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逢坂誠二議員と公文書管理問題 [情報公開・文書管理]

以前、公文書管理の有識者会議メンバーの宇賀克也氏の講演会に行った話を、このブログで書いたことがある。
実はその時に、宇賀氏に質問をしていた国会議員が一人いた。「議員の中にこういったことに興味を持ってくれる人がいるのだな」と思って、非常に鮮明に覚えていた。
その人は、民主党の逢坂誠二衆議院議員である。

逢坂誠二氏は1994年から2005年まで北海道のニセコ町長を勤めた後、衆議院に転じた方である。
町長時代には、全国初の「まちづくり基本条例」を作るなど、先進的な取り組みを数多くしたことで知られている。→詳しくはwikiにて
私も名前だけは記憶があった。

今回、福田内閣が倒れたことで、民主党の側の公文書管理問題の取り組みがどうなっているのかが気になって少し調べてみた。
そこで、逢坂氏のことを検索してみたところ、Videonews.comというサイトで、公文書管理問題についてのインタビューを受けていることがわかった。(有料)
早速、それを見てみた。

なお、内容の要約はYahooで記事になっているのでそちらをみてほしい。(下記の引用部分もこの記事から取っている。)

逢坂氏が公文書管理問題に注目した原体験として挙げていたのは、まだニセコ町役場の係長だった時代に、スウェーデンの役所に勤めている友人を厚生労働省に案内したときのことだ。
そこでその友人は、書類が山のように積み上がっているオフィスを見て、「これは倉庫ではないのか」という疑問を提示した。
つまり、これでは何が重要で何が作業中の物かわからないし、またもし例えば自分がそこらにある書類を数枚持ち去ったとしても気づかないのではないか、ということである。

これは、有識者会議の第5回の資料6で、民間会社から出向して役所に勤めている人達が官庁の情報管理についてのコメントしたものの中でも指摘されていた。→私の解説
この状態は、要するに「情報漏洩の危険性を常にはらんでいる」というだけでなく、「情報公開を請求されたときにすぐに対応ができない」ということにもつながっている。また、業務の効率性(書類を探す手間など)についても大いに問題があることを示している。

逢坂氏はニセコ町長に就任したときに、町役場の書類のあり方を見直し、職員の机から書類を一掃したらしい。
この経緯が書かれた竹内謙氏のコラムによれば、逢坂町長は「情報共有」を基本とするために、文書を1つしか作らずに、それをその部署の共有フォルダに管理し、常に誰でも(部外者も含めて)見れるような状況にさせたそうである。つまり、私文書を全て無くしてしまったということである。
ニセコ町役場のHPにその細かいシステムについての説明があるが、ファイル管理方法としては非常に合理的なものであると言えるだろう。

逢坂氏の公文書管理問題への取り組みは、情報公開を利用することで、合理的な行政を行うためのシステムを構築しようとしたところから始まっている。その意味では「実際に公文書管理システムを作り上げた経験のある議員」という、非常に特異な立場にある方だと言えよう。

インタビューの内容の話に戻ります。
逢坂氏は、このインタビューの中で、予算情報の開示を例に取りながら、公文書管理問題を説明していた。
逢坂氏によれば、各省庁は1000円単位の予算の積算は持っているが、決算はそこまで細かいものを持っていないらしい。
つまり、実際にどこまで有効に予算が使われたかは、まったく追跡できないのだという。

逢坂氏は、この問題は、最近言われる「埋蔵金問題」と比較して「砂金問題」であると述べる。
つまり、通常予算は「水増し請求」されているのではないかということだ。
そして、例えばその予算が全ての部局で5%ずつあればそれだけで数兆円の「砂金」が出てくるのだと指摘する。
このあたりは、逢坂氏のHPでわかりやすいコラムがあるので、そちらも参考にしてほしいのだが、確かに年度末になると道路工事が多くなるとか、科研費の予算を使い切るために文房具が大量に買われて、それが院生の中で出回ったりすることがある。
役所は予算を使い切らないと減らされると思っているし、足りないと困るので、水増し請求をした上で、さらにそれを使い切ろうとするということなのだ。

また、逢坂氏によれば、毎回国会が始まると、野党側は「情報を出せ」と迫り、与党・官僚側は「それは出せない」という駆け引きがずっと続くのだという。
そもそも「野党」だから出さないという問題は論外のはずである。公文書とは「国民」に対する説明責任を負っている。そこに与党も野党も関係ないのである。→これは最近問題になった、自民党が民主党などの資料請求を事前検閲していた話とつながる。
だから、逢坂氏は次のように語る。

 民主主義では適切な情報が出ていることが大事だ。ところが、予算情報ですら日本ではこのような現状で、文書情報・公文書についてはさらにひどい状態だ。政府はしっかりと活動を行っているか、この政策はどのような経緯で決まったのかを国民が調べようとしても、できない。
 今のような予算情報や文書管理を正していかない限りは、国会でいくら議論にエネルギーを費やしても意味がない。


本当にその通りだと思う。
そして、逢坂氏はニセコでの体験から、公文書管理を変えるということはどういう事なのかを次のように語っている。

 公文書管理のあり方を変えるということは、公務員の仕事のスタイルを変えるということだ。役所に入ったときから植え付けられた「公務員のDNA」とでも言うべき部分を変える必要がある。「情報はなるべく出さないほうがいい」と教えられて10年、15年と仕事をしてきた方にとっては、いきなり情報公開といっても簡単には行えないだろう。時間をかけて議論し、DNAを変えるプログラムを組む必要がある。
 公文書管理の体制を導入するだけならば、1~2 年で行うことができる。しかし、長年古い文書管理をしてきた方からの抵抗が必ず起こる。最初から新たな文書管理体制の下で働き、当たり前のこととして文書管理を行う職員がせめて5年から10年仕事の経験を積むようになれば、役所の中は随分変わる。その後は、自動的に変わっていく。


本当に、逢坂氏はこの問題を非常に良くわかっている方なのだということをこの発言から強く感じる。
公文書管理問題は、導入するまでが大変だが、軌道に乗ってしまえば役所の仕事の効率性も上がるし、情報公開も進むのである。


長くなってきたのでそろそろまとめます。
逢坂氏の考え方には全面的に賛同できる。この問題を非常に深いレベルで理解しているだけでなく、実地での経験も持っている非常に貴重な議員であることは疑いない。
また、行政改革の視点だけでなく、歴史史料としての公文書の問題についてもインタビューの中で触れており、そちらについても目配りが利いていることもわかった。

逢坂氏は衆議院の総務委員会(2008年2月22日)で当時の福田首相に質問を行った際に、「私、実は国会議員になった大きな理由の一つはここ(公文書管理問題)なんですよ。」と明言されている。
是非とも、継続してこの問題に取り組んでいただきたいと切に願っている。
ただ1年生議員なので、どこまで民主党の中で権力があるのかはやや不安があるが。
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コメント 4

逢坂誠二

逢坂誠二です。

日本の政治行政を変える肝が、この問題に潜んでいます。

頑張ります。

(^_^)v
by 逢坂誠二 (2008-10-15 07:08) 

h-sebata

ご本人ですか!
びっくりしました。わざわざコメントありがとうございました。
このブログでは引き続きこの問題は取り上げていきますので、今後ともよろしくお願いします。
by h-sebata (2008-10-15 17:03) 

改めて逢坂です

「情報公開と歴史研究」、拝読しました。

文書管理は、情報を共有するという民主主義の基礎的インフラです。

これがうまく進めば、情報公開も行政の効率性も、そして歴史資料保存の観点も、あらゆる分野がうまく進むのです。(真に隠すべき情報の秘匿だってうまく進みます。)

逆に公文書管理を適切にしないことは、歴史を改ざんすることにもなりかねません。



何かあれば、こちらにメールをください。

ohsaka@seagreen.ocn.ne.jp

じゃ。

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      おおさか せい じ
衆議院議員 逢 坂  誠 二(Ohsaka,Seiji)
(E-mail ohsaka@seagreen.ocn.ne.jp )

「道南から政権交代へ!」即、戦力!即、実践!

個人HP   http://www5a.biglobe.ne.jp/~niseko/
後援会HP http://www.ohsaka-seiji.net/
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【函館事務所】 
  〒040-0032 
  函館市新川町14番5号 民主党道南総支部内
  TEL.0138-21-1717 FAX.0138-21-1718
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  〒100-8981
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  衆議院第一議員会館740号室
  TEL.03-3508-7290 FAX.03-3508-3740
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by 改めて逢坂です (2008-10-24 11:48) 

h-sebata

わざわざコメントを頂き、ありがとうございました。
何かありましたらご連絡をさせていただきます。その際にはよろしくお願いいたします。
by h-sebata (2008-10-24 17:02) 

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