SSブログ

敗北外交 [雑感]

昨夜、日本テレビの「ドキュメント'06」で「敗北外交」という番組を放送していた。
経済産業省の前田充浩さんという官僚が主人公であった。(政策研究大学院大学の客員教授だったりするようなので、その業界では有名な人なのだろう。)

前田さんは、経済協力開発機構(OECD)の担当者として欧米各国との交渉の最前線に立っていたときに、日本の提案はことごとくつぶされ、欧米各国に煮え湯を飲まされる体験をし続けたらしい。
そして、1年間の休職中に「なぜ日本は外交で負け続けるのか」ということについて、研究をしたという。

そこで前田さんが強調していたのは、「負けた理由を分析していない」ということだった。
前田さんの話によると、負けたときの関係文書はろくに残っていないらしい。
普通、各省庁は、自分たちの失敗を晒されることを恥と考えるから、そういった文書はさっさと廃棄しているという。
そのために、一体なぜ負けたのかということを理解しないので、何回も同じミスを繰り返して、負け続けるのだと。
前田さんは、文書公開を積極的に行い、各政策の分析を外部の人に積極的に行わせることで、次にどうすれば勝てるのかということを考えなければならないし、また国民からの監視も必要なのだということを強調していた。

私が8月から9月のブログでさんざん主張してきたことだが、日本での公文書管理は非常にずさんである。
特に、各省庁が文書管理の全権を持ち、国立公文書館への移管の取捨選択の権限すら持っている。
そのくせ、内部で文書管理はきちんと行われていない。
だから過去の経験は「口伝」でしか伝わらない。
つまり、文書管理の問題が、そのまま政策の弱さにつながっているのだ。
また、情報公開が不十分であるために、内部で行われていることが検証されないことも、この政策の弱さに拍車をかけているのだ。

情報公開の問題は、得てして、住民運動とかNPOなど(2chなどでの言い方をすると「プロ市民」)が文句を言うために使っているといった議論に矮小化されていることが多いように思う。
しかし、それは決して市民活動とかをしている人達だけの問題ではなく、政策を担当している側の人達のためでもあるということが、このような番組を見ていると非常によくわかるのだ。


nice!(0)  コメント(1)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 1

ダグラスリーフ

“敗北外交”の問題構造は、今も続いている気がします。
色々考えてみたいと思います。
by ダグラスリーフ (2011-06-16 07:12) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。