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特定歴史公文書等の保存、利用及び廃棄に関するガイドラインへのパブコメ [公文書管理委員会]

公文書管理委員会において、「特定歴史公文書等の保存、利用及び廃棄に関するガイドライン」についてのパブリックコメントの募集が始まりました。
http://www8.cao.go.jp/koubuniinkai/oshirase/goiken2.html

そしてその解説も4回にわたって行ってきました。
第1回 前説
第2回 A:総則とB:保存
第3回 C:利用
第4回 D:廃棄以降

以下は、私が書いたパブコメです。すでに送付済み。何かご参考になればと思います。
特に、個人的には、「デジカメ撮影」については、是非とも実現させたい部分です。

あと、宮内公文書館でのコピーの「遅さ」の解決策は、デジカメ導入しかないと思います。マスキングも、デジカメ撮影のデータを印刷してマスキングすればよい。それで他の部分が「読めない」と言う人がいれば、その時に「マイクロ化」という選択肢を取れば良いと思う。
最近のデジカメは優秀ですから、それで9割方は解決すると思います。

以下、パブコメ本文。

○B-1「行政機関又は独立行政法人等からの受入れ」
 「留意事項」に、審査の際の注意点として、「審査の際に不開示にした箇所には、不開示理由及び何年後に再審査の対象になるのかを記載すること」を加えるべきである。あまりに繁雑になる場合は、全面不開示の部分のみに限定することも考えられる。
 情報は基本的に劣化するものである。例えば個人情報の場合、国立公文書館においては、情報類型によって不開示の年限が決められている。そのため、いずれは開示に転ずる情報である可能性が高い。米国の国立公文書館では、全面不開示の情報がある場合、「いつ、誰が審査をして、再審査はいつから受け付ける」というメモが挿入されている。
 あらかじめ、不開示理由や再審査の対象になる日が記載されていれば、利用者にとって有益な情報となり、さらに審査の透明化にも役立つと思われる。また、審査を行う側も、新たに判断を行う際の基本情報となるので、審査の手間を省くことができる。

○B-7「目録の作成及び公表」の(1)
 「規則」の列記された事項の中に、「利用制限事由の審査日」を入れるべきである。
 この情報は、全面開示の文書の場合はそれほど重要ではないが、不開示箇所がある場合には重要な情報となる。国立公文書館では、現在「要審査」制度を導入しており、目録登載日と審査日にズレが生じている。また、不開示情報を含む場合、いつごろ再審査になるのかの参考にするためにも、いつ審査が行われたのかは重要な情報だと思われる。さらに、審査を行う側にとっても、いつの時点での不開示判断なのかを知るためにも重要な情報であろう。

○B-7「目録の作成及び公表」の「留意事項」(7頁)
 「名称」は「行政文書又は法人文書として保存していた時期と連続性のあるものとすることが望ましい」ことは同意するが、現在の行政文書のファイル名があまりにも曖昧であることが多いので、但し書きとして「ただし、名称が不明瞭な場合にはその限りではない」との記載が必要だと思われる。

○C-2「利用請求の取扱い」の「留意事項」(13頁)
 「審査基準の策定」だけでなく、審査基準の「公開」も記載するべきである。審査基準の透明化は、「国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務全うされるようにする」(公文書管理法第1条)ためにも必要不可欠である。国立公文書館等での審査が不透明であるという疑いをもたれないためにも、審査基準の公開は自発的に行われるべきものであるので、ガイドラインにぜひとも入れておくべきである。

○C-3「部分利用」の「留意事項」(17頁)
 マスキングの際に時間がかかる場合、「あらかじめ作業に要する日数」については、「文書によって通知する必要」があることを明記するべきである。また、「マスキングを行う場合でも、できる限り迅速に対応するように努めるべき」といった但し書きを追加する必要がある。
 以前、筆者は宮内庁書陵部において、公文書のマスキングによる閲覧を行った際、請求から閲覧までに6年かかったことがある。その理由として、「マスキングのためにマイクロフィルム化する必要があったが、予算がないので毎年少しずつ通常のマイクロ化の予算から割いて撮影していたから」との回答があった。このような事態はさすがに特殊だとしても、宮内庁書陵部宮内公文書館では、現在でも、複写を申請してからコピーを受け取るまでに約3ヶ月かかることが当たり前になっている。そしてその理由として、マイクロフィルム化の作業が「混んでいる」ために順番待ちで時間がかかっているとの説明がなされている。この状況が改善されない限り、宮内公文書館においてマスキングでの開示を要求した場合に、コピーを行うだけで3ヶ月かかるという状況が実際におこる可能性が高く、本来ならばマスキングされた以外の情報は見れたはずなのにもかかわらず、利用者が「諦めて」被覆による開示に納得せざるをえなくなる可能性がある。
 利用者に負担を強いるようなことがないようにするためにも、上記の記述は必要であると考える。

○C-10「写しの交付の方法等」
 写しの交付の中に、「利用者によるデジタルカメラによる撮影」を入れるべきである。25頁の「閲覧の方法等」には「利用者がカメラ等を用いて特定歴史公文書等を撮影する場合の留意点」との記載があり、デジカメでの撮影も想定した記述が読み取れる。そのため、「写しの交付」の中に、きちんと「デジカメでの撮影を許可する」ことを含めるべきである。
 デジカメでの撮影は、「コピー料金を気にせずに複写できる」、「コピーに必要な待ち時間がなくなる(外部委託があるところなど)」、「資料をコピー機で複写する場合、押しつけたりするなどで資料が破損するおそれがあるが、デジカメは基本的に閲覧と同じ状態で撮影できるので、コピー機ほど資料を傷めない」、「職員がわざわざ複写を行ったり、外部に委託したりするという手続きが省ける」など、その利便性の高さだけでなく、職員側の業務軽減にも大きな力を発揮する。
 すでに地方の公文書館では、デジカメでの撮影を容認しているところもある。北海道立文書館では、文書資料のコピー機での複写を禁じ、デジカメだけしか複写に応じていない。また、アメリカ国立公文書館ではすでにデジカメやスキャナーでの撮影は容認されている。
 さらに、宮内庁書陵部宮内公文書館では、現在コピーをするためだけに申し込みから3ヶ月も待たされており、不便さが際だっている。是非とも、利用者によるデジカメでの撮影をガイドラインに組み込んでほしい。

○C-19「利用時間及び休館日」の「留意事項」
 館の開館日に土日を検討することは、研究者以外の一般の方の利用を促進する意味でも賛成である。だが、まずは、「昼休み」を無くすことをここに明記すべきである。
 現在、国立公文書館では、閲覧申込の受付時間が「午前は9時15分から11時45分まで、午後は1時から4時30分まで」のみとなっており、昼の文書出納を停止している。また、宮内公文書館では12時から13時の間は、出納どころか「閲覧」すらも停止している。審査のために専門の担当官がいないと出納できないのであれば別だが、普段は請求されたものを書棚から取ってこれば良いだけなのだから、それは一般の職員でも十分可能である。また、閲覧については、職員が交代で受付に残っていれば良いだけのことであり、わざわざ停止する必要があるとは思えない。利用者の利便を図るのであれば、まずはこの「昼休み」の廃止を行うべきである。

F「雑則」
 「情報公開法が改正された場合には、その規定に合わせて規則も見直す」という条文をF-4に追加するべきである。
 この秋の国会で、情報公開法改正が行われる可能性が高まっている。今回のガイドラインには、情報公開法の規定をそのまま記載しているケースも見られるので、情報公開法改正の際には、それに合わせた規則改正を奨励するべきである(例えば、請求から閲覧までの期日や、「みなし規定」の導入など)。

以上。
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