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3年前の手紙 [天皇関係雑感]

『歴史学研究』877号(2011年3月)に、安田浩氏の手による「法治主義への無関心と似非実証的論法―伊藤之雄「近代天皇は『魔力』のような権力を持っているのか」(本誌831号)に寄せて―」が掲載されました。

この論文が書かれるに至るきっかけは、私の伊藤氏の著書に対する書評でした。
ブログの記事を紹介していくと、

書評:伊藤之雄『昭和天皇と立憲君主制の崩壊』→『歴史学研究』2006年10月号掲載の私の書評
  ↓
伊藤之雄氏「近代天皇は「魔力」のような権力をもっているのか」について→その書評に対する伊藤氏の反論(『歴史学研究』2007年9月号)
  ↓
今回の安田氏の論文

私の書評の主旨は、伊藤氏による日英君主制比較は、政治過程が「似ている」ことを理由として制度が「似ている」という論理になっており、それは論理構造的におかしいだろうということでした。(制度から見れば、明らかに違いがある。)
ただ、伊藤氏には主旨をうまく受け取ってもらえず、反論は、私に対してというよりはむしろ、引用した安田浩氏の論考に対する批判がメインとなっていました。
そこで、安田氏が伊藤氏に対する批判の筆を取ったというのが、今回の安田氏の論文になります。

なお、念のため申し上げると、私と安田氏との間に師弟関係はありません。過去にお会いしたのも2度ぐらいかと思います。
もちろん、今回安田氏が論文を書くことについて、私は掲載されるまで一切知りませんでした。

本来ならば、私が反論をしておけば良かったということになるのかもしれません。
ただ、ブログにも書きましたが、伊藤氏が、反論があるなら「自らそれを実証するか、少なくとも具体例をあげて、拙著の元になった論文や拙著に対してコメントすべきであった」(18頁)と述べておられる以上、私が反論を歴研誌上に書くことは、おそらく建設的な議論にならないだろうと思い、反論は書きませんでした。
ただ、この反論を読んだ直後に、伊藤氏に私信を送りました。

今回、安田氏が論文を書かれた時に、この私信を読み返してみて、安田氏の論文の補足説明になるかなと思いました。
よって、ここにその私信を全文アップロードしておきます。

私信であるにも拘わらずアップロードする理由は

①伊藤氏の反論に対する再反論という形ではなく、私の書評の補足説明という形で書かれているということ。また、そのような書き方のため、伊藤氏からの再々反論は無く、研究頑張ってくださいといったような丁寧な葉書を頂いて、やりとりは終わっている。よって、伊藤氏の再々反論をアップロードしないとフェアではないというような事態はおきないということ。
②注記もきちんと入れており、論文に近似した形で書かれているということ。
③基本的には「伊藤氏は安田氏を誤解している」という内容であり、今回の安田氏の論文を補足するものであること。
④内容はすべて私が書いたものであり、著作権は私が有しているということ。また、内容的にも、特に伊藤氏を中傷したり貶めたりするようなことは一切書いていないこと(むしろ、若気の至りの文章が多くて、自分を貶めている感もある・・・)。
⑤伊藤氏の反論に対して私が再反論をしなかったのは、別に私が伊藤氏の論旨に納得したからというわけではないということを伝えておきたいと思ったこと。

となります。
また、このファイルの最終更新日が2007年9月11日なので、時効かなとも思います。

PDFにして上げておきます。
なお、上記のような経緯がありますので、あまり引用等で使わないでいただけるとありがたいと思います。(もちろん、論旨に対する批判がある場合は引用していただいて構いません。)
印刷はできますが、コピペはできないようにしてあります。

興味のある方はどうぞごらん下さい。
http://www008.upp.so-net.ne.jp/h-sebata/koubunsyo/sebata_letter.pdf
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