
デジカメ用の撮影台が一つだけある。複数の閲覧者がいると困るので、もう一台あるといいかなあと思う。

あとこれまでコンセントを貸してくれなかったのに、机に常備されるようになってた。
前使っていた図書寮文庫の方はどうなったんだろうか?まだパソコンはバッテリーだけで耐えろという世界なのだろうか。
まあこれは時代の流れとして当然あってしかるべきサービスだと思うけど。

【資料開示の速度】

遅い。
前から遅かったが、今回は請求してから開示まで4ヶ月。
簿冊は13冊だったが、全部ではなく、そのうちの一部分(それ以外は未精査で構わないと伝えていた)。

公文書管理法施行以前に被覆されて見れなかった文書を重点的に請求したので、対応に慎重さが求められたのではあろうが、分量的に見てもその半分の期間で何とかなるのではと思う。

【開示情報】

明らかに増えた。
前には被覆されて見れなかった警衛情報などはほぼ開示。
他にも1ヶ所に非開示情報があっただけで該当文書が被覆されていた(つまり他の「見れる情報」もまとめて見れなくなってた)のが、デジカメで撮った画像をプリントアウトして墨塗りするという方法で見れるようになった。
これで、資料の途中で1枚だけ被覆されて見れないという泣きを見ていた状況が大きく変わった。
また非開示にされている情報も、ほぼ個人の名前だけで、そこそこ納得できるものであった。

外交史料館のような開示が進んでいた所では、公文書管理法の施行によって後退した側面があるようだが、宮内公文書館については、遙かに資料開示が進んだという印象。

【開示方法】

どうやら宮内公文書館では次のような方法を採っているようである。

・原本をそのまま開示できる部分は原本を閲覧に供する。
不開示部分を含む場合、該当部分を被覆した上で、その部分のみデジカメで撮影。それをモノクロ印刷して、不開示情報を墨塗りにしている。
・その上で、原本とその文書番号毎にまとめた墨塗りしたコピーを一緒に提供している(そのコピーがどの部分なのかは、おおよそ資料を読んでいればわかる)。


2ヶ月前に行ったときには初めからカラー印刷をしたものを提供していたが、モノクロに変えたみたい。
コスト的な問題かなと思う。

ただ、この「デジカメ撮影したデータを印刷する」というのは、結構対応が難しいんだなというのが今回の感想。
デジカメの精度や、撮影者の能力の問題でかなり左右される。また、真ん中の折がきついページも、一律で上から見開きのまま撮っているので、読めないところがかなり出てきてしまっている。
開くのがきついページの場合、真ん中の部分だけ拡大して撮るとかも考えても良いのではと思う。
結局、部分開示でコピーしたものの2割ぐらいは、カラーで印刷したものを要求するか、真ん中の部分を解読して伝えてもらうとかいった手続きを要することになった。

古い文書の場合、どうしても隣に挟まっている紙質が統一ではないので、どちらかに焦点を合わせるともう片方のページが読みにくくなる。
これはやむを得ないことではあるのだが、デジカメの性能が上がれば解決するんだろうか?

個人的に思うのは、「デジタルデータはデジタルデータのまま提供する」方が、結局はコスト削減になるのではないのかということだ。
デジタルで撮っているのであれば、そのデータをパソコン上で墨塗りして、閲覧専用のパソコンを用意して、電子上でデータを見せればよい。
複写もデータをそのままCD-Rにでも焼けば良いのだし。
データの墨塗りした部分を剥がせないような仕組みだけをきちんと構築すれば十分可能なのではないかと思う。
それにはっきりいって、その方が閲覧者としても見やすい。
紙で印刷するコストも無くなるし、ここはもっと考えられて良いように思う。

【昼休み】

前は開館時間が9:30から16:30で、さらに12時から13時まで昼休みで閲覧を停止されるという状況だったのが、9:15から17:00と閲覧時間が45分延長されただけでなく、昼休みでも閲覧は続けられることになった。
これは大きいと実感した。時間をフルに閲覧に使えるのは大きい。


まとめると、開示速度の遅さが気になるが、明らかに公文書管理法の施行によって、資料の閲覧状況が相当に改善されたように思う。
やはり、公文書管理法は必要な法律だったとあらためて思う。

【追記11/10】

昨日宮内公文書館に行ってきたので追記。

・開示速度についてだが、相当に上がってきている。
上記した際には4ヶ月かかっていたが、ほぼ同内容の請求が1ヶ月強で出るようになってきた。
請求が分散されて、やっとサイクルができてきた感じだろうか。

・不開示部分の墨塗りについてだが、印刷された資料の画像の質が明らかに向上した。
例えば以前は、電子データにしたものをモノクロで印刷して提供されていたが、初めからカラーになった。
担当者の人は「コストが苦しいですが」ということはおっしゃっていたが、やはり断然見やすい。
是非ともこのままカラーで提供してほしいと思う。

example01.jpg
before

example02.jpg
after

公文書管理法施行後の宮内公文書館の対応は、日々良くなっていくので非常にありがたい。
是非ともこのままより良い方向へと進んでほしいと願っている。
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コメント 2

かし

私も先日、宮内公文書館に閲覧に行きましたが、だいぶ良くなったという印象を受けました。
以前ならば、数人の閲覧者を1人の職員が対応することもままありましたが、先日私が行った時は職員が複数人いて、対応してくれました。
書陵部に、公文書担当の専門職員が配置された、ということは大きいのではないでしょうか。
by かし (2011-09-01 14:09) 

瀬畑 源(せばた はじめ)

> かしさま

全体的に良くなってますよね。
公文書担当の専門職員の方の対応も良いですよね。
あとは開示速度が上がれば・・・
by 瀬畑 源(せばた はじめ) (2011-09-02 03:00) 

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