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【連載】法人文書と公文書管理法 第1回補遺 内閣総理大臣と独法との関係 [2010年公文書管理問題]

前回の追記。
1点、書いていなかった部分があったので、そこを補足しておきます。

公文書管理法における内閣総理大臣の独立行政法人への介入について。

前回書いたように、それぞれの条項の業務において、内閣総理大臣は独法に介入できない。
ただし、何もできないということではない。

公文書管理法第31条には次のように書かれている。

(内閣総理大臣の勧告)
第三十一条  内閣総理大臣は、この法律を実施するため特に必要があると認める場合には、行政機関の長に対し、公文書等の管理について改善すべき旨の勧告をし、当該勧告の結果とられた措置について報告を求めることができる。


これは、公文書管理法に則った管理が行われていないときに、内閣総理大臣が改善勧告をできるという条文である。
ただし、これも「行政機関の長」だけが対象であるので、独法には直接勧告ができない。
しかし、独法を所管する主務大臣(例えば、国立大学法人であれば文部科学省)に対して、勧告を行うことは可能である。

そして、主務大臣は、独立行政法人に対して、法令に違反する(「おそれ」も含む)場合には、改善を求めることができる。

独立行政法人通則法
(違法行為等の是正)
第六十五条 主務大臣は、独立行政法人又はその役員若しくは職員の行為がこの法律、個別法若しくは他の法令に違反し、又は違反するおそれがあると認めるときは、当該独立行政法人に対し、当該行為の是正のため必要な措置を講ずることを求めることができる。
2 独立行政法人は、前項の規定による主務大臣の求めがあったときは、速やかに当該行為の是正その他の必要と認める措置を講ずるとともに、当該措置の内容を主務大臣に報告しなければならない。


つまり、「内閣総理大臣→主務大臣→独法」という流れで、内閣総理大臣は「勧告」は行うことが可能である。

ただ、この勧告は、おそらく相当にひどい法令違反でもないかぎりは使われないものと思われる。
独立行政法人はあくまでも「独立」している機関なので、通常業務に対していちいち内閣総理大臣(実質的には内閣府か内閣官房の公文書管理課)が勧告をしないだろう。
独立行政法人通則法を見ても、「法令違反」(orそのおそれ)でないと是正を求めることはできないとあり、「違法」というハードルは結構高いと思われる。

この点は、次回の記事を読む際の前提となるので、あえて追記として書いておきました。
第2回へ続く。
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