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一橋大学経済研究所附属社会科学統計情報研究センター [雑感]

昨日まで、一橋大学経済研究所附属社会科学統計情報研究センターで蔵書整理のアルバイトをしていた。
このセンターは、経済学の人には知られていると思われるが、その他の分野の人には「知る人ぞ知る」図書館になっている。
一橋の教員以外は書庫に入れないので、この機に色々と中を見学してきた。

その中で2点ほど気になった資料があったので紹介しておきます。

1.東京市政調査会からの移管資料

今でも市政調査会は存在しているが、経緯は知らないが「捨てるから」と言われて引き受けた史料群がある。
それは、大正末期から昭和30年代半ばにかけての、全国の各市の「歳入歳出決算書」である。
残念ながら、市レベルのものがほとんどだったのだが、これだけ系統だって残っているのは珍しいのではないか。
このころの資料は、捨てられてしまったり、空襲で焼けたりして残っていない物も結構あるので。(沖縄県関係の戦前の統計もある。)


2.1960年農業センサスの調査票

正確に書くと1960年に行われた「世界農林業センサス」の農業部門の調査票。
全てをチェックしてないからわからないけど、書架3列分上から下までものすごい量があったので、おそらく全国の原データが全て保管されているのではないか。
しかし、一体どうしてこんなものが。捨てるときにもらってきたんだろうか。普通原データは捨ててしまうものだが。

これは、使い方によっては、ものすごい資料だと思う。
地方史の人にとっては、各世帯の原データがわかるわけだから、センサスに載っているような統計手法とは別のやり方を取ることもできるはず。
しかし、個人情報の固まりのような資料だから、おそらく使用不可になっている可能性が高い。OPACにもないし、おそらく、存在すら知られていないと思われる。
ただ、現在統計研は、「学術研究のための政府統計ミクロデータの試行的提供」というプロジェクトをやっていて、総務省統計局から個人情報の部分を消したミクロデータの提供を受けて、それを研究者に提供することをしている。

もちろん、これは電子データ化しているから、個人情報の部分を隠すことが楽だからできるということなのだろう。
でも、そういったミクロデータの提供を行っている機関なのだから、農業センサスの調査票の公開も、何らかの形でできる可能性はあるのではないだろうか。
興味がある人は問い合わせてみたらどうだろうか。簡単には開かない資料だろうが、誰もトライしなければ、おそらく寝たままの資料になると思う。


他にも、旧大日本帝国時代の植民地(朝鮮、台湾、満州など)の様々な統計が、そこらの棚にわさわさと置いてあって、これはなかなかすごいなあと思うことが多かった。
センターの人は「利用者が少ない」と歎いていたが、なかなか貴重な物を一杯持っているなあという感じだった。
一橋の経済研究所のOPACで蔵書はほとんど検索できます(遡及率も9割と言っていたので、あるものはほとんどOPACに出てきます)。
気になる方は、一度調査をしてみたらいかがか?
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コメント 2

sen2002611

一橋は、すごい史料をお持ちですよねー。羨ましいです。やはり、東京高等商業学校からの伝統と文化ですな。
by sen2002611 (2008-09-12 19:12) 

h-sebata

そうですね。あとはそういった統計資料を集める機関として認定されていたのも大きいかも。
by h-sebata (2008-09-12 19:17) 

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